シクフォニ十二支

５日目、昼

道場にて

俺らは今、連携を強化するために魔導具で出来た仮想の敵を倒す訓練をしていた

ｷﾞｷﾞｯ

まず、俺が先手で攻撃をしかける

ｻﾞﾝｯ

敵が俺に気を取られているうちにこさめが背後に回り込みとどめを刺す

実験室にて

すち視点

俺達は今、魔導具の風速の適度な速さを模索していた

昨日と一昨日で魔導具を使うタイミングはほぼ掴めたが、風力がまだよく分かっていない

風力が弱すぎては大きな被害を与えられないし、強すぎては睡眠ガスが広がりすぎて薄くなってしまうという難しいところだ

ので、今日はまたもしょーさんを実験台とし風速何ｍの時が１番効くのか試しているのである

手順は簡単。

まず、しょーさんと俺しかいない密室に睡眠ガスを入れ、風速を0.1mずつ変えながら兄さんに睡眠ガスの風を送る

そしてひと通り終わったらどの風速の時が最も眠くなるか しょーさんに教えてもらう

地道な実験だが、みことちゃんを助けるためならこのくらい朝飯前！

ｼｭｳｳｳ…ﾌﾞｵｯ

さっきからあくびを噛み殺していた兄さんを仮眠に送り出し、ひと息つく

試射場にて

らん視点

李源郷（りげんきょう）にて

みこと視点

あたまがいたい

視界がぼやける

何も考えられない

そんな毎日だった

この前大好きだったみんなに裏切られてから、生きる気力すら湧かなくなっていた

頭痛も強くなるばかりだし

ｺﾝｺﾝ

ズキッ

頭が急に痛みを訴える

ズキ…ズキ…

伊沙儺様の声に集中すると、痛みが薄れてくる

伊沙儺様に褒められると、なぜか頭痛が引く

俺は痛いのが嫌いだ

だからこそ、伊沙儺様の傍にいることが心地よいと思ってしまう

けど、俺の本能が伊沙儺から離れろと叫ぶ

俺は考えをまとめることができないまま、部屋を後にした