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りょう

泡沫の恋(うたかた)

りょう

いってらっしゃい

さとみくん!

ねぇ、さとみくん!

愛してるよ?

…ハッ!

また、あの夢

誰なんだよ…。

俺の名前を呼んでるあの人は…

俺の大切な人なんだとは思うんだけど、思い出せない。

顔も、姿も…まるで濃い霧が覆いかかってるみたいに

あぁ、もうそんなの考えても仕方ないか

学校について授業なんか受けなくたってテストで上位を取れるし

本当、人生って、つまんない、なぁ…

あれ、俺何してたっけ?

さとみくん!

会いたかった!

さとみ

…?

会いたかった?

俺、こいつのこと知らない…

…いや、知ってる。

なんで、今まで忘れてたんだろう。

ころん、ころんだ。

俺が生きる理由。 何度いなくなっても見つけ出す

そう決めてたのに

さとみ

あぁ、ころん…?逢いたかった

さとみ

…っっ!

思い出した。

探さないと。

ころん、どこに…

くそ…そんな簡単に見つかんねぇよな

早く、早くころんに会いたい。

会って、確かめたい。

ころん、ころん…。

今はどこにいるんだよ。

梅雨入り前の蒸し暑い空気が俺を包み込んでいた。

それから数ヶ月が経ったカラッとした暑さのする日に、いつものようにころんを探して歩いていた

すると、ふっと甘い香りがした。

ころんの匂いだ!

なぜか、そう思った。

さとみ

ころんっ!

思わず叫んだ俺に君はゆっくりと振り向いて、優しく、でも悲しそうにニコッと微笑んだように見えた。

でも…

ころん

さとみくん!

満面の笑みで駆け寄ってくる君を見ると、そんなことどうでも良くなった

この笑顔を見たのは、久しぶりだなあ

さとみ

ころん、好きだよ

思わず口に出した言葉に彼は少しびっくりした顔で

ころん

さとみくん!

ころん

ねえ、さとみくん?

ころん

愛してるよ?

さとみ

俺も、愛してる

そう言った瞬間、ころんは目の前から姿を消して、その代わりに

ころんの泣き出してしまいそうな声で

ころん

ありがとう

ころん

またね

それだけが聞こえた…

さとみ

ころん

さとみ

ころん?

さとみ

どこだよっ!

さとみ

……

あれ、俺ここで何してたっけ?

今年もあの人は僕を覚えてるんだろうか…

いや、思い出しちゃうのか。

一年に一度、僕はこの世界に帰ってこれる。

8月のあの日。お盆に。

僕はさとみくんと付き合ってた、

でも、事故で死んじゃったんだ。

さとみくんはショックが大きかったのか、僕と付き合ってたことも、僕のことも忘れちゃったけど。

そうやって、忘れてればいいのに、その時期だけ僕のことを思い出す。

きっと彼は僕のことを忘れられない。

まるで、すくってもすくっても溢れる水をすくい続けるように僕を探し続ける。

毎年、毎年、彼は僕を見つけ出す。

嬉しくて嬉しくてたまらないのに、『あぁ、今年も忘れられなかったんだ』って悲しくなる…

どうか、

どうか今年は、僕のことを忘れてますように。

〝ころん!〟

あぁ、今年も忘れられなかったんだ。

僕は、嬉しいけど、悲しい気持ちを押し殺して、笑って振り向く。

ころん

さとみくん!

あぁ、何年経っても変わらないな。

君が覚えてない間、僕は君を覚えててむけられたら、離れたくなくなっちゃうじゃん。

今年もまた、一年間言えなかった僕の気持ちをきみに伝える。

ころん

さとみくん!

ころん

ねえ、さとみくん!

ころん

愛してるよ?

さとみ

俺も愛してる

その言葉を⦅今年も⦆聞いて、もう2度と会わないことを願いながら僕はまたお別れを言う。

ころん

ありがとう、またね

それだけいって、僕はさとみくんとも、この世界ともお別れをしよう。

さとみ

ころん

さとみ

ころん、どこだよっ!

ころん

ごめんね、またね…

僕のことなんか忘れて、はやく幸せになって…

愛してる、さとみくん…

りょう

今回は2シーンを同時に書いちゃいましたw

りょう

またねえ

すとぷり 短編集③

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