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君の偽物に恋をしたからこんなストーリー描けるの!? もう色々と最高です
春ちゃんが忘れてるのはワンチャン夢ちゃん説…??? そうとしか考えられないんだけど、
春千夜
春千夜
目が覚めると 俺は新幹線ホームにいた
外は雨が降っていた 身体も服も濡れておらず、俺はすぐに夢だと察した
春千夜
春千夜
周りには旅行客らしき集団や スーツケースを持ったサラリーマンがいた
帽子やジャケットで隠れてはいるものの 派手な見た目をしている自分が、少し場違いに感じた
春千夜
周りを見ているうちに気がついた
毎回俺の近くにいるはずの あの女が居ない
いつもなら声が聞こえなくても 持ち前のオーバーリアクションで自分の存在をアピールしているのに
春千夜
妙に寂しさを感じた 知らない場所でもないのに、異常に不安が混み上がる
春千夜
しかしそんな気持ちを ひとつの着信音が断ち切った
春千夜
携帯画面に映る非通知の文字に怪しさを感じながら、俺は電話に出た
電話越しに聞こえてきたのは 激しい雨の音だけ
春千夜
相手にそう聞くが 一向に喋る気配はない
春千夜
電波が悪いのか、 大雨の影響で携帯が壊れかけてるのか
聞こえてくる音が 頻繁に途切れたりしている
春千夜
春千夜
電話を切ろうとしたその時、 雨の音でかき消されてしまうほどの、弱くてか細い声が聞こえてきた
俺が返事をする前に、電話は切れてしまった
春千夜
春千夜
慌てて飛び起きる 視界に入ったのは自室ではなく、会社の仮眠室だった
春千夜
春千夜
寝起きで頭が働かないまま周りを見る 部屋には誰もおらず、サイドテーブルにはスマホとあのピアスが置かれていた
春千夜
春千夜
夢であったことを思い出し 急いでスマホを手に取る
震えたままの手で通話履歴を探ると 見覚えのある電話番号が目に入る
いてもたってもいられず 俺はその電話番号に電話をかけた
春千夜
コールの音が何度も耳を通る 体の震えが止まらず、スマホを持つ力が強くなる
そしてしばらくだったあと 電話越しに声が聞こえた
【お掛けになった電話番号は現在使われておりません】
春千夜
ヒュッという呼吸音と共に息が止まった
電話越しに聞こえたのは 無機質な人間味の感じない声だった
途端に力が抜け、耳からスマホが離れる
それと同時に強い寂しさを感じた
それは雨の中で感じたものとは、 比にならないものだ
「喪失感」
そんなものに近いだろう
自分の中で何かが欠けたような 心に穴が空いたような気分だった
春千夜
ガチャッ…
一人喪失感に駆られていると 突然、部屋のドアが開けられる
蘭
春千夜
入ってきたのは、灰谷の兄の方だった
予想だにしない人物の登場に 俺の思考が一瞬止まった
蘭
春千夜
いつもなら、目が合えば すぐに悪態をつくような関係だ
だが今だけは こいつに悪態をつくどころか、睨みつけようとも思わなかった
今の俺に、そんな気力はなかった
春千夜
蘭
春千夜
蘭
蘭
春千夜
嘘を言っているようには見えなかった
口調も態度もいつも通りだが 自分の温まった体を見るに、疑う余地などなかった
蘭
蘭
春千夜
蘭
蘭
春千夜
いつも通りバカにされ 思わず悪口が飛び出した
そんな俺の言葉を気にすることなく 灰谷はベッドに腰をかける
春千夜
蘭
春千夜
突然の質問に思わず身震いする
聞かれたくなかった 話したくもない
そんな気持ちが頭をよぎり 思わず目をそらす
蘭
蘭
蘭
春千夜
蘭
春千夜
蘭
春千夜
いつも通り腹の立つ言い分だ 聞き慣れていても、口からはすぐに暴言が飛び出す
蘭
春千夜
蘭
蘭
春千夜
蘭
春千夜
なんとなく返事をして 話を聞いていたが
正直気になっていたので 若干前のめりになりながら耳を傾けた
蘭
蘭
春千夜
蘭
蘭
蘭
蘭
春千夜
春千夜
蘭
蘭
灰谷は柄にも合わず 辛そうな顔をしていた
力の抜けたような吐息混じりの声で そう言って頭を抱えている
春千夜
蘭
春千夜
春千夜
春千夜
春千夜
蘭
春千夜
春千夜
春千夜
蘭
春千夜
春千夜
春千夜
自分でも驚く程に 本音がこぼれ出ていく
大嫌いな奴にこんな姿を見せるなんて 普段の俺じゃ絶対にありえない
春千夜
春千夜
春千夜
春千夜
春千夜
気づけば、涙が頬を伝っていた
さぞ滑稽な顔をしているだろう 喪失感と寂しさに押し潰され、力のない手で胸元を掴んで
目の前の人間に 訴えかけることしか出来ない
春千夜
春千夜
春千夜
蘭
春千夜
蘭
春千夜
春千夜
春千夜
春千夜
蘭
春千夜
春千夜
春千夜
春千夜
春千夜
春千夜
春千夜
春千夜
春千夜
春千夜
蘭
ガシッ!!
俺がそう言うと、 灰谷が突然両肩を掴んできた
春千夜
蘭
蘭
灰谷の声が部屋中に響き渡った そのあまりの大きさに、身体が硬直した
蘭
蘭
蘭
春千夜
蘭
蘭
蘭
蘭
春千夜
蘭
蘭
蘭
蘭
蘭
灰谷は俺に言い放つと 堰を切ったように泣き始めた
こんな姿初めて見た どうすれば良いか分からず困惑した
それと同時に、 灰谷に言われたことがずっと脳内を駆け巡っていた
「知らないのではなく忘れている」 「自分の意思で忘れている」 「あいつは俺に思い出して欲しかった」 「忘れている?否定している?」
まだ全部は分からないが きっとこいつは、話せることを全て話したのだろう
目の前で情けなく泣きじゃくる姿を見て 俺は密かにそう感じ取った
To Be Continued…