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夜は人の判断力を鈍らせる

だから私は夜にこそ決断を下す

第三埠頭

存在しないはずの取引場所

私は少し離れたビルの屋上から

双眼鏡越しに海沿いの闇を見下ろしていた

風が冷たくコートの裾がわずかに揺れる

et

早い.

予定時刻よりも2時間も前

倉庫の影に車のシルエットが見えた

一台、二台、

慎重すぎる程慎重な動き

ノクスの人間だ

et

反応したわね.

通信越しにurの声が返る

ur

思ったよりガッツリきてる

et

ええ.しかも

私は双眼鏡の焦点を合わせる

車から降りてきた人物の顔を、一人ずつ確認する

et

末端じゃない全員幹部クラス

ur

それは予想外だ.

urの声がほんの少しだけ低くなった

et

罠だと気づいて居ない

et

それとも..

ur

罠だと分かった上で来た

urが続きを言う

私は何も言わず肯定の沈黙を返した

頭の中で、情報が組み替えられていく

誰が、何を知っていて、何を隠しているのか

その中にどうしても一人だけ思考から排除できない存在がいる

et

ur

ur

ん?

et

貴方この情報を受け取った後

et

誰かに会った?

通信が一瞬だけ途切れたような気がした

ur

会ってない.

即答

速すぎる

et

そう.

私はそれ以上追求しなかった

疑うなら最後まで

中途半端な問は相手に逃げ道を与える

だが胸の奥で嫌な感覚が広がる

ーー疑っている

それなのに彼の声を聞くと安心してしまう

それが、1番危険だった

ur

どうする?

et

予定通り

私は双眼鏡を下ろし端末を操作する

et

監視だけ.

et

手は出さない

ur

逃がすのか

et

ええ.

et

今夜は"釣れた"事実だけで十分

urは少し考えた後、短く答えた

ur

了解

その声はいつもと変わらない

だからこそ、私は余計に分からなくなる

彼は本当に何も知らないのか

それともーー

全てを知った上で演じているのか

夜明け前

事務所に戻った私は

集めた映像と記録を机に並べていた

第三埠頭に集まった幹部たち.彼らが受け取った情報経路。

線を辿っていくと、必ず同じ場所で止まる

et

ここ、

名前のない空白を見つめた

直接的な証拠はないだが、逆に不自然なほど何も残っていない。

その時、ドアがノックされる

et

入って

urだった

ur

おつかれ.

et

ええ.

彼はコーヒーを二つ机に置く

いつもの癖.私が飲む前提で、砂糖は入っていない

ur

どう見る?

urは私の向かいに座り資料に目を落とす

et

内部確定

ur

犯人は?

et

まだ.

私は彼を見る

et

でもかなり絞れた

urは一瞬だけ目を伏せた

ur

そっか

その反応を私は見逃さない

et

ur

ur

何?

et

貴方、私が誰を疑っているか知りたい?

彼は少しだけ笑った

ur

聞いたら教えてくれる?

et

いいえ

ur

だろうな

この軽さが怖い

私はふと思ってしまう

もし彼が裏切り者だったら

もし、彼が自分を利用しているだけだったら

それでも

自分は引き金を引けるのだろうか

ur

ねえetさん.

urが珍しく真剣な声で言う

ur

もし俺が君の敵だったら

ur

どうする?

私は間を置いて答えた

et

排除する

ur

即答?

et

ええ.

嘘だった

urはその嘘に気づいたのか、静かに微笑む

ur

それでいい

その言葉が何故か胸に刺さる

夜は少しずつ明けていく

だが2人の間の闇は確実に深くなっていった

NEXT▶︎1000

偽りに愛を撃て.

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