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背中合わせになる2人に、無数の銃口が向けられる。

(やっぱ、無理かな…)

鏡樹

(勝率1%なんて、ないも同然よね…)

??? 「伏せろ!!」

2人

……ッ…!?

敗北を覚悟した2人。 しかし次の瞬間、何者かの声が聞こえ、2人は咄嗟にその場にしゃがみこんだ。

バァンッ!!

そして一つの銃声が轟き、それに便乗するように何発もの銃声が鳴り響いた。

飛び交う銃弾は2人を囲んでいた梵天社員たちを、一瞬にして葬り去った。

(銃声が…止まった?)

鏡樹

(今のは一体…)

???

ったく、一人でやるなっていつも言ってんだろ、ほんと学ばねぇよな"兄貴"は…

???

色々聞きてぇことはあるが、まず一つ目に

???

"俺の刀"、勝手に持って行ってんじゃねーよ

(その声は…!)

聞き覚えのある声が聞こえ、2人は思わず表を上げた。

竜胆

ほんと世話が焼けるよな、兄貴は

春千夜

テメェもな、灰谷2号

2人の前に現れたのは、銃を構えながら不敵に笑う竜胆と春千夜だった。

お前ら、なんで…

竜胆

鏡の和田に言われたんだよ

竜胆

「バカ2人を助けてやってくれ」ってな

鏡樹

和田が…!?

春千夜

わざわざ車椅子から降りて、頭下げてきたんだよ

春千夜

自分は動けねぇからって、武器の用意だけじゃなく、組織の組員まで動かしてくれた

春千夜

んな事されたら、行くしかねーだろ

春千夜

それに、刀の修理代貰う前に死なれちゃ困るしな

そう言って春千夜は刀を拾い上げ、刃こぼれした場所にそっと触れた。

竜胆

もうマイキー達も、中に入って抗争を始めてる

竜胆

危なくなる前に、夢を連れ出して先に出よう

分かった…!

竜胆にそう言われ、蘭は差し出された手を取り立ち上がった。

???

おい

竜胆

竜胆

兄貴ッッ─!!

背後から聞こえた何者かの声。 それにいち早く気がついた竜胆は、咄嗟に蘭の肩を押した。

バァンッ!!

竜胆

ぐっ…!

竜胆…ッ!!

そして放たれた一つの銃弾が、竜胆の肩を掠めた。

鏡蘭

さっすが竜胆、反応速いね〜♡

春千夜

テメェ…!!

鏡蘭

夢ちゃんのとこには行かせねぇよ、特にお前はな灰谷蘭

鏡樹

いい加減にしなさいよ、これ以上何かしようものなら…ッ…!

…いい、大丈夫だ

何もするな

鏡樹

え?

お前らは先に行け、ここは俺がやる

春千夜

おまっ、何言って…

あいつの狙いは俺だ、それなら俺が残る方がいいだろ

竜胆

無茶言うなよ、そんな体で…!

竜胆

夢ちゃんを頼む

竜胆に背を向けたまま、普段とは違う…冷静な声で蘭は言った。

竜胆

……ッ…分かった…

竜胆

2人とも、行こう…!

春千夜

チッ…死んだら承知しねーぞ

鏡樹

夢を助けたら、すぐに戻るわ…!

そう言うと3人は蘭に背を向け、廊下の奥へと駆け出した。

鏡蘭

反社のくせにヒーロー気取りか?似合わねぇ〜

勝手にほざいてろ

お前は…俺の手でぶっ殺すって決めてんだよ

覚悟しろ、死に腐るのはテメェの方だ

鏡蘭

はっ、言うじゃねぇか

鏡蘭

その喧嘩、買ってやるよ

血と死体の転がる廊下で、同じ姿形をした2人が対峙する。

一人は相手を睨みつけ、もう一人は嘲笑するような目を向ける。

双方に向けられた銃口は、一瞬にして静寂を切り裂いた。

鏡樹

夢のいる場所は?

竜胆

部屋を移動してなければ、最上階北側の一番奥の部屋だ

春千夜

流石にエレベーター使うぞ、無理だったら非常階段で行くしかねぇが

鏡樹

現在地47階にして、最上階の70階まで階段だなんて、骨が折れるわね…

竜胆

でもそれしか道はねぇ、とにかく行くぞ…!

バァンッ!!

すると目の前を走る竜胆に向けて、一つの銃弾が放たれた。

春千夜

ガギイィィン──ッ!!

それにいち早く反応した春千夜は竜胆の前へ立ち、刀で銃弾を真っ二つに斬った。

春千夜

…っぶね、気をつけろ!

竜胆

わ、わり…ありがとう

会話を交わす暇もなく、銃弾が放たれた方角から、ゾロゾロと梵天社員達が迫ってきていた。

鏡樹

見つかった…まだエレベーターにもたどり着けてないのに

竜胆

クソッ…!

春千夜

…おい竜胆、来い

グイッ!!

すると突然、春千夜が竜胆の首根っこを掴み、強引に引っ張った。

竜胆

はっ!?ちょ、なに…!?

竜胆

痛っ!!おまっ、投げんな…!

バタンッ!!

竜胆

ちょ、おい!なんで閉めんだよ!

竜胆

さっさと開けろ!

春千夜

全滅したら意味がねーだろ

春千夜

いくら和田から組員を借りたといっても、人数はあいつらの方が上だ

春千夜

マイキー達はまだ下の階、蘭は鏡の自分とやり合ってる

春千夜

頼みの綱の俺らがやられたら、全部終わりだ

春千夜

そのためにも、お前には死なれちゃ困る

竜胆

俺だけ特別扱いみたいなことしてんじゃねーよ!!

竜胆

あんな数、3人ならなんて事ねぇだろ!!

竜胆

こんなところで、俺だけ大人しく待ってろってか!?

竜胆

ふざけんなッッ!!

春千夜

誰がンなこと言った

春千夜

テメェのやることはもう決まってる

竜胆

は?どういう意味…

春千夜

その部屋、風通し悪ぃよな

春千夜

窓開けてみろよ、竜胆

竜胆

は?なんで?

春千夜

いいから開けてみろって

竜胆

…分かった

春千夜の言っていることの意味が分からなかったが、竜胆はとりあえず部屋の窓を開けた。

春千夜

風の音が聞こえてきたな

春千夜

47階からの景色はどうだ〜?

竜胆

…お前何がしてぇんだよ

春千夜

なぁ、47階からの景色も良さそうだけど…

春千夜

最上階からの景色も見たくねぇか?

春千夜

風を直で感じられる、"特等席"からよぉ?

竜胆

…………お前、それマジで言ってんのか?

春千夜

マジじゃねぇなら、こんな意味わかんねぇこと言わねぇよ

春千夜

上司命令だ、失敗したら殺す

竜胆

失敗=死だろ、殺すもクソもねぇよ

竜胆

はぁ…ったく、ほんと部下使いが荒いなうちのNo.2は…

春千夜

そりゃどうも、じゃあ頼んだぜ竜胆

竜胆

りょーかい…

軽く深呼吸をすると、竜胆は窓の外へ出た。

竜胆

!?

竜胆

(ひぃッッ!!高ぇッッ!!)

窓から体を乗り出し外へ出た竜胆。 しかしあまりの高さに恐怖し、体をガタガタと震わせていた。

竜胆

(……ッッ…落ち着け、大丈夫だ)

竜胆

(ゆっくり…窓枠掴んで、足元注意…!)

竜胆

(下は見るな下は見るな…!)

冷や汗をかきながらも、竜胆は着実に上へ上へと登って行った。

竜胆

(よし、行けてる)

竜胆

(慣れさえすればなんてことない)

バァンッ!!バァンッ!!

竜胆

(銃声…)

竜胆

(三途達か、マイキー達か、兄貴か…)

竜胆

(なんにせよ、おかげで誰にも気付かれずに、夢の救出に専念できる)

竜胆

(みんなのためにも、早くしねぇと…!)

恐怖で埋め尽くされた頭の中を、どうにか他のことで上書きしようとする竜胆。

しかし意識せず、手足が震えてしまう…

ビュゥゥゥンッ!!

竜胆

うっ、風強っ…

ズルッ!!

風に気を取られた竜胆。次の瞬間、窓にかけていた右足が滑った。

竜胆

……ッッ…!?

竜胆

(まずい、足が…!!)

そんなことを考える間に、竜胆は地上約50階から落下した。

竜胆

(俺、落ちてる…のか?)

竜胆

(よく、分かんねぇ…)

竜胆

(俺、死ぬのか…?)

竜胆

(最後…ひとりで、こんな終わり方って…)

竜胆

夢…

ねぇねぇ、竜ちゃん聞いて!

いいの!?

ありがとう竜ちゃん、大切にするね!

ありがとう、私も竜ちゃん大好きだよ

これからも"友達"として、よろしくね!

竜胆

(まだ、死ねるか…ッッ!!)

ガガッ…!!

必死の抵抗で何とか窓枠を掴んだ竜胆。

竜胆

いっ”…!

しかし手は深く削れ血が滲んでいた。 痛みと恐怖で一瞬体が強ばったが、スーツで血を拭うと、再び壁を登り始めた。

竜胆

(諦めねぇ…絶対諦めねぇ…!!)

竜胆

(俺が助けるんだ、俺しかいないんだ)

力を入れる度にドクドクと流れていく血。 痛みでどうにかなりそうだったが、竜胆の身体は止まることを知らない。

竜胆

(みんなが、ここまで繋いでくれたんだ)

竜胆

(絶対助ける、例え…この手無くなっても…!!)

いつの間にか、身体の震えは消えていた。

恐怖と痛みで過呼吸気味だった呼吸も、いつしか春風のように穏やかになっていた。

途中何度も落ちるのではないかと、体が止まってしまうこともあった。

でも俺の体は、恐怖でいっぱいの頭を無視して、どんどん上へと登っていく。

そしてしばらくして、空が近くなっていることに気がついた。

それと同時に目の前の窓から見える部屋に、見覚えのある人物の姿を見つけた。

いてもたってもいられず、俺は上の窓に手をかけ、足を振り上げ窓に蹴りを入れた。

ガシャァァンッ!!!!

竜胆

夢…ッッ!!

………………

部屋には前と同じように、ベッドに夢がひとり座り込んでいた。

だ、れ…?

竜胆

俺だよ、竜胆…!

竜胆

お前を助けに来たんだ…!

竜、ちゃん……ち、がぅ…

竜胆

…ッ…薬で違う姿に見えてるだけだ…!

竜胆

頼む気づいてくれ夢…!

焦った様子でそう言い、竜胆は夢の両腕を掴んだ。

ビクッ!?)

竜胆

あ…ご、ごめん

竜胆

怖がらせるつもりじゃ…

……けが、し…て、る?

竜胆

え…?

ち、つい、てる…

夢はそう言って、自分のシャツに付いた血を指さした。

竜胆

わり…登ってくる時に、ちょっと…

…い、たい?

竜胆

え?あ、まあ…

てあて、する…

竜胆

手当…?

夢はそういうとヨロヨロとベッドの端へ行き、引き出しから救急箱を出してきた。

て、だして

竜胆

うん…

ちょっと、いたい、よ

そう言うと夢は近くにあったペットボトルの水を、竜胆の両手にかけた。

竜胆

い”っ…!!

すぐ、おわる…から

そうして布で圧迫して止血をし、包帯を巻いた。

できた…

竜胆

ありがとう、夢…

うん…

竜胆

(なんか夢だけど、夢じゃないみたいだ…)

竜胆

(手当はいつもしてくれるから、体に染み付いてるだけかもしれねぇけど)

竜胆

(表情とか、話し方とか、全然違う…)

竜胆

(3度目の記憶喪失…やっぱり、壊れていってる…?)

竜胆

(早く、連れていかねぇと…!)

竜胆

夢、ここは危険だ

竜胆

俺が抱えてやるから、外に出よう…!

き、けん…?

竜胆

ああ、だから早く…!

らん、ちゃん、たち、は…?

竜胆

大丈夫、お前が無事に逃げ切った後にちゃんと会える

竜胆

俺が守るから、だから早く逃げ…

カチャッ…

「逃げよう」 そう言おうとした矢先、竜胆の後頭部に何者かの銃口が突き付けられた。

???

よくここまで来たな、驚いたぜ

???

エレベーター警戒してたのに、まさか外の壁登ってくるとはな…

竜胆

…ッ…なんでよりによって、テメェがここにいるんだよ…!

鏡竜胆

さぁ、何でだろうな?

振り返るとそこには、自分と瓜二つの容姿をした鏡竜胆が佇んでいた。

目が会った瞬間、鏡竜胆は銃を向けながらニヤッと不敵な笑みを浮かべた。

To Be Continued…

ヲタ女と反社【君に捧ぐ想い】

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コメント

41

ユーザー

竜ちゃん頑張れ💥        これからどんな展開になるのか楽しみです!応援してます💗

ユーザー

ほんまに昔から見てるんで気になりすぎます。めっちゃ応援してます

ユーザー

竜ちゃん死なないで〜!蘭ちゃんも死なないで~!やっと夢ちゃんの部屋に行けたのに鏡竜ちゃんが居るなんで聞いてないよ〜〜!!!後春ちゃんと竜ちゃん意外と仲良くて好き。

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