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仕事に追われるうちにあっという間に社員旅行の日になった。
今は北海道に行くための飛行機を待っているところだ。
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自販機で買ったミルクティーを飲んでいると、Nakamuが笑顔でそう言った。
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内心不安でいっぱいな僕とは対照に、Nakamuはなんだか楽しそうだ。
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目を見開いて驚くNakamuに苦笑いを浮かべる。
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Nakamuの発言を適当に流していると、Nakamuがふと声を上げた。
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Nakamuが焦ったようにそう言う。
お菓子まで持ってこようとするなんて本当に修学旅行みたいだ。
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がっくりと項垂れるNakamuが見てられなくてそういうと、
僕の言葉を聞いたNakamuの顔がパアッと明るくなる。
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…
Nakamuに頼まれたお菓子が入ったレジ袋を片手に、空港内を歩く。
歩きながら、ふと経理部の女の子のことが頭をよぎった。
好意を持ってくれるのは嬉しいけど、僕はあの子のこと全然知らないしなぁ…
正直に言うと、今はその子との恋愛には乗り気になれなかった。
1日目にはさっそく班行動がある。
もし誘われたら、相手を傷付けないように丁重にお断りしないと…
そんなことを考えながら、突き当たりの角を曲がろうとしたとき。
ドンッ
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僕が曲がろうとしたタイミングで角から出てきた子と衝突してしまった。
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そう聞きながらぶつかった子の方を見て、僕は言葉を失った。
経理部の女の子
僕を見て、驚いたように目を見開いているのはNakamuが言っていた経理部の女の子だった。
ふわふわのパーマはかかった茶髪の髪の女の子…
写真で見た特徴と同じだ。
経理部の女の子
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僕の方を見て嬉しそうに声を弾ませる女の子に、ぎこちなく頷く。
経理部の女の子
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経理部の女の子
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僕は今、ちゃんと笑えているのだろうか。
頑張って笑おうとしているけど、顔が引き攣っている気がする。
経理部の女の子
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経理部の女の子
女の子は笑顔でそういうと、駆け足で去っていった。
…
再び歩き出しながら、さっきの女の子を思い出す。
悪い感じの子ではなかった気がするけど…
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不安と一緒に飛行機に乗ること1時間半。
あっという間に目的地についた。
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僕の隣でそう言うのは、缶コーヒーを片手に持ったスマイルさん。
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マフラーに顔を埋めるスマイルさんに笑ってそう言う。
雪こそ降っていないが、東京と比べると確かに肌寒い。
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経理部の女の子
スマイルさんと談笑していると、遠くから声がした。
見ると、さっきの女の子がこっちに駆け寄ってきていた。
経理部の女の子
経理部の女の子
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経理部の女の子
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女の子はそう言いながら、ニコニコと周りに愛想を振りまく。
他数名の男女も合流して、班別行動がスタートした。
…
ついたのはテーマパークだった。
でもよくあるテーマパークじゃなくて
遊園地と水族館がくっついている、北海道では有名な場所らしい。
…
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多くの子供連れの家族やカップルがいる水族館の中、
僕は今、スマイルさんと2人っきりで水族館をまわっている。
なんでこんな状況になっているのか。
きっかけは数時間前に遡る。
テーマパークについてすぐ。
先に水族館に行くか、遊園地に行くかで意見が割れてしまい、
話し合いの結果、それぞれ行きたい方に分かれて数時間後合流するという方針に決まった。
経理部の女の子
経理部の女の子
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女の子に問われ、迷っていると隣で施設のパンフレットを見ているスマイルさんが目に入った。
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経理部の女の子
同じ班の男性
同じ班の男性
同じ班の男性
僕も見る女の子には申し訳ないけど気づかないフリをして
同じ班の男の合図で水族館へ向かった。
…ということがあり、スマイルさんと水族館に来ているのだ。
今は2人でのんびりと水族館をまわっている。
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スマイルさんの質問に首を傾げる。
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あの人というのは、経理部の女の子のことだろうか。
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隠す必要もないかと思い、正直な気持ちをスマイルさんに打ち明けた。
薄暗い館内に差し込む光が僕達を照らす。
…でもなんか意外だな。
スマイルさんって鈍感そうだから、人の恋心とか気づかなそうなのに。
たくさんの魚が泳ぐ水槽を見ながら、そんなことを考えているとスマイルさんが口を開いた。
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スマイルさんに問われ、壁に貼られているイルカショーのポスターを指差す。
水族館の定番のイベントでもあるイルカショー。
30分後にはショーが始まるみたいだ。
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スマイルさんの言葉に、周りを見渡す。
確かに、休日だからか人が多い。
油断したらすぐにスマイルさんと逸れてしまいそうだ。
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逸れないようにスマイルさんの手を掴みながら、人が少ないところへ行く。
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スマイルさんが頷いたのを確認して、会場を目指した。
…
あれから数分ぐらい歩いて、屋外の会場に着いた。
早めに来たからか、人は思ったより少ない。
これならいい席が取れそうだ。
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反応がないスマイルさんに首を傾げる。
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声をかけると、スマイルさんが困惑したような顔で僕を見た。
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スマイルさんの言葉を聞いて、自分の手に視線を動かす。
目線の先には、スマイルさんの手をがっちりと掴んでいる僕の手…
…
僕の手…??
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慌てて手を離して、ペコペコと頭を下げる。
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じゃあここに来るまでの数分間、ずっとスマイルさんの手握ってたってこと…?
無意識とはいえ、上司の手を勝手に握るなんて…
目の前の事実に、サーっと体から血の気が引くような感覚がした。
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再び頭を下げようとすると、スマイルさんがそう言った。
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頭を上げた僕に、スマイルさんは淡々と言葉を繋ぐ。
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僕の前を歩いていくスマイルさんの後を追う。
どこまでもスマートなスマイルさんの後ろ姿が僕には凄くかっこよく見えた。
いい席にも座れて、会場で楽しい時間を過ごしたあと。
遊園地ゾーンのベンチで、ほかの班員が集まるのをスマイルさんと話しながら待つ。
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隣に座っていたスマイルさんが首を傾げる。
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スマイルさんはモテるしエスコートも上手そうだから、いないと言われて少し驚く。
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言われてみれば、スマイルさんって役職持ちだし
僕なんかより何倍も忙しいのだろう。
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夕日に照らされたスマイルさんの目が悲しげに伏せられる。
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スマイルさんが放った言葉に、思わず声を上げる。
するとスマイルさんが僕の言葉に驚いたように目を見開いた。
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DomかSubかなんてそんなこと…
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経理部の女の子
ちょうどそのとき。
僕を呼ぶ声がして、声がした方を見る。
班員の女の子がこっちに駆け寄ってきていた。
遊園地組の人たちとも合流して、班員が全員揃った。
同じ班の男性
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経理部の女の子
経理部の女の子
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スマイルさんに話しかけようと思ったが女の子に話しかけられてしまい、話すことが出来なかった。
もうすっかり夕日も沈んで辺りが暗くなったころ。
今回の宿である旅館に着いた。
宴会会場で夕ご飯と賑やかな宴会に参加したあと、部屋に戻る。
部屋は2人部屋だ。相手はスマイルさん。
心が弾むのを感じながら、部屋のドアを開けると
先に部屋に戻っていたであろうスマイルさんが、床に敷かれ畳の上で座ってテレビを見ていた。
湯上がりの肌に浴衣を纏い、その上に丹前を羽織っているスマイルさんは会社とは違い、
柔らかで妖艶な雰囲気を醸し出していた。
暖かで落ち着く和室の造りと、浴衣を纏ったスマイルさんの組み合わせは何とも秀麗で
いるだけで絵になりそうなくらいだった。
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声をかけると、スマイルさんがゆっくりと此方を見る。
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スマイルさんが頷いたのを確認して、先程買ってきたビール缶をテーブルに並べる。
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スマイルさんにビール缶を手渡し、一緒に蓋を開ける。
静かな和室に響くのは、テレビから流れるCMの音声だけ。
心地よい沈黙の中、スマイルさんが口を開いた。
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…
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スマイルさんはそう言って、柔らかい笑みを浮かべた。
あまりに綺麗に笑うスマイルさんを見て、僕も笑みが溢れる。
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照れくさくて謙遜するようにそう言いながら2本目のビール缶に手を伸ばす。
ちょうどそのとき。
コテンッ ポスッ
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左肩に重みを感じた。
驚いて見てみると、スマイルさんが僕の肩にもたれかかっていた。
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突然の出来事に、固まって動けなくなる。
ドクンドクン、と周りの音が聞こえなくなるくらい鼓動が大きくなる。
普段のスマイルさんなら絶対しないような行動に、困惑しながらも顔に熱が集まるのを感じた。
近くからスマイルさんの匂いや体温が伝わってくる…
スマイルさんの感触に、さらに心臓の音がうるさくなる。
今起こっているこの状況に頭がパンクしそうになった。
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耳元で聞こえる、スマイルさんの深く安心しきった声。
少しだけ顔を動かして、左をみると
きめ細かな綺麗な肌に、宝石みたいにキラキラと整った顔が至近距離で見えた。
呼吸をするのを忘れそうになるくらい、その綺麗な顔に釘付けになる。
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僕がそう聞くと、スマイルさんはスッと僕の肩から頭を離した。
肩に乗っていた重みが、一瞬にしてなくなる。
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立ち上がって布団に向かうスマイルさんに呆気にとられながらも頷く。
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何事もなかったかのように布団に入るスマイルさんを見ながらそんなことを考える。
パチンッと電気が消されて、部屋の中が真っ暗になった。
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まだ肩に残る感触を感じながら、僕も布団に入った。