「好き」を言葉に出来なかった俺が。 歌にして初めて、誰かに届いた気がした。 小さい頃俺はものすごく静かだった。 話しかけられたら笑って頷く。 何か言いたいことがあっても頭の中でまとまりきらず結局言葉にできない。 それでも音楽が流れると体が勝手に反応する。 流れてくるメロディに合わせて、口ずさんで、心の中に残った言葉たちをメロディに預けてみる。 不思議と音の中では何も怖くなかった。 「歌が上手いね」と初めて言われたのは小学校の学芸会。 特別意識したことなんてない。 ただ、歌詞が綺麗だと思ってまっすぐに歌っただけ。 自分の声で誰かが嬉しくなる。 その感覚が心の中に灯った。 練習生になってからもずっと静かな子だった。 チームの輪に入るのが苦手で、意見を言うことも少なかった。 でも歌のレッスンだけは誰よりも真剣だった。 高音が苦手な時も表現が届かないと感じた日も、 夜遅くまで練習室に残って自分の声と向き合う。
SONWOO
そんうひょんが言う。
SONWOO
SONWOO
その言葉がずっと胸に残る。 アストレインとしてデビューが始まったとき。 自分にボーカルという肩書きが着いたことがちょっと信じられなかった。 自分の声なんかで。 そう思っていた過去の俺。 でも今は自分の声が誰かの世界をほんの少し変えるかもしれないと信じられる。 それは練習生時代に出会ったメンバー達が、 何度も俺の歌を好きと言ってくれたから。 好きは誰かを強くする。 そして好きは誰かにちゃんと届く。 ステージで歌う時。 俺の声は決して派手じゃない。 でもじわじわと沈み込むように響いて、心の奥に優しく触れる。 主張の強くない言葉。 でも嘘のない音色。 それが俺の歌。 自分の声が誰かの希望になれたらいいな そういった時少し照れたように笑う俺を、 メンバーは何も言わず抱きしめてくれる。 今日もまた、俺の歌は宙に溶ける。 消えそうで消えない、微かな光のように。
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