気がつくとそこは白い空間だった。
アザミ
…
寒くも暑くもなく、何の音もしない。
自分の心臓の音もしなかった。
◯△□
後悔しているかい?
振り返ると水たまりがあり、 声の主はいなかった。
アザミ
何が言いたいの
しゃがみ、水たまりを覗き込むと 半目が赤くなった自分がいた。
◯△□
死に方に不満があるか?
そっと水たまりに触れると 私のマシンと運ばれていく担架が見えた。
アザミ
いいえ、
アザミ
危険が伴うのは知ってる。
担架には布が被せられていたが 血が滲みて、滴っている。
アザミ
けど。
また触れると 数時間前、私のマシンをいじっている 玲香 が映った。
アザミ
ここにいるってことは
何かあるんでしょう?
何かあるんでしょう?
◯△□
死神になれ。
◯△□
願いを一つ、叶えてあげよう。
アザミ
…拒否したら?
◯△□
君に選択肢はない。
水面は変わり、 トロフィーを片手に救急車を 見送る玲香が映し出される。
アザミ
わかったわ。
アザミ
古臭いけど、
アザミ
私は復讐を望んでいる。
◯△□
そうか。
声は何も言わなくなった。
アザミ
だから
アザミ
一年後、記憶を持ったまま
生まれ変わらせてほしい。
生まれ変わらせてほしい。
アザミ
それが願い。
アザミ
こんくらい、いいでしょう?
言い終わる頃、視界が黒くなっていった
◯△□
わかった。約束しよう。
私は死んでこの世へ戻った。
死んで、1年が経とうとしていた。
死神
残りの時間的にもあと一人かな。
紙に赤い字で名前と顔が映し出される。
死神
ろーれん…いろあす?
死神
なんだ、ヤニカスかよ
紙をポッケに入れ、 金属バットを背負う。
死神
懐かしいな、バット。
死神
お前も今回の依頼で
お別れだな。
お別れだな。
最初の依頼で会った、 今は亡き少年の形見。 無論、依頼だとしても幼い命は尊かった。
かれこれ、1年ほど一緒だった。 そして ユイツの仲間との最後の依頼だ。
死神
さ、行きますか。
入り組んだ路地裏を歩くと そこには赤髪の人がいて
「ビンゴ」 なんて思いつつ、ゆっくり近づく。
死神
ニーサン、そんな吸ってたら死んじゃうよ
振り返った赤髪は だるそうな目でこちらを見た。