この作品はいかがでしたか?
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コメント
21件
昨日から見させてもらっていました。 主様本当に物語の作り方が上手で凄すぎます!水くんの過去が苦しすぎました…でもそれを受け入れてくれた紫ちゃんが水くんの1つの希望で、紫ちゃんも自分を受け入れてくれた、優しく接してくれた水くんが一筋の光。この関係めちゃくちゃ好きです。次は青桃赤ですね…主様これからも応援してます!頑張ってください
夜中に続きが気になりすぎて3時半までこれ読んでました! うん。神ですよ、闇が深い系 続き待ってます!(語彙力消滅
____それはまるで、
幼い時の彼のような、
または、絶望していた頃の僕のような、
路頭に迷う子供のような、
悲痛な叫び声だった。
水の名家、チェレステ家。
……………それが、僕の生まれであり、
この世に生まれた瞬間から付けられた肩書きだった。
母
父
ほとけ
齢6歳にして突きつけられた現実。
今までは優しく、寛容だった両親が急に冷たくなった。
その変わりように、僕は幼いながらも激しく絶望した。
そして、理解したのだ。
…………あぁ、僕は。
才能が無い。
…………今冷静に考えれば、才能自体はあったのかもしれない。
ただ、当時の僕は、元が炎属性なこともあり、
水系統の魔法は全くと言っていいほど使えなかった。
使えても、偶然かほんの僅か。
………だから、“才能が無い”と一概に錯覚していた。
チェレステは完全実力主義。
父より強ければ、父に歯向かっても許される。
そして、さすが“水の大神オケアノス”と呼ばれるだけあり、
誰しも、実力は桁違い。
まるで最新鋭の戦闘機のような。 強いが、優しくはない。
そんな、人の心の無い人が沢山いた。
…………当時の僕は、“強くなる”ことしか両親に見てもらう術を知らなかった。
強くならなければ裏社会へ売り飛ばされる。
名家の息子ともなれば値は相当高いだろう。
…………売られるまで、あと1ヶ月。
ほとけ
ほとけ
ほとけ
敷地の森で、ひたすらに水の魔法の練習を続けた。
威力が欲しい。
細かな操作など二の次だ、
まずは誰よりも強い強烈な魔法を使いたかった。
元々の魔力の量は群を抜いて優れていたからか、それとも、
そのことばかり考えていたからか、
僕は初兎ちゃんのような繊細な扱いはできないものの………
“威力”に関しては、
当時通ってた学園で1位、 6歳にして一族上位。
そこまで伸ばすことが出来た。
………売られる前日。
部屋の結界を破り森へ出かけていることがついにバレた。
そして、僕の元まで両親が来たのだ。
………バレた、怒られる、殺される。
そう、思っていたが。
父
父は、僕の周りの薙ぎ倒された大木を見て、目を見張った。
ほとけ
母
ほとけ
父
ほとけ
“後から炎よりも水の方が上手く使えることに気付いた”
僕はそう、嘘をついた。
ほとけ
父
父
父
父
父
母
僕は、何とかもう一度、失った愛を取り戻すことができた。
…………でも、
それと同時に、悟った。
きっと、長くは続かない。
“威力”だけを無理やり伸ばした。
元々炎属性であることには変わりが無い。
だから、
身体が持たなかったのだ。
今は慣れ、何とか平常を保ててはいるが、
当時は、吐いて、倒れて、過呼吸を起こしてを繰り返していた。
だからだろうか。
一生“水属性”と嘘を突き通せる自信が無かった。
どこかでバレたらどうしよう。
もう一度捨てられたらどうしよう。
そう考えると、
死にたくなった。
……………だけど。
初兎
本当のことを話しても、
認めてくれる、好きだと言ってくれる人がいることを知った。
…………それは、守るべきものだと知った。
If
If
だから、
悪者になってでもいい。
皆を守ろうと。
………僕を選んでくれたいふくんの役に立とうと。
そう思った。
ほとけ
悪者になってもいい。
世界の、綺麗なところだけを皆にあげて、
僕が影になろう。
ほとけ