むかしむかしあるところに
雪のように白い肌で
黒檀のような黒い髪と
リンゴのような真っ赤な瞳の
それはそれは美しいお姫様がいました
ある日お姫様は継母により森に捨てられてしまいました
しかしお姫様は小さな小屋を見つけ
そこで幸せに暮らし始めたのです
継母は魔法の鏡でその姿を見て
お姫様の命までも奪おうと決めたのです
コンコンコン、、、
白雪姫
あら?
白雪姫
誰かが来たみたい
扉を開けるとそこには
一人の老婆が立っていました
老婆
こんにちは、お嬢さん
老婆
真っ赤で美味しいリンゴはいかが?
老婆はそう言うと
カゴの中からとても赤い
ツヤツヤでおいしそうなリンゴを取り出した
白雪姫
まあ!
白雪姫
とてもおいしそうなリンゴね!
白雪姫
頂いてしまっても良いのですか?
老婆
良いんだよ
老婆
美味しそうに食べてくれる顔を見るのが
老婆
私は何よりも好きでねぇ
白雪姫
そうなんですね!
白雪姫
では遠慮なく
白雪姫
いただきまーす!
白雪姫は美味しそうにリンゴを頬張り
ペロリと全て平らげてしまいました
老婆
(なぜ…!?)
老婆
(私は確かに毒リンゴを渡したはず…!)
老婆
(まさか間違えて渡したのか…!?)
白雪姫
あぁ
白雪姫
とっても美味しいリンゴでした
白雪姫
おばあさん、ありがとうございます
老婆
いやいや良いんだよ
老婆
とても美味しそうに食べてくれたから
老婆
私も食べたくなってしまったよ
そう言うと老婆はカゴの中のリンゴに手を伸ばし
真っ赤なリンゴをひとかじりしました
老婆
うっ…!?
老婆
(あれ…?)
老婆
(私はなぜ毒リンゴを食べた…?)
白雪姫
おばあさん?
白雪姫
大丈夫ですか?
老婆が苦しみだし
一口かじられただけのリンゴが転がる
白雪姫
あら…
白雪姫
一口だけ食べて捨てるなんてもったいないですよ
白雪姫
召し上がらないんですか?
老婆
…
白雪姫
じゃぁ、残りは私が頂きますね♪
老婆
…!?
白雪姫
(シャリシャリ…ごっくん)
白雪姫
あぁ…
白雪姫
とーっても美味しいリンゴでした
白雪姫
おばあさん
白雪姫
美味しいリンゴをどうもありがとうございました
老婆
(なぜ…平気で食べられる…!?)
老婆は驚愕の表情を浮かべたまま
体を動かすことも出来ずに
頭上で笑顔を振りまきながら話しかけてくる娘を見ていた
白雪姫
りんごはとても甘くて美味しかったですが
白雪姫
毒のスパイスなんて
白雪姫
滅多にない組み合わせでしたね♪
白雪姫
私は子供の頃から色々な毒を試していたので
白雪姫
毒が全く効かない体になってしまったのですが…
白雪姫
こんな刺激的な食べ方は初めてでした♪
老婆
な…
老婆
どうして…毒入りだと…
白雪姫
わかりますよぉ
白雪姫
ね、お義理母さま
老婆
!?
老婆
知って…いたの…
白雪姫
もちろんです!
白雪姫
美味しいリンゴも食べれたし
白雪姫
お義理母さまのそんな姿もお顔も見ることが出来ましたし
白雪姫
今日はとてもいい気分です♪
老婆
そう…私は最悪の日だわ…
段々と霞がかっていく視界
遠くから聞こえてくる娘の声
老婆
(あぁ…私はここで死ぬのね…)
美しさを求め
自分より美しい者に嫉妬し
破滅を与えようとして
自ら滅びの道を行く
白雪姫
嫉妬心なんて
白雪姫
あっても損なだけですよ
白雪姫
誰かを羨んで生きるより
白雪姫
羨ましがられる生き方が良いですよね♪
白雪姫
お義理母の悔しそうなそのお顔も
白雪姫
とっても素敵ですよ…♡