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山田の運転で2人は宿泊している宿の前にいた。
轟は加藤に肩を貸りて車を降りた。
山田 隆夫
轟 健二
轟はそう言うが、すぐ隣で肩を貸している加藤は、今も必死に痛みを我慢している事を知っている。
山田 隆夫
山田 隆夫
山田は加藤の目を見て言った。
加藤 恭子
轟 健二
山田は轟の抗議の声を聞き流した。
山田 隆夫
轟 健二
山田はそのまま、車を発進させ、警察署に戻った。
加藤 恭子
轟 健二
〇〇宿 203号室
轟は部屋に着くなり、ベットへと力尽きる様に倒れ込んだ。
加藤 恭子
加藤はそんな轟の様子を見ると、轟は言葉を発する余裕も無くなっていた。
轟 健二
轟の額からは汗が噴き出し、目は虚ろだった。
轟 健二
ベットのシーツを握り、虚ろな意識の中、痛みに耐えていた。
轟 健二
轟は激痛に襲われながら、加藤の名前を言った。
加藤 恭子
轟 健二
加藤は轟の言う通り、轟に近づいた。
すると轟は加藤を引っ張り、ギュッと抱き締めたのだ!
加藤 恭子
加藤は突如の轟の行動に混乱した。
轟 健二
轟 健二
加藤 恭子
加藤は轟の言葉を聞き、痛みを和らげる為だと覚った。
轟 健二
荒い息は変わらないが、僅かながら、激痛に顰める顔は穏やかになっている気がした。
轟 健二
加藤を抱き締める力が強くなった。
だが、さらに激痛の波が轟を襲う。
轟 健二
加藤 恭子
加藤 恭子
加藤は轟の痛みを少しでも和らげる為に、接吻をした。
しかも口内に舌を入れている。
加藤 恭子
すると、轟も加藤の口内に舌を入れてきた。
轟 健二
加藤 恭子
轟は薄れゆく意識の中、加藤との密な行為を少し楽しんでいた。
それはほんの僅かだが、轟にそれだけの余裕が出来た事に他ならない。
だが、その時間は永くない。
轟 健二
さらに押し寄せる激痛の波に轟は意識を深い波へと沈めた。
抱き締めていた腕は崩れ落ちた。
加藤 恭子
加藤は轟の顔を覗いた。
そこには、ひと時、背中の痛みに解放され、少し笑みを浮かべている轟が目に写った。
加藤 恭子
今度は加藤が轟をギュッと抱き締めた。
こんなになるまで、我慢しなくて良いんですよ。
私も山田さんも警視総監さんも、みんな轟を心配してるんですよ。
轟は夢を見ていた
懐かしい光景
思い出したくない過去
轟はとある病院の病室のベットにいた
病室には轟とスーツ姿の女性の2人
女性は轟に何かを言いながら頭を下げていた
それを見る轟の目は穏やかだ
女性が頭を上げると決意を決めた顔をしていた
そして一言何かを言う
その瞬間、轟の目は虚ろのものとなった
目の前の景色は捩じ曲がり、天地が逆さまに見える
鼓動は速くなり、息は苦しくなる
胸を抑える
落ち着かせる為に深呼吸をしようとするが出来ない
全身からは汗が噴き出す
体温は徐々に冷たくなる
手が震える
やがて景色は黒一色になってゆく
轟 健二
轟は夢から醒め起き上がる
轟 健二
胸を抑え呼吸は荒い。
全身からは夢同様に汗が噴き出す。
轟 健二
轟 健二
大きな悪態をつく。
少し呼吸が落ち着くがまだ荒い。
大きく肩で息をする。
はぁはぁはぁ
最悪な夢だな。
まるで悪夢だ・・・
轟は身体の力を抜きベットに倒れ込む。
手で眼を覆う。
手の隙間からツーと水滴が落ちる。
”1人だけ”の部屋には轟の嗚咽が響く。
轟 健二
手の隙間から流れる水滴は増える。
雨粒から滝へと変わる。
それと比例して嗚咽は大きくなる。
背中の痛みも忘れ、しゃっくりの様な嗚咽が部屋に反響する。
宿の温泉に居た。
脱衣場で浴衣に着替え、轟の看病の為に部屋に戻る。
加藤 恭子
加藤 恭子
部屋がある二階に続く階段の上り、少し離れた轟のいる部屋に歩く。
203号室のドアを開けようとドアノブに手を掛ける。
すると、中から何かが聴こえる。
あ、轟さん起きたのかな?
でも様子が・・・
加藤はゆっくりと音を立てない様にドアを開けた。
ドアの隙間から部屋を覗くと、そこには1人涙を流す轟がいた。
加藤 恭子
加藤は涙を流す轟に驚きドアを乱暴に開ける。
轟 健二
轟は慌てて腕で眼を擦る。
加藤 恭子
だが、すぐに加藤に止められる。
加藤の目の前には、涙を流して眼の赤い轟がいた。
轟 健二
咄嗟に誤魔化そうと無理矢理、笑みを作ろうとする。
しかし表情は余計、哀しそうな顔になるだけだった。
加藤 恭子
加藤はそんな轟を起き上がらせ、優しく抱き寄せた。
轟 健二
加藤 恭子
加藤 恭子
加藤 恭子
加藤は優しく、とても優しく、轟の頭を撫でた。
轟 健二
それを聞いた瞬間、涙は眼から決壊した。
轟 健二
泣いても良いです。好きなだけ。
轟は暫くの間、加藤の肩で涙を流した・・・