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天 ヶ 瀬 .
幹部会(マイキー、望月不在) 「三途、お前最近痩せてきてないか?」 無駄に勘のいい鶴蝶が、会議中に途轍もない爆弾発言を投下してきた。 「それ思った~、スーツがダボってるし、全体的に細くなったよね~?」 更に便乗するかの如く、蘭が投下。 「きッ…気の所為だろ、つーか会議中に関係ない話すんな。」 「ふーん…」 上手く取り繕えただろうか、ジワッと額に冷や汗を掻く。 蘭が俺の体をジロジロと何かを模索するように眺める。 「人の体ジロジロ見んな、変態」 手に持っていたバインダーで蘭の頭を叩く。 大袈裟に痛いと声を上げたり唸ったり蘭を無視し、仕切り直し話を進めた。 「三途、少しいいか?」 九井が焦ったような表情を浮かべ、此方に駆け寄る。 「んだよ、九井」 「お前、いい加減バレんぞ…」 耳元でそう声を掛ける、これは此奴なりの気遣いなのだろう。 「彼奴ら、特に灰谷兄の方はとっくに感づいてる、どーすんの?」 「…厄介だな、灰谷にバレるのは避けてぇけど…、」 「とっくに気づいてるよ~?」
後ろを見ると、満面の笑顔で立っている蘭の姿が。 「灰谷、兄…はぁぁ…、」 「失礼だな~、そんな事より三途。」 表情が変面のようにコロッと変わる、お前さっきまで笑ってただろ、怖。 「お前、難病患ってるでしょ?」 「な、んで…そう思ったんだよ、…」 これだよ~、と数枚の紙を目の前でヒラヒラと踊らせる。 「兄ちゃん、それ何?」 蘭の後ろから、鶴蝶、明司と共に顔を出す。 「ら、蘭…それ返せ、」 「なんで秘密にしてたのかな~?読み上げてやるよ♡」 「やだ、やめろ…、蘭…?」 「は……おい、三途、どういうことだよ、?俺に言った時は余命の事なんて…」 幹部に俺の病気が蘭によって暴露された。 どれだけ引き止めても、勿論蘭が聞く耳を持つワケも無く。 「…全部話したところで、お前らに何か出来ることでもあんのかよ…、?」 「春千夜…、お前のことが心配なんだよ、俺も、此奴らも。」 「今更、兄貴面してんじゃねぇよ、それに…蘭だって面白がってるだけだ…、」 「は?俺なりに心配してあげてんだけど? 読み上げてやったのも、死ぬ直前まで心に秘めておこうとする、ばかちよの 変わりしてやったわけ、それも態々マイキーの居ないタイミングでさぁ」 蘭が白地に呆れたような表情をして俺の顔を見る。 「なんで言わなかったんだ、三途。」 「No.2が病気で働けません~なんて呑気なこと言えねぇだろうが。 死ぬまで弱音を吐かねぇで、マイキーに生涯尽くすって決めてんだよ。」 「馬鹿なの、お前…マイキーに生涯尽くすって決めてんなら、 マイキーと同じだけ生きろよ!テメェが死んだら誰がマイキーの 生き甲斐になってやれんだよ!!」 竜胆が俺の胸ぐらを掴み怒鳴り散らかす、赤子のように嗚咽を上げながら 泣き噦る。 「なんでテメェが泣くんだよ…泣きてぇのはこっちだっつーの!」 竜胆に反発するように、床に押し倒す。 今まで張り詰めてきた糸が、プツンと切れたような気がした。 「いきなり余命宣告されて、理解の追いつかない体で症状に耐えて… 理解者なんて梵天には居ないし、頼れる人間も居ねぇ! もう、限界なんだよ!今すぐに死んでやりてぇくらい、な!!」 大粒の涙が、竜胆の顔にポタポタと零れ落ちる。 周りの奴らも、竜胆も俺の今の姿を見て唖然としていた。 そりゃそうだ、アラサーの男が大声上げて泣いてんだぞ。 でも、何故か涙が止まらなくてどうしようもなかった。 「うっ、ひぐっ…たいちょぉ…っ」 「…三途、落ち着こうな、大丈夫だからな」 九井が煽てるように声を掛ける、頭から被せられた明司の煙草臭い ジャケットが、俺の心を安堵させくれた。 全身の力が脱力し、床に押し倒されていた竜胆へ体を預けるように 倒れ込み俺は夢の中へ落ちていく。
「ず…さん…三途!」 目を開けると、眼前には俺が斬殺した筈の隊長元い武藤泰宏の姿が映る。 「隊長、なんで…?」 何故俺の目の前に居るのか理解が追いつかない。 だが、今となってはそんな事どうでも良かったのだ、俺は只々 縋り付くように、許しを乞うように抱きつく。 「たいちょ、ごめんなさいっ、俺…、!」 涙で揺れる視界で、必死に隊長の表情を目に焼き付けようとする。 ふっ、と隊長が穏やかに笑う。刹那、奈落に突き落とすように俺を突き飛ばす。 「あ…、隊長っ…」 「___、」 最後に放った隊長言葉が、俺の耳には入ってこなかった。
「…は、なんだこれ。」 幹部全員、泣き腫らしたように目を赤く染めていた。 時折、鼻を小さく啜る音が部屋に響く。 「心配掛けてごめんな、」 クシャッと、綺麗にセットされた竜胆と九井の髪を崩すように撫でる。 写真を一枚パシャリと撮ると、足の上の奴らを叩き起こす。 「痩せた…か。」 風呂上がりの濡れた髪を乱雑に拭きながら、肋の浮き出る自分の腹を眺める。 久し振りにご飯でも食べようと思い、冷蔵庫を漁るとタッパーが目に入る。 手にとって見ると、一枚の紙がハラリと床に落ちた。 拾い上げると、マイキーの手書きでメモのような文字が書いてある。 "ちゃんと飯食えよ、痩せすぎ。 俺の手作りだったら食うだろ?文句は受け付けねぇからな。" 「……ホント、狡いなぁ…マイキーは、」 少し焦げた匂いが鼻腔を刺激する卵が崩れたオムライス。 今まで食べた中で一番美味しかった。
8月17日 蘭が勝手に俺の家に上がり込んで偶然見つけた書類を幹部に見せた。 おかげで、俺の病気のことも余命のこともマイキーと望月以外に バレる始末となった。 俺のこと心配してくれたのに逆ギレしてごめんな、竜胆。 あと、九井に余命のこと伝えなくて悪い。 お前らが俺の足元で寝るとかもう一生無いだろうから、写真撮っといた笑 後でプリントして同封しといてやるから、俺が死んだら思い出にしろよ~。 マイキー。美味しかったです、オムライス。 今まで食べてきた料理の中で一番美味しかったですよ。 もし、俺が生きてる間に機会があれば、また食べさせてくださいね。 ███████、笑
天 ヶ 瀬 .
天 ヶ 瀬 .
コメント
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泣 き ま す ! (இ௰இ`。)