その日見たそいつの姿は、吸い込まれるほど綺麗だった。
ガタイのいい体型に、深い青。
背景の夕日が美しく照らされ、俺の目を魅了した。
天乃 絵斗
ゆっくり振り向いた彼には血が着いている。
それは彼の血でないことも知っている。
猿山 らだ男
動揺している。
そりゃそうだ、ここは鳥居の中なのだから。
要するに忘れられるものの世界、
要するにタヒんだものの世界。
猿山 らだ男
初めて見た、お前のそんな顔。
会えて嬉しい気持ちと、苦しい気持ちがグチャグチャに絡み合っているのだろう。
がっつきに来る勢いでお前は泣いていた。
猿山 らだ男
猿山 らだ男
猿山 らだ男
生きていて欲しかった。
俺のことは忘れていて欲しかった。
もうこんなことが1度も起きないように。
俺で最後にするように。
そう願ってきたのに、
もう諦めていたのに。
俺は天乃の胸ぐらを掴んで泣いていた。
天乃 絵斗
猿山 らだ男
猿山 らだ男
猿山 らだ男
天乃 絵斗
猿山 らだ男
天乃 絵斗
猿山 らだ男
天乃 絵斗
天乃 絵斗
天乃 絵斗
天乃 絵斗
猿山 らだ男
天乃 絵斗
猿山 らだ男
天乃 絵斗
猿山 らだ男
掴んでいた手にそっと触れられる。
温かみが伝わってくる。
猿山 らだ男
猿山 らだ男
天乃 絵斗
猿山 らだ男
天乃 絵斗
猿山 らだ男
天乃 絵斗
天乃 絵斗
猿山 らだ男
天乃 絵斗
天乃 絵斗
天乃 絵斗
猿山 らだ男
天乃 絵斗
猿山 らだ男
なんで…なんで…?
答えのない疑問が俺の頭を狂わせる。
頬を暖かいものが伝って止まらない。
涙なんてとっくの昔に忘れてしまったはずなのに。
猿山 らだ男
天乃 絵斗
猿山 らだ男
猿山 らだ男
猿山 らだ男
天乃 絵斗
猿山 らだ男
猿山 らだ男
猿山 らだ男
猿山 らだ男
もうここに戻ってくることは無いように…
猿山 らだ男
天乃 絵斗
お前は笑っていた。
昔の子供っぽさは無くて、何かを決心していた。
でも、手は震えている。
お前だって…怖いんじゃないか…
笑顔…それは俺が…お前に羨ましいって思った、第1のこと。
それを奪いたくはないんだ
猿山 らだ男
天乃 絵斗
猿山 らだ男
何も言わなくなって、ひと時の無言が続いた。
天乃 絵斗
猿山 らだ男
天乃 絵斗
嗚呼、そうか。
お前の願いは俺を助けて忘れさせること。
助ける方法は、もう一度鳥居で願うこと。
でも、忘れてしまえばそれは…
猿山 らだ男
静かに涙が落ちていく。
そんな俺を撫でてくれるお前は、優しく暖かかった。
忘れたくない、忘れたくないよ…!
天乃 絵斗
最後に、僕からお願い事があるんだ。
天乃 絵斗
笑って、俺の名前をよんで欲しい。
天乃 絵斗
正義感の強いお前だから信用出来るその言葉。
俺はぎこちない口角を上げて、お前を見つめた。
猿山 らだ男
猿山 らだ男
お前は、満足そうに笑った後、俺の事を押した。
驚く俺に向けた言葉、聞こえはしなかったが口だけが見えた。
彼は、笑って…
天乃 絵斗
猿山 らだ男
猿山 らだ男
猿山 らだ男
猿山 らだ男
猿山 らだ男
だって呂戊汰は──
猿山 らだ男
頭が少し痛む。
何でだろ…涙が溢れて止まらなかった。
\キ-ンコ-ンカ-ンコ-ン/
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