_居間_
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泣き続けた少年の頭を撫で続ける。
何としてでも落ち着いて欲しくて。
__笑って欲しくて。
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出しかけた言葉を遮るように人差し指を唇にあてる。
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この子は本当の愛を知らない。
愛を知らないが故、どうしていいのか分からないんだ。
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きょとんとした顔でこちらを見てくる。
その目は、ぱんぱんに腫れ上がっていた。
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肩を強ばらせ、明らかにこちらを覗き込んでいた。
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また、目元に涙をいっぱいに溜め、こちらを見てくる。
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我ながら嘘くさい言葉を並べてしまった。
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言うことも伝えることもオレにしか、きっと出来ないことだから。
__もし、この頃にオレも同じ経験をしていれば。
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ソファを指さし、座るよう促す。
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なかなかこの癖も抜けなそうだな。
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えっへんと胸を叩く。
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とりあえず、お手本として自分が先に座る。
そして、大きく手を広げて__
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にこっと笑う。
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明らかに今さっきよりも困ってないか!?
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そう言い少年がソファに座るのではなく、オレの足元に座る。
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犬みたいに俺を見上げるような形。
それに上目遣いと言ったら......。
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目に毒っ!、はっきり言ってッ!!
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脇を挟むように持ち上げて、膝の上に座らせる。
目線が1つ上になり、見上げられている形になる。
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にまっと笑って、
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いつもの名乗り口上を披露する。
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あぁ、眩しい笑顔だな、
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この名乗り口上も久しぶりにやったしな、
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小さな瞳に曇り空が見えてくる。
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沈黙の場が続く。
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それを切り裂くように、
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部屋の中で少年の声が響いてく。
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何故か無性に腹が立って、
怒りでどこかおかしくなりそうなくらい、
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顔ひとつ合わせられなかった。
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欲しくても、願っても、
手に入らない、届きやしないモノ。
我慢しなきゃって言い聞かせて、我儘になんてなれやしない。
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いや、分かってなきゃ可笑しいんだ。
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欲しいものが手に入らないのなら。
我儘も自由も効かないのなら。
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オレがその"モノ"を与えればいい。
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我儘も言いたくなるぐらい"幸せ"にしてあげればいい。
もう、いらないって言うくらい。
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名前が無い状態で果たしてどう生きてきたかは分からない。
もしかしたら、ちゃんとした名前があったのかもしれない。
だが、
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これはこれでいいのかも、しれないな。
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無邪気に笑う少年が愛おしくって。
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誰かに何かを与えるなんて久しぶりで。
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カーテンの隙間から窓をカリカリと引っ掻く犬が見える。
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珍しい黒の犬で体は小さいため小型犬だろう。
首には首輪が付いている。
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体をひょいっと持ち上げ、ソファに座らせる。
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あぁ、と相槌をうち窓に足を運ぶ。
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オレが来たことが嬉しいのか、しっぽをぶんぶん振っている。
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オレのことみてくれる、かな、¿
窓の鍵に手をかける。
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犬に手を伸ばす。
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思いっきり引っ張られる。
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手からでも伝わってくる震え。
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止められた手を少し払い、もう一度触ろうと手を伸ばす。
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やっと、オレのこと、を、
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だきつかれっ、
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いま、なん、てっ、
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クルッと体勢をかえ、
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壊れないようにとそれはまた優しく抱きしめる。
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頭をすりすりと押し付ける。
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ああぁぁ、可愛すぎる。
もう絶対に離さんからなッッ!!
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なまえ、何にするか、
この子にふさわしい.....、
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気に入ってくれる、きっと。
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オレが沢山アイしてやる。
コメント
8件
ほんっとに毎回毎回神作を作ってくれてありがとうございますぅ!
やばい…司類中毒になりそう