TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

タクシー運転手

あの…大丈夫ですか

は…はい…?

タクシー運転手

体調悪そうですけど

大当たりだ

貧血になってる上、息切れが激しくなってきている

ただ座ってるだけやのに…

ちょっと…入院するので…

タクシー運転手

そうでしたか

タクシー運転手

ご自愛下さい

はい…

ごめんなさい、病院の方に電話してもいいですか

タクシー降りてから着くまでに…倒れそうなので…

タクシー運転手

ああ、どうぞ

タクシー降り場から病院へ着くまでの付き添いの人が欲しいと言うと、快くオーケーしてくれた

体調に悪化が見られたらすぐに病院へ電話しろと何度も言われたけど…w

…ハァ…ハァ…

(こんなに体調って、悪化するんやな)

(今までで一番辛い)

まさか、"これから"辛さが何回も更新されるなんて、そのときは思いもしなかったのだが。

タクシーから降りると、車椅子を持った看護師さんと、その助手さんみたいな人がいた

車椅子に乗せてもらい、大量の荷物は助手さんに持ってもらった

2人とも俺の病気については知ってたらしく、優しく励ましてくれた

そして、今ここにいる

伊藤先生

橙さん、ですね

目の前にいる明るいオーラを出しているのは主治医の伊藤先生

山田先生

伊藤先生、準備できましたよ

クールな感じの美人さんは、サブの 山田先生

これから始まるのは

医師がこれからの治療方法について説明し、患者が同意する

インフォームドコンセント、すなわち面談だ

伊藤先生

まず、治療について簡単に説明しますね。詳しいことは、後々話していきましょう

伊藤先生

橙さんの体には今、一兆を超える白血病細胞が存在しています

伊藤先生

白血病の治療は、その一兆もの細胞を一つ残らず排除するものです

伊藤先生

ですので、完全に治すには時間がかかります

伊藤先生

橙さんの白血病のタイプは、再発率が高めのものですので、何年か経って再発することも充分に考えられます

伊藤先生

思うように治療が進まなくて辛くなることもあるでしょう

伊藤先生

でも、今は頑張ることしか道はないです

伊藤先生

一緒に頑張りましょう!

…はい

それから、

伊藤先生から覚えきれないほどの説明を受けた

治療方の説明から、治療を受けた場合の5年後の生存率や治療のリスクに副反応について…

それら全てに納得し、治療を受けますという意思を表す同意書に何回も何回もサインをした

……

山田先生

大丈夫ですか?

いやその…

思ってた1000倍辛そうだなって…

俺、やりとげやれるかなって…

不安で…

辛くて…

この場所から今すぐに逃げたしたかった

この現実を受け入れたくない

受け入れられない

一刻も早く、あの生活に戻りたい

正直もう…治療嫌だなって…

しんどいけれど、それ以上に楽しい毎日に…

山田先生

そんな弱音を吐いて、一体何になるんでしょうか

…え

冷たいようで 熱い思いの入った言葉だった

山田先生

あなたには、待っててくれている人がいるんでしょう

山田先生

その期待には応えようともしないのですか

山田先生

約束したんでしょう

山田先生

絶対、笑顔で会おうって

この人は、俺のことを知ってるんだ

それで、俺に言葉をかけてくれている

伊藤先生

や、山田先生、落ち着いてくだ…

山田先生

あなたを待ってる人の為にも、今やらなきゃいけないんです

山田先生

今すぐに治療を始めないと、手遅れになります

山田先生

治療は裏切ることもありますが

山田先生

治療をすることしか道はないんです

伊藤先生

…そうですね、その通りです

伊藤先生

橙さん、私たちが全力でサポートします

伊藤先生

自分の為にも、周りの為にも、頑張りましょう!!私たちと一緒に!

よろしくお願いします…!

俺は立ち上がり、深く頭を下げた

山田先生に案内され、病院内の施設をまわり、病室へと向かった

山田先生

あの…今更ですが先程はムキになってしまい申し訳ありませんでした

いやいや俺が悪いんだしいいんですよ!

それよりあの…僕のこと、知ってるんですか

山田先生

ええ

山田先生

娘が橙さんのファンなので、よく話を聞いたりするんですよ

だから、俺のことを知ってたんだ

あの…

答えられたらでいいんですけど…、娘さんは俺のことを知って、どんな反応をしていましたか?

山田先生

かなり落ち込んでいましたね

山田先生

あの日は私が久しぶりに休みで、家にいたんですよ

山田先生

すると娘が不安そうにこっちに駆け寄ってきて…

山田先生

何のお知らせか分からない、すごく怖い、と言ってきたんです

山田先生

私も気になって一緒に動画を見たんですけど…

山田先生

活動休止のお知らせのときはまだ冷静でした

山田先生

けど、白血病を公表された瞬間、普段泣かない娘がボロボロ泣いちゃって

山田先生

今日の朝もずっと泣いてました

やっぱりそうなんだな…

山田先生

私が白血病の患者さんの担当をしていることを娘は知っているから、めちゃくちゃ質問されましたよ

山田先生

しばらく落ち着きそうにないですね

…そうですか

山田先生

ここが病室です

3人部屋なんですね

山田先生

…不安ですか?

いや、大丈夫です

山田先生

個室が良いと思ったときは、言ってください

山田先生

では、1時間後に看護師が来ると思うので、よろしくお願いします

はい

この扉の先に、俺の闘病生活が始まるんだ

そう思うと、少しドキドキする

俺はゆっくりと、扉を開けた

その先に、君がいるから。

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

322

コメント

5

ユーザー

うわぁぁぁ神✨続き待ってます!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚