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女子生徒①
あれは、嘘。
女子生徒②
あれは、妬み。
女子生徒③
あれは…なんだろ。同情? でも、嘘の色をしている。
道行く人間の感情が見える。
そんな呪い紛いの体になってしまったのはいつからだろうか。
普通の教室。普通の日々。
しかし僕は、そのすべてが極彩色で塗りつぶされる。
恨み、怒り、劣情、恐怖、軽蔑
そのすべてが、僕には“見える”
春川音生
自分の目が休まることはなく、聞こえてくる“声”すべてに色が付く
そんな毎日を今まで送ってきた。
―――――――あの男が現れるまでは。
女子生徒①
女子生徒②
烏羽燐
春川音生
あのひと、“色”がない
周りの女子からは重たすぎるぐらいにピンクの色が見えるのに
そこだけ切り取られたような、空っぽのような、
とにかくそういう感じ。
僕はなぜか、その空っぽに惹かれた。
空っぽなんて初めて見たし、これはただの興味
そうやって自分に言い聞かせながら僕はあの男に話しかける。
春川音生
烏羽燐
春川音生
言ったその瞬間、しまったと思った。突拍子もないことを言ってしまった。気持ち悪がられるかもしれない。
しかし彼は、眉一つ動かさずに僕を見つめ返し
烏羽燐
春川音生
烏羽燐
ふ、と笑ったその瞬間
ほんのわずかに、淡い青色が、彼の声に滲んだ。
それは、少しの安心と、寂しさ。
僕はいつの間にか、はっと息を吞んでいた
無色で空っぽだと思ってた声に、初めて色が混ざった瞬間だった。
この人の“空っぽ”の下をもっと見てみたい。 そんな衝動が確かに芽生えていた。
春川音生
烏羽燐
春川音生
そう言って彼は、三階へ続く階段を登って行った
春川音生
心の奥底で、まだ名前も付けられないほどの何かがザワザワと音を立てていた。