健
絶対にここで打ってみせる…
健(けん)は中体連新人戦の準決勝で2アウトランナー2、3塁の場面で打席に立っていた 点数は2対0で負けており、6回の裏だ。
健は気合いの声を出し、バットを構える
健
っしゃこいやぁー!
ブォン!
ブン!
健
(なんで当たらないんだ)
健
(く、くそ…)
ノーボール2ストライクなのにも関わらず、健は焦ってしまいボール球に手を出し三振してしまった
健
なんでだよ…なんでこんな結果に…
健は豆だらけの手を見て目頭が熱くなった
蒼太
おい、何泣いてんだよ、まだ分かんねーだろ?
健の友達の蒼太(そうた)はグローブをもって健を慰めた
健
な、泣いてねーよ、まだ諦めてねーし
蒼太
あぁ、とりあえずここ、3人でおさえようぜ!
蒼太はサードで、健はショートだ。2人はキャッチボールをして心を落ち着かせる
相手は下位打線で、ピッチャーの涼が三者凡退におさえてくれた
健
ナイスピッチャーっ!
涼
おう、サンキュ
こちらの攻撃はクリーンナップから始まり、3人で1点を得点した。
蒼太がネクストバッターサークルから離れ、打席にたつ。
蒼太
よっしゃ、俺の番か、思いっきりうってやるぜ
蒼太は初級からフルスイングし、見事にレフトの頭を超えていった。
1塁にいたキャプテン祐五郎(ゆうごろう)が、ホームベースに帰ってきて、続いて2塁にいた4番剛(つよし)が帰ってきてサヨナラ勝ちをした
チームメイトの母親が大声をあげる。
健
はぁ、結局俺は何も出来なかった…くそ…
涼
おいおい泣くなよ。お前だってショートゴロ上手く裁いてただろ?
健
あんなのできて当たり前なんだよ!俺は何も出来なかったんだ!
涼
あ、明日があるさ、明日決勝だし、結局今日だって結果オーライだろ?明日活躍できるように頑張ればいいさ!
健
…あぁ、がんばるよ…
その日の夜
健
はぁ、どうしようかな…
健
ん?なんだこれ?
健の目線の先には机の下にある1つの小さい箱があった
健
こんなのあったっけ?
健
あれ、なんか書いてるぞ?
健
この箱に入っているものはとても危ない薬ですが、成功すると自分の思う通りに体が動く。効果は2日続くだって?
健
バカバカしい…こんなの捨ててしまえ
ゴミ箱に捨てようとした健の手が、とまった
健
成功すると、体が思うように動く…
健
失敗すると、なにがあるんだ?
健
そんなの考えてられない!これを飲んで、明日絶対に勝つんだ!
健はそう誓うと、1錠の薬を飲み込んだ
薬を飲んでたった数十秒後、体に異変を感じた
健
うおぉ、なんだこれ、体が熱い、熱いぞ
健
ううう、溶けてしまいそうだ
健はそんな中、強い睡魔に襲われ、傍にあったベッドに横になってしまった
翌日(6:30)
健
んん、はぁ〜あ
健はあくびをして、昨日の出来事を思い出した。
健
あ、そういえば昨日、変な薬を飲んだはず、でも体に異常は無いし、昨日みたいに熱くないし、今日は行くしかないな。
そう呟いて健は急いで朝飯を終え、家を飛び出した
健
やばいやばい、遅れちまう、走れ走れ!
すると健の歩幅が3m以上になり、健のスピードは異常な程にはやくなった
健
おおお、なんだこれ、上手く体の動きをコントロールできねぇ
健は転んだ
健
いてて
健
てかおい、なんだ今の!もうこんなに進んだのか?夢でも見てるのか俺!
健
いや、これは夢じゃない、それだけはわかる
健は昨日の出来事を思い出した
健
これは、昨日の薬の効果なのか?
健
だとしたら…