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華太の髪を乾かしながら、テレビから流れてくるニュースに耳を傾ける。 拉致監禁をしていたストーカー男が逮捕されたらしい。
小峠華太
南雲梗平
小峠華太
南雲梗平
別に暴力を振るわなくても監禁なんかしなくても、相手を支配する方法なんて幾らでもあるのにな、と
南雲は、心の中で、犯人を瀬世ら笑う。
相手に狂気を向ければ警戒される。 しつこく、つきまとえば周囲にも周知される確率があがる。 暴力で支配するのは簡単だが、行き過ぎれば殺してしまうし、怯えた表情以外しなくなる。 ただ単に支配したいだけなら、それでもいいのかもしれないが
本当の意味で、相手を手に入れる事は出来ない。 自分の望みを、自らの手で潰してしまうなんて、本末転倒も良いところだ。
南雲梗平
だから、俺は相手が自分に依存するように仕向ける。
やる事は一つだけ。 ぐずぐずに甘やかすだけ。
まるで、甘ったるい砂糖菓子のように、デロデロに甘やかす。 やがて、それは遅効性の毒のように、じわじわと内側から、相手を浸食していく。
砂糖には中毒性がある。食べれば、もっと欲しくなる。それは、砂糖を摂取すると、脳がヘロインなどの麻薬を摂取した時と同じ反応を示すからだ。
だから、俺は甘やかす。 ただそれだけで、相手は俺から離れていこうなんて考えもしなくなるのだから。
現に俺が何も行動しなくとも、華太の方からやってくるのが、いい証拠。
当然とばかりに華太は、お風呂からあがれば、俺の側にきて、背を向け、乾かして貰うのを待つ。 髪を乾かして終わると、俺の首に腕を回し、ベッドまで運ぶようにねだる。
華太の髪を洗うのも、華太の髪を乾かすのも、華太の髪をセットするのも、華太の歯磨きをするのも、華太をベッドまでお姫様抱っこで運ぶのも、全て俺の役目。
きっと華太は、もう俺なしでは生きて行けないだろ。俺によって、生活の大半が成り立っているのだから。
なんで、こんなに簡単なことすら、あいつらには出来ないのか、理解に苦しむ。
本当の狂気は見せびらかせるのではなく、誰にも気取らせずに、己の腹の中にひっそりと孕ましておくものだ。
おわり