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主
主
左手
貴方は梅雨時、ずぶ濡れのまま、 部屋の前で泣きながらそう言った。
そんな話で始まる、あの夏の日の記憶だ___
左手
左手
左手
『死ぬ』という言葉を聞いて、 いても立っても居られなくて、 つい口走ってしまった。
右手
そして、私たちは逃げ出した。
この狭い狭い世界から。 家族もクラスの人たちも、何もかも捨てて
あなたと2人で___
右手
左手
右手
左手
結局私たちは、 誰にも愛されることは無かった。 そんな「嫌な共通点」で簡単に信じあってきた。
あなたの手を握った時のかすかな震えも、 既に無くなっていて___
誰にも縛られないで 2人、線路の上を歩いた。
金を盗んで、2人で逃げて... どこにでも行ける気がした。
今更怖いものは私たちには無かった。
右手
左手
いつか見た夢の主人公なら、 汚くなった私たちを、見捨てずに ____救ってくれるのでしょうか...
左手
右手
左手
右手
左手
右手
あてもなく彷徨う蝉の群れに、
水も無くなり揺れ出す視界に、
迫り狂う鬼たちの怒号に、 馬鹿みたいにはしゃぎあい、
ふと、あなたはナイフを取った。
左手
右手
左手
右手
左手
___グサッ
そして、左手は、首を切った。
まるで何かの映画のワンシーンみたいだ。 白昼夢を見ている気がした。
気づけば私は捕まり、 左手は、どこにも見当たらなくて、 あなただけが、どこにも居なくて__
そして、時は過ぎていった。
暑い日が過ぎていき、
家族もクラスの人たちもいるのに、 何故かあなたはどこにも居ない。
あの夏の日のことを思い出す。
私は今でも、あなたを探している。 あなたに....左手に言いたいことがあります。
あなたの笑顔は、 あなたの無邪気さは、
頭の中を飽和している。
右手
右手
右手
そう、言って欲しかったのでしょうね___