この作品はいかがでしたか?
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コメント
6件
普通に漫画化して欲しいw
ふあっふあっふあっすき
曲パロ 『狼は赤ずきんに恋をした』
いつも通りの俺の日常
そんな中のちょっとした偶然から始まる場面〈ワンシーン〉
少し遠くに見えたのは、
揺れる赤い頭巾の女の子
少し不思議な雰囲気を纏った森の中を通っていた
おばあちゃんのお家に行くまでの道
そんな森の奥で見つけた黒い影
何か良くない事が起こりそうで、私は怖くて逃げ出してしまった
あの子と出会ったら、今が変わってしまうかもしれない
もし出会っちゃったら、何かが終わるかもしれない
だからわざと、君に会わないように遠回りをしていた
『会いたい』とか『触れたい』とか『話したい』とか、俺は思わないよ
か弱くて可愛い君……確か、おばあさんに ありす って呼ばれてたな
か弱くて可愛いありすさんと、狡くて1人の俺が出会う事
それが何かの終わりの合図
しいな黄昏
こんな事を残酷だっていくら罵っても、1度決まった運命は変わらない
しいな黄昏
しいな黄昏
しいな黄昏
きっと君は今日もこの道を通ってくれる
なのに俺はまた今日も、君が通るのを見守る事しか出来ない
この前おばあちゃんのお家へ行った時、おばあちゃんが教えてくれた
森にいる狼の中で特に大きい狼がいる
その狼は元々人間に飼われていたらしくて、 しいな黄昏 と名付けられていたらしい
ありす
……きっと君は、しいなは今日もあの木の先でいつもみたいにずっと隠れている
私は気付かないふりをしながら通るしか出来なかった
いくら願っても、君との視線が絡まる事は無い
いくら祈っても、君への声が届く事は無い
ただ、
君がこの道を通る度につく小さなため息だけは
俺のため息と虚しく重なっていた
別に俺は君と話せなくても、会えなくても
触れられなくてもいい
ただそこに、少し頼りない君と 緊張でぎこちない俺がいるだけでいい
離れていたって背中合わせだっていい
2人でそこにいれるなら、なんだっていい
この気持ちを、人間がよく言う『コイ』だって呼ばないなら
いっその事言葉なんてなくていい
言葉なんてあってもなくても君と話せないんだから
俺の言葉と君の言葉を交わす事なんてないんだから
しいな黄昏
しいな黄昏
どれだけ時間をかけて考えても答えは出てこない
俺らの最後〈エンディング〉を変える答えなんて、出るはずがなかった
俺も人間だったら、君と同じ世界で君と同じ事が出来たのに
私も狼だったら、君ともっと近くで同じものを見れたのに
ありす
しいな黄昏
ありす、さんは
俺に微笑んだ
しいな黄昏
会いたかったんだ
ありす
触れたかったの
しいな黄昏
ありす
君と話したかった、本当は
誰よりも綺麗で、可愛らしい君と
誰よりも頼られる、優しい君が
この森で出会って仲良くなって、そして結ばれる終わり〈エンド〉
何回だって
…何回だって
神様に 願ったよ
……でも、
悲しい、くらい
…かないし……くら、い
しいな黄昏
ありす
しいな黄昏
ありす
俺は背中に鈍い痛みを感じた
その痛みの原因は分からない
狩人なのか、仲間の狼なのか
ただ、分かるのは
ここに 血を流す俺と、涙を流す君がいる事
しいな黄昏
ありす
ありす
しいな黄昏
涙を流しててもこの子は綺麗なんだな、なんて考える
俺は泣いている君を抱き締めたかった
大丈夫だと、安心させたかった
しいな黄昏
ありす
ありす
ありす、誰よりもずっと愛してるよ
今すぐにでも抱き締めたいよ
だけど
しいな黄昏
出来ないんだよ
こんな手で君を抱き締めたら、君が血で汚れるかもしれない
それに俺は狼
元々ある爪も牙も、どうやっても消えないんだよ
だから
しいな黄昏
ありす
君の涙が止むまで、ずっとあの木の先で待ってるよ
なんて事、俺には出来なくて
俺は自分の爪を噛み切り、近くの石で思い切り牙を折る
ありす
しいな黄昏
俺はありすを力いっぱいに抱き締めた
意識が遠くなる
しいな黄昏
しいな黄昏
ありす
ありす