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こんにちは!ひなです!作品があったので読ませていただきました!めっちゃ面白いですね!続き待ってます!
彼は未成年。私は成人。
そんな事、初めからわかっていた。
それだというのに
フラワー
彼は、憎たらしいぐらいに明るい笑顔をこちらに向けてくる。
私がどれだけあなたを想ってるのか
そんな事も知らないのに。
彼と出会ったのは、確か寝坊してしまった日だった。
その日は大事な仕事があって、いつも以上に急いでいた。
あなた
春になったばかりの風はまだ冷たく、フレンチコートを着なかった自分を強く責める。
少し高めのヒールで歩道を走っていた時だった。
あなた
あまりにも必死に走っていたものだから、通行人と強くぶつかってしまった。
その反動で私は尻餅をついてしまい、同時に鞄の中身も地面に散らばってしまう。
あなた
フラワー
彼の声と私の独り言が放たれたのは、殆ど同時だった。
顔を上げると、綺麗な顔立ちと青と緑色のオッドアイがこちらを見つめてくる。
フラワー
あなた
フラワー
あなた
フラワー
気がつくと、床に散らばっていた物は全て鞄の中に詰められ、私の手元に戻ってくる。
ケラケラと笑った彼は、金髪の肩まである長い髪を揺らせば、私の手を引っ張った。
フラワー
あなた
フラワー
フラワー
そう言う前に走り出した彼に引っ張られ、私は時折転びそうになりながら、必死に後をついていった。
電車の到着する知らせが耳に響く。
あなた
彼の言う近道を走り抜けたことにより、私は普段乗る電車の時間に間に合うことが出来た。
感謝を述べて深くお辞儀をすれば、彼は子供のように歯を見せて笑う。
フラワー
あなた
フラワー
私の声を遮った彼は、段々と遅くなる電車を指差す。
もう、別れなければならない時だ。
あなた
あなた
今度、ちゃんとお礼をしよう。
そう思って連絡先を問おうとすると、電車のドアが開いてしまう。
せっかく送り届けてくれたのに、これに乗遅れてしまえば彼の善意を無駄にしてしまう。
それだけは嫌だ。と、慌てて乗り込めば、彼はドアの目の前までついてきた。
フラワー
あなた
フラワー
フラワー
その言葉を最後に、私と彼の間に分厚い壁ができてしまう。
そうして、小さくなっていく彼を窓から見つめながら、私の体は遠くへ運ばれていくのだった。