見えないのは俺のほうなのに

これは会ったらダメなやつ。

話したらダメなやつ。

俺は一人ぼっちにならないといけないから。

目が見えない俺は耳だけで話を聞いている。

手をも教科書の頁を間違ったり、字も書けないからいつも先生に怒られていた。

いつもこうやって先生は俺に呆れたため息をつく。

昼休み。

約束も無いのに嘘をつくのにも慣れてきた。

ｽﾞｻﾞｯ

段差があるなんて知らない。

白状なんか持ってない。

翔馬は持ってるらしい。なんで。

何度も転ける俺は足、腕、手に怪我が増えていた。

ｶﾞﾗｶﾞﾗ

唯一、保健室の先生には俺の事情を話していた。

目のこと、家族のこと。

保健室の先生は誰も俺のことを話していない。

信頼してる先生だ。

ｶﾞﾗｶﾞﾗ

あぁ、睨まないでほしい。

俺は何もしてない。

口説いたりもしてないし、色目を使ったりもしてない。

それに話した事もほとんど無いし。

ﾆｷﾞｯ