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……
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……
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あむぅ~
少女はクロワッサンを食べながら
つまらなそうに昼のドラマをただぼーっと眺めていた
内容なんて二の次というほどに
??
なんか最近のドラマって物語がありきたりっていうかぁ
??
ベタよね
??
まぁ……
??
暇潰すのに流し見するぶんには良いんだけど
??
ホントそれ
??
何かこうさ……
??
当たればデカいニッチな作品があれば見たいよな
??
ニッチねぇ……
??
大手がやらないようなマニアックな隙間産業ってことね
??
……
??
……
??
……
??
……
??
……
??
……
??
あっ
??
そうよ!!
少女は指をパッチンと鳴らす
その不敵な笑みは何かを思いついたかのよう
可能性に満ちた表情だ
??
【私 達 が ド ラ マ を 作 れ ば 良 い じ ゃ な い !!】
??
えぇ……?
??
誰もやらないなら先駆者となって大成功を収めるのよ!!
??
作るって……具体的には?
??
何が起こるかわからないハチャメチャな日常よ!!
??
勝算が見えなさすぎる……
??
さすがにニッチすぎて誰も見なさそうな仕上がりになるぞぉ
??
やってみなきゃわからないでしょ!?
??
案外ウケるかもしれないわ
??
……
??
……
??
……
??
多分私がウケるためだけの作品になるかもだけど
??
けどこんなにも暇なんだから大掛かりなことして時間潰せるなら本望よね!!
??
お……
??
おぉ……
??
ここまでやる気があるのも珍しいな
??
あら?
??
私はいつだって全力で人生を謳歌してるわ?
??
見りゃわかるよ
??
どこにでも売ってそうなクロワッサン食べるのにあんなにも笑顔で食べる
??
小さな喜びを大きな幸せとして感じ取れるのがお前さんの強みだよ
??
でもそうね……
??
【どんな作品を作りたいか】っていう案
??
ある程度の骨組み
??
アーキテクチャは必要ね
??
だよなぁ
??
いつも突拍子もなく行動して破綻するお前さんにしては打算的
??
今回の私は本気よ?
??
とりあえず夜までには色々仕上げるわ
そう言うと少女はノートパソコンを起動させる
ゆっくりだけど彼女にしては綿密な内容で綴られる
これからの作品を
????
??
ふい〜
??
飯も食べて風呂も入って満足だ
??
ちょっと何もう寝ようとしてんのよ!!
??
この企画書に目を通しておきなさい!!
出来上がったのは数枚の企画書
その内容は綿密でいて荒削りなもの
それでも前代未聞で破天荒という表現が似合う
??
腕が鳴るわねぇ
??
それはそうと見なさい!!
彼女は台車で積み重なったダンボールを運んできた
その中の一つを持ち上げては床に下ろし
満足げな表情でポンポンと叩く
??
さっきネットで企画書を提出してクラファンを募ったらねぇ
??
なんと
??
なんとぉ~
??
なんと?
??
【1億】もの資源提供があったのよ!!
??
さすが私のマーケティングね!!
??
はえ〜
??
マジかぁ〜!?
??
というわけでぇ
??
資源を使ってさっそく映画監督になりきってみたわ~
彼女は着替えてはカメラを持って椅子に座る
なかなか様になってるようでご満悦だ
そういえばダンボールの封がちょっと空いてたのは先に資源を使ってたからなのだろう
??
まだまだ馬子にも衣装だな
??
これから映画監督として成長するから良いもん!!
??
……
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……
??
……
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それはそうとあとは主人公よね
??
ぶっちゃけ私がなりたいけど
??
主人公より更に偉いであろう監督を務める私は忙しいの
??
だから……
少女の視線はどこを見ているのだ
それは【第四の壁】
そしていつもの不敵な笑み
??
ねぇ……
??
見てるんでしょ?
??
この会話を盗み見て聞いてるアンタ
??
……
??
……
??
……
??
【主人公にしてあげる】
??
……
??
……
??
……
??
大丈夫
??
悪いようにはしないわ
??
明日には目が覚めて新しい生活をしてもらうけど
??
仕方ないわよね?
??
でも何も心配は要らないわ……
軽く指パッチンが鳴り響く
突如として魔法陣が現れ光り輝き
敷いてあったお布団に異界からの客人が優しくゆっくり落ちてきた
??
【この世界へようこそ】