ユウト
…っ、ここは……?
まだ体が痺れている。手足は拘束されたまま。 目の前にはレイ。あの頃と全然違う目をしていた。
レイ
おはよう。よく眠れたかな?
ユウト
ふざけんな!なんなんだよこれ!
レイ
落ち着いて。授業を始めるからさ
レイは白衣のポケットから紙とペンを取り出した。
レイ
一限目は自己紹介。君がどんな人間だったか思い出してもらう
レイ
一人ずつ、いじめた相手の名前とやったことをここに書いて
ユウト
…ふざけてんのか…
レイ
ふざける?ふざけてなんかいないよ。これは授業だからね、つまり学びだからさ
机の下で何かがカチッと動いた音がした
レイ
さぁ、忘れたって言うと…少し痛い目にあうかも
ユウト
(クソッ、思い出せ)
震える手でペンを取る。字が歪む。
『山田拓也』 「視線が気持ち悪い」と毎日机に落書き。教科書もビリビリに破かれ、ストーカー男というアダ名で孤立させた。最後は転校するまで追い詰めた。 『田島航平』 体育の授業中にわざとボールをぶつけて笑い者に。ロッカーに汚物を詰めて、女子の前でズボンを下ろされる事故を演出されて泣き崩れた。 『鈴木愛理』 日記を盗み読みして、恋愛の内容をクラスに晒した。男好き愛理と呼ばれてネットで拡散され不登校に。
レイ
ふぅん、愛理ちゃん、最後の方なんだね
レイが赤ペンで愛理の名前をなぞった瞬間
ビリビリッ!!!
ユウト
ぎゃあああああ
レイ
記憶が曖昧なのか忘れたことにしたいのか…
レイ
どっちにしてもやった事実は変わらないよね?
ユウト
…クソが……!
レイ
うん、まあ、いい自己紹介だったよ。最初の授業だしね。じゃあ、次の授業に進もうか