3年前
私は病院で医者に言われた事を 今でも鮮明に覚えている
医者
立花さん
私
…はい
医者
とても大きな手術ですので
医者
後遺症が残る可能性があるのですが
医者
…どうしますか
彼氏の病気が急に悪化して緊急手術を行うことになったあの日
彼の人生は私が選ぶことになった
私は泣きそうになりながら
私
…はい
私
手術を…お願いします…
医者に縋るように 言葉を押し出した
医者
…はい
その返事を最後に、医者達が慌ただしく手術室に消えていった
…この選択は
間違っていたのだろうか
それとも、正しかった…?
現在
私
…初めまして
君
…は、じめまして…?
君
えと…
君
どなた…でしょうか…?
怯える彼に私は笑顔で 簡単に自己紹介をした
私
私は映奈
私
貴方のクラスメイトです
私
あんまり、話したことは無いんだけどね笑
このやり取りも 結構慣れてきたなぁ…
君
…そう…なんですね
本当は彼女だけど
私はいつも嘘をつく
何故なら
彼は3日おきに記憶がリセットされてしまうから。
つまり3日目にやっと君が私に心を許してくれても、4日目には1からスタートしちゃうんだ
私
え…っと
私
スイートピー、買ってきたの
そう言いながら私は手元にあった花束を彼に差し出した
私
良ければ飾って
君
綺麗だね…、ありがとう
きっと君は気付かないだろう
私がどんな気持ちで この花を買ってきたか。
私
それじゃあ
私
…さよなら
きっと君は知らないよね
もう、会えないの
君
うん
私は君の返事を聞いてから振り返らずに病室を出た
私
…あーあ…
私
何も言えなかったな、大事な事…。
飛行機の中で私は君の事ばかり考えていた
留学から帰ってきたら また会いに行こうかな?
きっと君は 困っちゃうよね
5年後、君は 私の名前憶えてるかな?
きっと君は 忘れちゃうよね
私が「好き」って言ったら 君はなんて言うかな?
きっと君は驚いて 逃げ出しちゃうよね笑
なんて自問自答をしながら景色を楽しんだ
だけどもう会いに行くつもりは無い
私
…きっと君は
私
もう私の知ってる
君じゃないから、ね笑
君じゃないから、ね笑
きっと君は
1人で生きていける
…だから、さよならするんだ
最後に、これだけ言わせて
きっと君は
私
私の
私
初恋でした