私は今
2度目の人生を送っている
母
愛実!
母
起きなさい、ご飯よー
愛実
はーい、今行きます
この身体の名前は愛実
野良猫を庇って事故で死んだ私は、どうやら転生というものをしたらしく
現在、愛実として生きている
愛実
あの野良猫、元気してるかな
愛実
今もゴミを漁って
愛実
縄張り争いでもして
愛実
懸命に生きているのかな
母
なに独り言を言ってるの?
母
ほら、遅刻しちゃうわよ
愛実
うん、行ってきます
母
気をつけるのよ
愛実
はーい
愛実
今日はいい天気だな
あの子を助けたあの日も
こんな綺麗な青空だったな
愛実
愛実
愛実
え?
猫がいる
首輪がない、毛並みも悪い、きっと野良猫
でも大事なのはそこじゃない
ふらふらと、道路の方へと歩いていく
駄目、そっちは
愛実
駄目!!!
愛実
待って!!
愛実
行っちゃ駄目!!!!
気づいたら走り出していた
必死で猫に手を伸ばす
届くまで、あと数センチ
届け
届け!!
愛実
……あ
一瞬だけ、道路の向こうが見えた
猫と、飛び出した私を、目を見開いて見つめるあの子
……あれは、まさか
じゃあ、私は___
愛実
……あぁ
愛実
なんで忘れてたの
愛実
私は野良猫を助けられなかった
愛実
だからきっと、神様がもう一度
愛実
チャンスを与えてくれた
愛実
なのに、なのに
愛実
また、助けられなかった
愛実
ごめん……ね
???
???
ふざけんな
???
やめろよ
???
ぼくにはどうしようもないのに
???
また
???
くりかえすんだ







