城戸丈一郎
自分ら、またなにやらかしたんや?
城戸が見回りから帰ってくると、浅倉と 苅込の首から
『私たちは性懲りもなく、つまらん事で喧嘩しました』
と、高見沢さんの字で書かれた看板が吊り下げられていた。
苅込
城戸の兄貴、聞いて下さいよ。
今回、俺はなんも悪ないんですわ。ただ、ほんまのこと言うただけやし
浅倉潤
その方が、なおさら悪いやん。それ言うたら、俺かて、ほんまん事しか言うとらへんわ
城戸丈一郎
結局、何の話で揉めとんのや?
苅込
浅倉の服装が、厨二病臭くて敵わんという話ですわ
浅倉潤
俺が何着ようが、俺の勝手やし。そもそも、パリピみたいな浮かれた頭と格好してる奴だけには言われとーないわ
苅込
今さら厨二病拗らせるなんて、遅咲きにも遅咲き過ぎるわ。自分の歳を考えてみいちゅー話やねん。まだパリピの方が何倍も上やわ
独自の感性を持つ関西人の中でも、浅倉の服装は奇抜な方である。いや、コスプレに近い言うた方が正しい。
城戸丈一郎
俺は別に浅倉に似合ってええ服やと思うけどな
苅込
そもそも、自分は何をコンセプトに服選らんどんや?
浅倉潤
見たら分かるやろ?
苅込
いや、分からへんきん、聞いとんのんや
浅倉潤
どこからどうみても騎士やん
苅込
なんで、また、けったいなもん選んどんねん
浅倉潤
そんなん決まっとるやん。姫(ひぃ)さんを守るんは騎士の役目やさかい。
つまりここで言う姫さん=城戸で、その姫さんを守る騎士=浅倉ということらしい。
城戸丈一郎
それやと騎士が余りにも優秀すぎて、姫さん死んでも嫁にいけれへんやん。せめて、花盛りの内に嫁にいかせてーな
浅倉潤
あきまへん。勇者と王子(ナイト)は勇敢でないと、大事な姫さん守れん奴に、姫さんは簡単にやられへんのんですわ
城戸丈一郎
そやな。騎士さんが納得出来ひんのなら仕方ないな。でも、この先、姫さんに見合う王子様は現れそうもないとなると、騎士さんには責任とって、王子様に昇格してもらわなあかん事になるけど
城戸丈一郎
なぁ、浅倉はいつになったら、俺の王子様になってくれんの?
浅倉潤
ほんま城戸の兄貴は、いけずやわ。何時だって、俺はあんたの王子になる覚悟は出来とんの知ってて聞いてはるやろ?
城戸丈一郎
知ってるのと直接言われるんは別や。口説かれたら、姫さんも騎士さんに惚れるかもしれへんやん?
浅倉潤
なら、ずっと俺だけの姫さんで居て下さい
城戸丈一郎
ええで
苅込
うへぇ、最悪やん。バカップルのだしにされてもうたわ
言葉遊びを楽しむ二人の横で、げっそりとした苅込が嘆く。苅込にとって、どうやら今日は厄日のようだ。
あとがき
年齢層が高いキャラだと、言葉を使って、大人な遊び方が出来るのが魅力的やな、って感じで思い付いた話。