中川家前
紗織
(帰ってくる)!新
新
おう
紗織
どうしたの?こんな時間に
新
確認したいことがあって
紗織
確認?
新
この間、海野が他校の生徒に襲われた。その時紗織が通りかかったって聞いたんだ
紗織
葵さんが言ったの?
新
、知らないふりして通り過ぎたって本当か?
紗織
、、だって怖かったから
新
、、
紗織
だって、すごい暴力受けてたし、相手も2人いたし、、助けたい気持ちはすごくあったけど、今度は自分がやられたらどうしようって思って、、
新
、そうだよな
紗織
、葵さんは?
新
傷はあるけど、学校には行ってるよ
紗織
私と一緒
新
え?
紗織
傷が残らないといいね
新
、、
紗織
ねぇ新
新
なに
紗織
私、今でも新が好きだよ。傷を見るたびに思い出す
新
、、
紗織
新は私のヒーローだから。私を救ってくれた唯一の。これからも一緒にいてくれるよね?
新
、、
翌朝 ガチャ
葵
(出てくる)
紗織
(待ってる)
葵
!
紗織
あ、葵さん。おはよう
葵
、おはよう。どうしてここに
紗織
新を待ってるの。学校まで送ってくれるって言うから
葵
え?
紗織
(近づく)こんな傷、いつまでも引きずってるの?大したことないのに
葵
?!
紗織
こんなんで新の気を引こうとしても無理だから
葵
?!私はそんなこと
ガチャ
新
(出てくる)
紗織
!(気づく)この間は本当にごめんなさい!
葵
!?
紗織
助けたい気持ちでいっぱいだったけど、どうしても怖くて、、本当にごめんなさい、、
葵
、あの
新
紗織、どうして
紗織
葵さんに謝りたくて、この間のこと
葵
、、
新
、すごい反省してるみたいだから、許してやってほしい
葵
!?、別に許すも何も、怒ってないから
紗織
(手を握る)ありがとう、葵さん
葵
、、
新
、、行こう、送るから
紗織
うん。じゃあまた
葵
、、
紗織
(微笑む)
葵
、、
葵
(履き替える)
新
(来る)
葵
、、紗織さんって双子なの?
新
え?、一人っ子だけど
葵
私、あの人苦手。何考えてるかわかんない
新
え?
葵
五十嵐くんもよくわからないし、お似合いなんじゃない?より戻せておめでとう(行く)
新
(腕掴む)ちょっと待てよ、なんだよそれ
葵
(涙目)
新
!、お前
葵
、、(行く)
真夏
あーおいっ!おーはよっ!
葵
おはよう
真夏
、どうした?
葵
え?
真夏
親友が悩んでることぐらい、わかるよ
葵
、、
真夏
なんでも言ってみ?
葵
、、
体育
真夏
え?!通りかかったの?!あの小動物ちゃんが?!
葵
うん、、あの時はあんな光景見たら怖いだろうし仕方ないよなって思ってたんだけど、、
真夏
けど?
葵
今日朝家に来て、こんな傷大したことない、五十嵐くんの気を引きたいだけだろって
真夏
何それ?!
葵
でも五十嵐くんが来た途端、急に態度が変わって。すごい謝られて
真夏
二重人格者なわけ?!ありえないんだけど
葵
なんかもうわけわかんなくて
真夏
ありえないね、、けど、元からそんな人だったのかな?
葵
え?
真夏
あの子を変えた、何かきっかけがあったりして
葵
きっかけ、、
真夏
まぁ、一回しか会ったことないし、一瞬だったからわかんないけど、人ってきっかけがなきゃ変わんないと思うから。五十嵐はそれを知ってる唯一の人なのかもよ?五十嵐に対して異常な独占欲があるのも
葵
、、
真夏
、あいつのこと嫌いになっちゃった?
葵
、私が知ろうとするたびに突き放されて、入り込むなって言われて。しつこい自分にも腹が立つし、もう諦めろって思うけど、、もし何かあるのなら助けてあげたいって気持ちもある。だって、もう足突っ込んじゃったんだもん。身動き取れなくて、そんな自分にも嫌気がさして
真夏
、私、葵が幸せならなんでも応援するって思ってた。けど、今の葵、ちっとも楽しそうじゃない。五十嵐とのことも応援しようと思ってた。けど、このままでいいのか、私もよくわかんなくなってきた
葵
、、
真夏
佐々木は?佐々木とはどうなったの?
葵
、想いをまっすぐ伝えてくれて、私の力になりたいってすごく伝わってくるけど、、いい人だからこそ、傷つけちゃったらどうしようとか、そうゆうのばっかり考えちゃって
真夏
結局葵の中には五十嵐がいるってことね
葵
、、
真夏
(ボールを整理中)
新
(入ってくる)
真夏
、、ちょっと手伝ってよ
新
、、
真夏
量が多くて終わらないの
新
、、(手伝う)
真夏
、、葵とうまくいってないの?
新
え?
真夏
葵、悩んでるよ。あんたのことで
新
、、
真夏
あんたがどう考えてるのかわからないけど、中途半端はやめてよね
新
、、
真夏
何も思ってないのに優しくするのは残酷だと思う
新
、、
真夏
葵のこと助けてほしいって言ったのは、あんただって葵のこと考えてるってことでしょ?私は、あんたの言葉に偽りはないって思ったから
新
、、
真夏
あんたと小動物ちゃんとの間に何があったかはわからない。ていうか、何があっても関係ない。けど、葵を傷つけることだけはやめて
新
、、
真夏
葵だって、傷が癒えてないんだから
新
え?
真夏
、未だに後ろから声をかけると、体が反応してるのがわかる。なんとなく、みんなから離れてるのも。本人は周りにバレてないって思ってるだろうけど、ずっと見てきた私ならわかる
新
、、
真夏
もう一度言う。中途半端な気持ちなら、葵に近づくのはもうやめて
新
、、
葵
、、(暴行を受けた場所を見ている)
紗織
可哀想に
葵
!
紗織
消えないのね、傷が
葵
、なんなんですか
紗織
暴力って怖いわよね、体にも傷が残るし、心にも
葵
え?
紗織
知りたい?私と新の関係
葵
、、
紗織
私の父親、本当の父親じゃないの
葵
え?
紗織
私が小さい頃、両親が離婚して、私が中学生の頃、お母さんが再婚した。最初はすごく優しくて、ほんとに幸せだった。けど、私が2年になった時、父親の会社で部下の横領が発覚して、そのまま会社は潰れた。それ以降、父親はお酒、タバコ、ギャンブルに走った。お金がなくなるとお母さんに暴力を振るうようになった。お金を稼ぐために、お母さんは朝から晩まで働くようになって、家にいる時間はほとんどなかった。だから、今度は私がターゲットになった
葵
、、
紗織
少しでも機嫌が悪くなると、私を探し出して暴力を振るうようになった。お前のせいでって何度も言いながら
葵
、もしかして、その傷は
紗織
そう、父親につけられた。タバコを押し付けられて
葵
!
紗織
何度もやられてると、何も感じなくなる。ただ、早く終わってほしい、それだけだった
葵
、、
紗織
学校のみんなに知られたくなくて、必死に隠した。けど、ある日見られたの、新に
<回想>
新
紗織、これ
紗織
!
新
どうしたんだよ
紗織
何でもないから
新
、、話せよ。ちゃんと聞くから
紗織
、、
。。。
新
、、(行こうとする)
紗織
待って!どこ行くの?!
新
決まってんだろ?そいつんとこだよ。そんな傷つけられて、黙ってらんないだろ
紗織
やめて!
新
でも
紗織
もう諦めた。もう元には戻れないから、、
新
、、1人で抱えるなよ。俺が守るよ
紗織
!新
新
だから、何かあったらいつでも言えよ
<現在>
紗織
1番仲の良かった男友達の新には絶対に知られたくなかった。バレたら、引かれて、いなくなっちゃうんじゃないかって。でも新は違った。私のことを守ろうとしてくれた。離れることはなかった。本当に嬉しかった
葵
、、
紗織
けど、2年の冬、新と一緒にいるところを父親に見られて、怒鳴りつけられて暴力を振われそうになった。新は必死に止めてくれたけど、大人の力には敵わなくて。走って逃げた私は、横から来た車に轢かれたの
葵
!
紗織
そこからの記憶はなくて、気づいたら病院のベッドにいた。父親は近くで見てた人に通報されて警察に捕まった。新は、、学校でいろんな噂をされてみんなから離れた
葵
紗織さんは、、誤解を解こうとしなかったの?
紗織
説明しようとは思った。けど、それと同時に私がされてきたことがみんなに知れ渡る。そう思ったら何も言えなかった
葵
、、
紗織
私は後悔してない。みんなに言わなかったこと。だって、新は私のこと忘れられないで居てくれるから
葵
!
紗織
どんなに離れても、守ろうとした子が目の前で暴力を振るわれて、車に轢かれた光景を見たら、誰だって忘れられないでしょ?
葵
!、五十嵐くんの気持ちは?五十嵐くんだってきっと苦しんで
紗織
だから言ったでしょ?私たちは特別や関係だって。切っても切れないって
葵
そうやって五十嵐くんを縛り付けて、好きな人を縛り付けて、、あなたはそれでいいの?
紗織
私のそばにいてくれるならそれでいい
葵
!
紗織
私には新しかいないの。あなたに取られるわけにはいかない
葵
!
紗織
この間、あなたを助けなかったのもわざと
葵
!
紗織
連れ去られるところから気付いてた
葵
!どうして
紗織
あなたが傷つくところが見たかったの
葵
!
紗織
ボロボロになっていく姿を見て、昔の私と重なった。嬉しかった
葵
?!
紗織
私の新を取ろうとしてるやつが同じ目にあってて、ざまあみろって思った。だから知らないフリをしたの。助けようとしたなんて、1ミリも考えなかった
葵
!最低
紗織
あなたがいけないのよ?新を取ろうとするから。でも、やってみたら?新は絶対、あなたを選ばない
葵
!
新
(帰ってくる)
ガチャ
母
おかえりなさい。あれ?新1人?
新
はい
母
そう、、葵遅いわねぇ
新
、、(走る)
母
新くん?!
新
(走って探す)はぁはぁ
葵
(歩いてくる)
新
!(走って近づく)
葵
!五十嵐くん
新
何してんだよ!今何時だと思ってんだよ!
葵
、人に会っててちょっと遅くなって
新
だったら、おばさんに連絡しろよ。心配してんだから。それか俺にも
葵
、、私が何してようと関係ないでしょ(行く)
新
(手を引いて抱く)
葵
!
新
、、
葵
、離してよ
新
ふざけんな
葵
え?
新
どんだけ心配したか、、また襲われてんじゃないかって
葵
!、、ごめん
新
、、(離れる)これからはちゃんとおばさんに連絡しろよ(行く)
葵
、、好きだよ
新
え?
葵
私、、五十嵐くんが好きだよ
新
!
葵
でも、それ以上はないんだってわかってる。だから、、もう諦めるから
新
、、
葵
これ以上、近づかないし、知ろうともしないから安心して
新
、、
葵
あと2週間、ぎくしゃくしたまま終わりたくないから。いつも通りにするから
新
、、
葵
、来てくれてありがとう(行く)
新
、、
翌朝
葵
(靴履いてる)
新
(来る)、、
葵
、おはよう
新
、おう
葵
、今日日直でしょ?遅刻しないようにね
新
、、
葵
、お母さん!行ってきます!(行く)
新
、、
蓮
海野、どうした?話って
葵
、、あのね、佐々木くん。私、
蓮
、、今日は暑いな、中で話そう
葵
ここで聞いて
蓮
、、ごめん、嫌な予感しかしなくて
葵
、、ごめんなさい。私、佐々木くんの気持ちに応えることできない
蓮
、、それは
葵
私、やっぱり五十嵐くんが好き
蓮
、でも、あいつには
葵
わかってる。だから、諦めるって本人にも伝えた
蓮
、、
葵
、佐々木くんはいつも私に優しくしてくれて、力になってくれて。佐々木くんがいなかったらずっと1人だった。私に学校の楽しさを教えてくれたのは佐々木くんだった。本当に感謝してる。ありがとう
蓮
、、俺じゃ無理、なんだな
葵
、、ごめんなさい、、
蓮
、、正直腹が立つ
葵
、、
蓮
海野の1番になれなかった自分に
葵
、、
蓮
けど、ちゃんと伝えてくれてありがとう。ここに来るまで、いっぱい考えてくれたんだろ?嫌だったよな、伝えるの
葵
、、
蓮
、、しばらく会っても目を逸らしちゃうかもしれない
葵
、わかってる、、本当にごめんなさい(行く)
蓮
、、
HR
担任
再来週はみんなが頑張って準備した文化祭がある。うちのクラスは写真館だったから、夏休みはほとんど準備がなかったが、最後の2週間、もうひと頑張りで準備するように
。。。
真夏
もう文化祭の時期かぁ。あっという間だなぁ
葵
そうだね
真夏
、2週間後だと、、五十嵐、もう葵んちにはいないね
葵
そうだね
真夏
、葵んち出たらどこ行くんだろ?両親は単身赴任先にいるんでしょ?
葵
うーん
女子1
ねぇねぇ、真夏たちはコスプレ何にする??
真夏
えー、悩むー。葵はどうする?
葵
、私は余ったやつでいいよ。ちょっとトイレ行ってくる(行く)
真夏
、、
女子2
じゃあさぁ、葵これがいいんじゃない?
女子1
いいかも!
真夏
、、
S女子高前
紗織
(歩いてくる)
新
(待ってる)
紗織
、新。待っててくれたの?
新
あぁ
紗織
ありがとう。行こう
女1
ちょっと!待ちなさいよ!
紗織
何?
女1
あんた、この子の彼氏と浮気してんでしょ!
紗織
え?
女1
2人で歩いてるところを見たって!
女2
駅前のレストランに入って行くところを見たの
紗織
そんな私は
女1
この間は3組の子の彼氏と仲良さそうにしてるのを見たって子がいるの。あんた、人の彼氏とるなんて最低!
紗織
、、
新
、、
女2
あなた、この子の彼氏?
新
いや、、
女2
気をつけた方がいいですよ。この子、怖いから
新
、、
女2
行こう
女1
今度やったら許さないから(行く)
紗織
、、
新
、今のって
紗織
よくあるの、こうゆうこと(行く)
新
、馴染めてないのか?学校
紗織
最初は良かったんだけど、一年の時、文化祭で他校の男子と話してたら、その人の彼女が同じクラスにいたみたいで。そこからそんな感じで
新
違うなら違うって言ったほうが
紗織
言っても無駄。そう思われたら一気に広がるから。女の嫉妬って怖いんだよ
新
、、
紗織
、そういえばあれから葵さんは大丈夫?
新
、あぁ
紗織
新は葵さんの家にいつまでいるの?
新
来週末には出るよ
紗織
どこに行くの?
新
母さんの親戚んちが来てもいいって言ってるらしくて。学校からもそんな離れてないから、今度はそっちに行くと思う
紗織
そっか。よかった
新
え?
紗織
だって、いくらクラスメイトって言っても男と女でしょ?間違いがあったら困るじゃない
新
、別に何もないよ
紗織
葵さんは?
新
え?
紗織
新に何もなくても、葵さんはどうなのかしら?
新
、あいつも何とも思ってないよ。むしろ嫌われてるし
紗織
え?そうなの?
新
あぁ
紗織
、、そういえば再来週、新の学校文化祭でしょ?
新
あぁ
紗織
行ってもいい?
新
いいけど
紗織
やった!一緒に回ってくれる?
新
、あぁ
紗織
楽しみ
新
、、
海野家 リビング ガチャ
新
(帰ってくる)
母
だからそうじゃないわよ
葵
お母さんうるさい。変になっちゃったじゃん
母
そうじゃないって言ったのに、、あ、新くんおかえり
葵
、おかえり
新
、ただいま
着信音〜♪
母
はい海野です。はい、はい、あ、はい、ちょっと待ってください。仕事の話だから部屋行ってくるわね(行く)
葵
、、
新
、、何やってんだよ
葵
、もう少しで1人になっちゃうから料理のレパートリーを広げようかと
新
、なにそれ?
葵
一応、、エビチリ
新
、、
葵
うるさいわね!エビが剥きにくかったんだから仕方ないじゃない!
新
(食べる)
葵
ちょっと、まだ途中
新
美味い
葵
え?
新
見た目はアレだけど、味は美味い
葵
!、それはよかった、、ここ出たらどこ行くの?
新
親戚んち
葵
そっか。よかったね、行くところ決まって
新
あぁ
葵
寂しくなるね
新
え?
葵
1人の存在って結構大きいから
新
、、
葵
それと、、ごめん
新
なにが?
葵
色々ひどいこと言って。傷つくのわかってたはずなのに、自分のことしか考えられなくて
新
俺こそ、わかってやれなくてごめん
葵
、、ちょっと早いけど、こんな私と仲良くしてくれてありがとう。友達が増えて嬉しかった
新
、、
葵
(手を出す)これからもよろしく、友達として
新
、、(手を取る)よろしく
葵
😊
新
、、