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獣たちと契約せし日
1話:主の証
俺は生まれながらの不運体質だ。
名前は雨宮真琴。
21歳、大学三年生。
ごく普通の大学生のはずなのに、
どういうわけか 人生の大半が災難の連続である。
今日だって、バイト先では トレーを落として制服を汚し、
迷惑客に騒ぎ立てられ、
周囲に迷惑をかける。
店長に突然解雇を告げられるのも、 もう何回目か数えきれない。
駅では足を滑らせ、
財布を盗まれ、
踏んだり蹴ったりだ。
これが一日だけならまだいい、
だが毎日だ。
必ず何かが起こる。
俺は、本当に運が悪すぎる。
雨宮 真琴(アマミヤ マコト)
やけ酒をあおりながら、ため息を吐く。
そのとき、今日駅前で出会った 怪しい老婆のことを思い出した。
長い白髪をまとめ、妙に ぎらついた目をしていた。
俺が横を通り過ぎようとしたとき、 老婆はにこりと笑った。
怪しい老婆
ぎくりとする。
雨宮 真琴(アマミヤ マコト)
苦笑いを浮かべる俺に、老婆は小さくつぶやいた。
怪しい老婆
雨宮 真琴(アマミヤ マコト)
聞き返した瞬間、古びた小さな本をぽん、と押し付けられた。
怪しい老婆
雨宮 真琴(アマミヤ マコト)
正直、小汚くてあまり触りたくはない。
だが酔った勢いで、 俺はその本を開いていた。
特に何も起きない。
古い文字と図形が並んでいるだけだ。
雨宮 真琴(アマミヤ マコト)
ページを閉じようとしたとき、 ある言葉が目に留まった。
「悪魔界への扉」
そのページには、紫色の魔法陣の書き方と丁寧な手順、そして呪文が書かれていた。
どうせ何も起きない。
そう思いながら、冗談半分で その通りにやってみる。
手順通りに指を動かし、呪文を口にする。
数秒、沈黙。
雨宮 真琴(アマミヤ マコト)
その瞬間。
床に紫色の魔法陣が浮かび上がった。
雨宮 真琴(アマミヤ マコト)
体がふわりと宙に浮く。
次の瞬間、 壁一面に巨大なゲートが出現した。
引きずり込まれる。
雨宮 真琴(アマミヤ マコト)
気が付けば、地面に叩きつけられていた。
雨宮 真琴(アマミヤ マコト)
顔を上げる。
そこは古代遺跡の跡地だった。
欠けた柱。崩れた石壁。蔦の絡まる瓦礫。
外は夕暮れで薄暗い。
だが、地面に描かれた大きな魔法陣が 青白く発光し、周囲を照らしている。
雨宮 真琴(アマミヤ マコト)
雨宮 真琴(アマミヤ マコト)
背筋がぞわりとする
そのとき。
???
低く鋭い声。
振り向くと、黒髪に金のメッシュを入れた男が立っていた。
鋭い目。鍛え抜かれた体。そして、頭には
―― 虎の耳。
???
ブロンドのウルフヘアの男が冷静に周囲を観察している。
狐の耳がぴくりと揺れた。
???
白髪の細身の青年が不安げにあたりを見回す。
垂れた兎耳が震えている。
???
大柄な男が黙って立っている。
熊の耳がゆらりと揺れた。
雨宮 真琴(アマミヤ マコト)
雨宮 真琴(アマミヤ マコト)
雨宮 真琴(アマミヤ マコト)
全身の血の気が引く。
その瞬間、魔法陣が強く脈打った。
ドクン
胸に激痛が走る。
雨宮 真琴(アマミヤ マコト)
心臓を握りつぶされるような痛み。
周りにいるほかの四人も同時に苦しみ始める。
虎の男はうなじを抑え、
熊の男は太ももを、
狐の男は右腕を、
兎の青年は左手の甲を。
やがて痛みが引いたとき、俺の胸には紋章が浮かび上がっていた。
その場にいた五人は、即座に一か所に集まって話し始める。
???
???
狐の男が、どこか愉しげに微笑む。
雨宮 真琴(アマミヤ マコト)
俺の声は震えていた。
彼はゆったりと俺の方へ歩み寄る。
夜の光を受けて、彼のネイビーの瞳が妖しく揺れる。
???
???
落ち着いた、低く滑らかな声。
???
???
彼は指先で自分の紋章をなぞる。
???
???
???
視線がゆっくりと俺の胸へ落ちる。
雨宮 真琴(アマミヤ マコト)
空気が凍る。
虎の男が一歩前に出た。
???
金属音が響く。
鞘から剣が抜かれる。
雨宮 真琴(アマミヤ マコト)
俺が息をのんだ瞬間、狐の男が軽く肩をかすめた。
???
妖しげに笑う。
???
???
虎の男は睨んだまま止まる。
狐の男はゆっくりと続ける
???
???
虎の男の剣が止まる。
狐の男は俺へと視線を戻す。
???
雨宮 真琴(アマミヤ マコト)
???
???
一歩距離を詰める。
???
耳元近くで、囁くように。
???
背筋がぞくりとした。
そのとき
兎の耳を生やした青年が震える声で話す。
???
地面が揺れる
遺跡の影がざわめく。
狐の男がくすりと笑う。
???
振り返りもせずに言う。
???
ゆっくりとこちらを見て。
???
魔獣の方向が響く。
狐の男の唇が弧を描いた。
???