結局、誰もサッカーしていなかった
やっぱり皆″今世″を生きてるんだ
何か、俺と二子とは違う、
そう思いながら自分たちの学校近くまで帰ってきた俺らは
先程までの蜂楽との楽しい時間を一旦奥に仕舞い
今世について考える
潔
潔
潔
潔
二子
二子も考え込んでいる。
俺と同じことを思ってるのだろう
俯きながら歩いてると身長が190cmぐらいの男性が前から歩いてくる
俺は差程気にしなかった
というか気に止める心持ちじゃなかった
けれど相手は違ったらしい
???
小さい声だったが俺の名前が聞こえて顔を上げる
そこには見覚えのある奴がいた
思わず目を丸める
凪
潔
俺が名前を呼ぶと凪は嬉しそうに目を輝かせた
凪
どうやら、凪も記憶があるらしい
此方に記憶があると分かった途端、駆け寄ってきた
二子
凪
凪
不思議そうに首を傾げる凪に、
俺らは今までの事を話した
俺の記憶がつい最近戻ったこと
千切が陸上選手になっていたこと
國神がバスケをしていたこと
玲王が家を継ぐ事を夢にしていること
蜂楽が芸術家になっていたこと
それぞれが″夢″に向かって努力していること
俺達はサッカーをするべきなのか迷っていること
それを聞いた凪は
凪
凪
と言ってくれた。
翌日、俺と二子は凪が通っている学校に行った
その学校の垂れ幕には「サッカー部県大会優勝」と書かれていた。
凪
正門で立ってる俺らを見つけた凪は駆け寄ってくる。
凪
潔
潔
俺は凪に手を引かれ、サッカー場に向かう
それを二子は追うように着いてくる
凪
凪
そう言いながらサッカー場に向かう凪は
やる気に満ちていて
楽しそうで
前世の面倒くさがり屋の凪ではないように見えた。
どうやら凪はサッカー部のエースらしい
それと同時に部長でもあるようだ。
皆に指示を出し、部をまとめながら、前世と変わらない天才っぷりを見せる凪に
俺と二子は圧倒された。
相手も全国大会に行く強豪なのに、凪がどんどん点を取る。
ハットトリックを決めて此方にピースを向ける凪は
″前世で見た凪″ではなかった。
試合は3ー1で凪達の勝利に終わった。
潔
凪
練習試合が終わり、自主練をしている凪に駆け寄ってそう伝える。
二子は遠くで俺らを見詰めてくれている
凪は自慢げに笑って
凪
と自主練を止め、こっちに向き直る。
潔
知らない凪に少し悲しくなって俯く
すごい事なのに、
俺と違ってちゃんと生きてる凪に 劣等感を覚えた
凪
凪
そう言われて顔を上げる
前世に囚われてる…?
潔
凪
凪
凪
そう言うと凪は俺の前にボールを置く
そして少し離れて行った
潔
凪
潔
ボールを蹴る、
やっぱり思い通りにボールが飛ばない
けれど俺のパスはふんわりと凪のところに行った
そのパスを凪はダイレクトで蹴って
ゴールに叩き込む
そういえば試合でもダイレクトでゴールを決めた点がある。
凪
潔
凪
潔
潔
″今の潔らしいパス″ってなんだよって、 俺は笑う
それを見た凪は安心したように近付いてきて
凪
潔
凪
凪
凪
凪
凪がドヤ顔する
凪
凪
さっきのドヤ顔とは打って変わって
優しく見つめてくる
潔
その質問に言葉が詰まる
これを言ってしまったら
サッカーをしていた俺が嘘になる気がして
皆との縁も切れる気がして
凪
凪
凪
抱き締められてないのに 優しく包み込まれた気がした。
前世の俺の想いが、今世の俺にまで影響して
凪の言うように前世の想いに囚われてたのかもしれない
でもその想いも、願いも全部
全部凪が連れてってくれると言った。
嗚呼、言ってもいいんだ
幼い頃の夢
どこか諦めてた、あの夢
思い出した、あの夢を
潔
潔
潔
想いが零れる
そうだ、俺は小説が好きだった
俺は先生に憧れた
人に教えるのが好きだったんだ
その事を口に出すと晴れやかな気分になった
晴れやかな気分のまま涙が零れた
凪
凪
そう言って凪は周りから俺を隠すように抱き締めてくれた。
潔
潔
赤くなった目元を冷やしながらそう言う
凪の自主練が終わって、途中まで一緒に帰っている最中だ。
二子
二子
そう言って二子は微笑んでくれた
凪
潔
二子
そう言って連絡先を交換する
別れ道も近い
凪
凪
別れ道に着いてしまった
凪はこっちだからと手を振って別の方に行ってしまおうとする
潔
凪
俺が呼び止めると凪は振り返ってくれた
俺の顔を見るなり凪は驚いた顔をする
凪
凪
心を見透かされた返事をされた
いや、顔に出てたのかも
潔
凪
安心しきった俺は凪に手を振って別れようとする。
その時凪が、
凪
凪
大きめの声でそう言うもんだから
笑ってしまった
今世でも友達でいられる事に心底安心して
潔
そう返事して、俺と凪は別れた
違う、違うんだ潔
俺に今世なんてない
面倒くさがりじゃなかったのも、 ダイレクトが武器だったのも、
全部お前の為なんだ。
物心ついた時から記憶があった俺は
″今世の俺″がすぐに消えてなくなった
お前は覚えてないだろうな
幼い頃、俺はお前に会ったことある
「サッカー上手だねぇ」
「かっこいいねぇ」
って、そう言って貰えて
ただただ嬉しかった。
それと同時に サッカーをしてない潔が居るって知って
お前の武器を世界一にしたくて、 必死にダイレクト練習したんだ
空間認識能力は流石に無理だったけど。
ブルーロックがないから高校から活躍しとかないと行けなくて
わざわざ、強豪の高校に入って
エースになって、部長になって
面倒臭いけど、お前を世界一にするために、
お前の武器と俺の武器が世界一になるために
必死に頑張ったんだ
全部お前の為なんだ、潔。
好きも、そう言う意味じゃない
けど、多分潔は ─── 。
凪
凪
コメント
1件
凄!!!まじか、続きかもーん!!