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春千夜

(あいつ、大丈夫かな…)

春千夜

(あの後竜胆が来て、任せろとは言われたけど…)

春千夜

……………

竜胆

マイキーのところに行け

竜胆

あいつなら全部知ってる

竜胆

あの時出たのは、あいつだから

春千夜

(マイキーが、全部…)

春千夜

(つかあの野郎、マイキーをあいつ呼ばわりしてんじゃねーよ)

春千夜

(無性に腹立つな)

先刻あったことを思い出し 一人イライラしながら廊下を歩く

春千夜

(そういや出たって、何に出たんだ?)

春千夜

(どこかに出向いたとか、そういう意味じゃなさそうだな…)

マイキー

三途

春千夜

えっ!?あ、はい!!

突然名前を呼ばれ 自分でも驚くほどの大声が飛び出した

目の前にはいつの間にかマイキーがおり いつも通り、光のない顔をしている

マイキー

前見て歩かないと危ないぞ

春千夜

す、すみません

春千夜

あの、マイキー…

マイキー

なんだ?

春千夜

その、ちょっと聞きたいことが…

マイキー

………………

マイキー

着いてこい

春千夜

え?

マイキー

早くしろ

春千夜

あ、はい!

二度目少し強めに声をかけられ 勝手に体が動いた

マイキーは振り向きもしない ただ前を見て廊下を進むばかり

春千夜

(どこに行く気だ…?)

しばらくついて行き たどり着いたのは古い資料室

以前までは使っていたが 改装に伴い、新しい資料室を作ったため

ここはもう よっぽどの事がない限り来ることは無い

春千夜

マイキー、ここで何を…

マイキー

……………

バサバサ、ガタンッ!

春千夜

!?

するとマイキーは突然、 棚に陳列されていたファイルを床に落とし始めた

無数のファイルとホコリが舞い 床は足の踏み場が無くなったが、マイキーはやめる素振りを見せない

春千夜

マイキー、何して…

マイキー

…ッ…!!

ガンッ!!

硬直する春千夜を横目に マイキーはある棚に蹴りを入れた

すると棚の1番上に置かれていた 一つのファイルが落ちてきた

それはかなりホコリを被っており 少なくとも一年以上は、あの場所に置いたままになっていたのだろうと推測できる

春千夜

これは…

マイキー

中を見てみろ

マイキーに促されファイルを開く

春千夜

…ッ…!

中にあったのは 見覚えのある女性の写真とたくさんの資料

だが写真の女性の顔には霧がかっておらず 陽光のような優しい笑顔を浮かべをている

資料の多くはグチャグチャで 水のようなものが染みて文字がかすれており、とても読めるものでは無かった

マイキー

ちょうど三年前まで、ここの社員として働いてた奴だ

マイキー

要領がよく優秀、仕事も早い
愛嬌のある人気の社員だった

マイキー

だが体が弱く病気がちで、任務はせず事務中心、会社を早退して病院に行くことも多かった

マイキー

……この人は、お前の恋人だった

春千夜

恋人…!?

マイキー

出会いは中三の時、
あの公園のベンチが始まり

マイキー

お前がそう言ってた

マイキー

お似合いだって、みんなそう言ってた

マイキー

もちろん俺もそう思ってた

マイキー

あの二人は、これからも続くだろうって

マイキー

でも、三年前のちょうど梅雨時の半ば

マイキー

この人は死んだ、あの場所でな

春千夜

…ッ…、!

予想外の言葉に息が詰まった

「あの場所」 その言葉だけで、どこなのかが分かった

マイキー

任務で敵の銃弾を食らい、あの場所まで逃げたが、その後に死亡した

春千夜

え、ちょっと待ってください

春千夜

病気の関係で、
任務は行かないはずじゃ…

マイキー

ああ、そのはずだった

マイキー

だがこの日だけは、任務に行きたいと本人から申し出が来たんだ

マイキー

任務は初めてだが、それなりに実力はあるし、何より人手不足だったから許可したんだ

マイキー

だがまさか、こんなことになるなんて、誰も思わなかった

春千夜

……………

マイキー

あの日、電話が来たんだ

マイキー

時間は深夜2時過ぎ、大雨の影響で電波が悪いのか、声が途切れ途切れだった

春千夜

(深夜2時過ぎ…大雨…途切れ途切れ…?)

マイキーの言葉に どこか、思い当たる節があった

今まで聞いてきた話が頭を駆け巡る それと同時にあの夢が思い起こされた

春千夜

……!!

途端、雷に打たれたような感覚に襲われた

そして次の瞬間 頭に記憶が流れ込んできた

???

三途くん

春千夜

何ですか?

???

私ね、初めてなんだ

???

こういうお店に来るの

春千夜

そうなんですか

春千夜

じゃあ、沢山食べないとですね

???

うわっ、チョリソー辛い…

春千夜

またそれ頼んだんですか?
辛いの苦手なのに…

春千夜

ほら、俺が食べますから

???

大丈夫!絶対克服してやるから!

春千夜

意地っ張りですね

???

お待たせ!

春千夜

お、やっと来たか

???

ごめんね、着付けに手間取っちゃって…

???

てか三途さん可愛い!私より女の子!

春千夜

んなわけねぇだろ
意味分かんねーこと言うな

???

ホントだよ!

???

このピアス、本当にいいんですか…!?

春千夜

いいからあげてんだろ

???

ありがとうございます!嬉しいです!

???

早速付けちゃおっと!

???

…ん?うーん、あれ?上手く付かない…?

春千夜

不器用だな、貸せ

???

え、ちょ…

春千夜

…………ほら、付いたぞ

???

あ…ありがとうございます

春千夜

何赤くなってんだよw

???

な、なってないです!

???

お願い、行かないで…

春千夜

んな事言われても、もう決まっちまったし…

???

貴方じゃなくたっていい…

???

帰ってこられないかもしれない…!

春千夜

んだそれ、俺がヘマするってことか?

???

違う、そうじゃない…

???

ただ貴方が心配で…

春千夜

大丈夫だって。今まで色んな任務行ってるけど、ちゃんと帰ってきてたろ?

???

そうだけど、でも…私が言いたいのは…

???

…ッ……どうして、分かってくれないの…

春千夜

おい、大丈夫か?どうしたんだよ…

???

もういい…

???

三途さんなんて知らない!!

???

[…ッ…はる、ち…よ、さん]

???

[だい、す…き…ッ…]

春千夜

え…?

春千夜

おーい!出張任務から、
春千夜様が帰ってきたぞー!

ココ

うるせーな、開口一番にそれかよ

鶴蝶

おかえり、疲れてるだろ?
悪いな、先にこっちに来てもらって

春千夜

別にいいけどよ…

春千夜

ん?

春千夜

おい、なんであの席片付いてんだ?

ココ

何言ってんだお前?
あの席は随分前から空席だろ

春千夜

は?いや、そんなわけねぇだろ

春千夜

あの席でいつも仕事してたろ
事務の……その、俺の嫁!

ココ

だから知らねぇっての

何何?何の話?

ココ

お前ら、あの席ってずっと空席だよな?

ココ

なんか三途の嫁の席らしいんだけど…

そのはずだけど?
つか三途の嫁って何?

竜胆

三途の嫁?何だそれ?w
ついに幻覚見るようになった?w

鶴蝶

俺も知らないな

春千夜

そんなわけねぇ…!!

春千夜

お前らだって沢山関わってたのに、なんで覚えてねぇんだよ…!!

んな事言われても、
知らねぇもんは知らねぇし…

竜胆

薬も程々にしろよ〜

春千夜

(そんなわけない、あいつは絶対にいた)

春千夜

(幻覚な訳ねぇ…!!)

マイキー

おい三途、何してんだ?

マイキー

資料室荒らすな、
これじゃ足の踏み場もねぇ…

春千夜

違う、嘘だ……そんなわけねぇ…

春千夜

あいつは…

春千夜

あいつは死んでなんかいねぇ!!

マイキー

…!

マイキー

お前、そのファイル…

春千夜

嘘に決まってる、こんなもん…!!

春千夜

裏切り者の銃弾を受けただ!?
有り得ねぇだろうが!!

春千夜

あいつは元々体が弱ぇから、任務になんかいかねぇんだよ!!

春千夜

喧嘩して、俺に愛想尽かして、ただいなくなっただけだ…!!

マイキー

三途…

春千夜

………いなくなった?

春千夜

ははっ…違う、そうだ、そういうことか…

春千夜

元々、いなかったんだ…

マイキー

…!?

春千夜

みんな、知らねぇもんな…あいつのこと…

春千夜

そう言ってたもんな…

春千夜

元からいねぇなら、
知らないに決まってるよな

春千夜

周りがおかしかったんじゃねぇ、俺がおかしかったんだ…ッ…

春千夜

なあそうだろ、マイキー…?

マイキー

……ッ………あ、ああ…

春千夜

ははっ…俺、今まで何してたんだろうな

春千夜

あったはずのあいつの物も、入っていたはずのあいつの連絡先も、何もねぇのに…

春千夜

生きていた証なんか、ひとつもねぇのに…

春千夜

何を根拠に言ってたんだ、俺は…w

春千夜

さっさと…忘れねぇとな、こんな記憶

春千夜

もう、必要ねぇ…

マイキー

三途…

俺の頭に全てが流れ込んできた

忘れかけていた 忘れようとしていた

だけどそれは 決して忘れるべきじゃなかった

大好きな人との大切な記憶

涙が止まらなかった

気づいてしまったんだ

喧嘩したあの日 あいつが俺を、任務に行かせたくなかったのは

俺の身を案じたから それだけじゃない

最期の時を 俺と過ごしたかったんだ

病気が悪化して余命宣告をされて 死ぬであろうその日が、ちょうど俺が任務に行く日で…

そりゃ、泣きたくもなる

俺は何も気づけなかった 本当に最低だ

マイキー

三途…

マイキー

これ、忘れ物

春千夜

…!

目の前に出された手 その中には、あのピアスがあった

春千夜

マイキー…?

マイキー

行ってこい

マイキー

まだ、雨は降ってる

春千夜

…ッ…!

その言葉を聞き 俺はピアスを受け取ると、資料室を飛び出し廊下を走った

外へ出ると、案の定雨が降っていた

傘を差す人間たちに紛れ 俺は大雨の中、アスファルトを駆ける

涙は未だに止まらないまま 俺の頬を流れ続けている

だが降る雨がそれを隠してくれた

そう、雨はなんだって隠す

涙も、温もりも、視界も そして時には音も

やっとの思いで あの場所にたどり着いた

周りに人はほとんどいない もちろんあいつも

冷えきった身体を震わせながら 俺はベンチに腰を下ろす

春千夜

(頼む、来てくれ…)

前かがみになり、下を向く 手の中にあるピアスを両手で握りしめ、ただそう願った

「会いたい」 ただその一心だった

春千夜

……!

身体を打ち付けていた雨が消え 同時に、雨が弾かれる音が聞こえる

下を向いたまま、俺は口を開く

春千夜

ちょうど、このくらいの時期だったよな

春千夜

喧嘩に負けた俺に、
お前が傘をさしたのは

春千夜

「泣いてるんですか?」って言われて、その言葉にムカついてキレたんだよな

春千夜

まあここだけの話、負けたのが悔しくてちょっと泣いてたんだけど…

春千夜

そこからまさか付き合うことになるなんて、思いもしなかったぜ

春千夜

結局最後はあんな酷ぇ形で、
好きの一言も言えなかったけどな…

後悔に溺れていた これ以上話しても、自己嫌悪の言葉しか出そうにない

次の言葉が出てこず、口が止まった

だが冷えた俺の頬を 温かな手が触れ、そっと上に向かせた

目に入ったのは 俺を見つめる優しい眼差し

春千夜

…ッ…俺、思い出したんだ

春千夜

お前の声も、顔も、名前も

春千夜

忘れたりしてごめん…

春千夜

気づけなくてごめん…

春千夜

最期の日…一緒にいなくて、ごめん…

春千夜

もう絶対忘れたりしねぇ、約束する…!

春千夜

だから頼む、最後に…

春千夜

お前の声、聞かせて欲しい…

  

春千夜さん…

  

愛してる

春千夜

……ッ… !

春千夜

俺も、愛してる… !

涙で視界を奪われ もう何も見えなかった

ただ俺の頬に触れる温かい手が あいつがまだいることを教えてくれる

しかし次第に手は離れ 雨の遮る音が消えていく

消えていく温もりを必死に探す中 俺の身体を打ち付けていた雨が無くなった

雨が上がった

そう思い上を向くと、 眩しい夕焼けが目に入った

頬の温もりは消えた、 だけど体はなぜか温かい

涙と雨を拭って立ち上がる

春千夜

泣きたくなったら、いつでもここに来い

春千夜

今度は俺が、お前に傘をさす番だ

ピアスを夕日にかざした 雨粒が反射して、それは眩く光る

永遠を誓った愛しい人を想いながら 俺はピアスにそっとキスをした

Normal End 【雨上がりの夕焼けに】

雨時、君の声が聞こえる

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コメント

27

ユーザー

これバットENDとhappyendどちらもあります!? (゚∀゚*)(*゚∀゚)

ユーザー

凄…ちょーロマンティック(?) てかあの、聞きたかったんですけどタイトルの【雨上がりの夕焼けに】の横にあった英文(なんとかendって書いてました)ってどーゆー意味なんですか、?(毎度毎度ほんとにすみませんごめんなさい馬鹿なんです私どうしようもないくらい馬鹿なんですごめんなさい) てかほんとにもう本屋とかにある小説レベルですよマジで。 澪様まじ天才すね、尊敬します笑

ユーザー

正直もう1冊の本ですね…泣きました( ᵒ̴̶̷̥́~ᵒ̴̶̷̣̥̀ )本当に最高です…

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