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いざ、扉を前にして
この先にお母さんがいると思うと
手が震えて
動けなくなる
ちぐちゃんが手を握ってくれた
まぜちがそう言って背中に手を置いてくれた
意を決して扉を開けた
俺に気づいて駆け寄ってきてくれる
泣きそうな顔で言う彼
凄く申し訳なくなった
みんなは一旦部屋の外で待ってくれている
怖くなったらいつでも呼んで
そう言ってくれた
ガチャッ…
静寂の中で
足音が近づいてくる
顔があげられない
座っている俺を影が覆う
…こわい、
あの頃と変わらない
大きな影は
俺を光の中には行かせるものかと
言っているようで
母
母
影が急に小さくなった
母
母が俺の目線より下にいた
しゃがんでいるようだ
母
母
母
母
あぁ
この目は
小さい頃の優しい
俺の大好きな母の目だ
母
思わず抱きついた
母
母
抱きしめ返してくれた
頭を撫でてくれた
母
母
母
母
母
母
ぷりちゃんが少しだけ扉を開く
ぷりちゃんに譲ってもらって隙間から中を覗く
そこから見えた彼の顔は
幸福に満ちていて
その幸せを分けて貰えそうなほど
いい笑顔だった
君は
あんな風に笑うんだね
母
母
母
母
母
母
母
母
話せた
ちゃんと自分のまま
それが何よりも嬉しい
そうだ
みんな待っていてくれたんだ
感謝してもしきれない
俺を救ってくれて
小さい声で
ありったけの感情を込めて
彼らの背中に呟いた