赤
付き合うなら、必ず桃くんの方から会いに来ること
赤
そしてこれは注意になるけど...
赤
付き合ったとしても、桃くんと恋人らしいことはできないと思う
桃
...なんで、ですか
赤
なんで...なんだろうね
そう言って俯き、また夕日を 見つめる赤先輩。
やっぱりその背中は寂しそうで、 すぐに消えてしまいそうだった。
桃
...わかりました
赤
...!
赤
本当に、本当にいいの?
赤
俺は桃くんに何もしてあげられないよ
赤
恋人らしいこと、何にもできないんだよ
桃
それでもいいんです
桃
俺は誰よりも、先輩に近い存在でありたいんです
桃
近くで先輩の姿を見続けることができるのなら、恋人らしいことができなくても、きっと、大丈夫です
赤
......
赤
たくさん寂しい思いさせちゃうかもしれないよ...?
桃
はい
赤
急にいなくなっちゃうかもよ...?
桃
...はい
赤
...わかった
赤
ぜひ、お付き合いさせてください//
照れながらそう言う赤先輩が、 後ろの夕日よりも輝いて見えた。
橙
桃ちゃ〜ん!!
桃
毎回毎回そうやって話しかけてくんな
橙
この前はどうやった?上手くいったん?
桃
...まあ
桃
付き合えた
橙
ほんまに!?よかったやん!
桃
うん...
橙
どしたん?元気ないやん
桃
あのね...
橙
...?
桃
なんか赤先輩、隠してることがある気がする
橙
隠してること?
桃
うん...
桃
「付き合ってください」って言ったときに、条件をつけられた
橙
条件...
桃
「付き合うなら、絶対桃くんの方から屋上に来ること」って
桃
あと、「俺と恋人らしいことはできないと思う」って
橙
それでも付き合ったん?
桃
うん...
橙
なんで...?
桃
赤先輩、いつも寂しそうで、すぐに消えちゃいそうっていうか...
桃
...ずっと一緒にいたいからさ
橙
そうなんや...
橙
確かになんか隠してる感じあるなあ
橙
桃ちゃんの好きな人、一回くらい会ってみたいけどなあ...w
桃
やだよ...
橙
ええやん!ちょっとくらい!
桃
...じゃあ直接じゃなくて、扉のとこから見てみたら?
桃
直接は恥ずいし...
橙
今日も会うんやろ?
桃
うん
橙
じゃあ、見に行くわ
桃
えっ
橙
「えっ」って何やねん!桃ちゃんが言ったんやん!
桃
まさか本当に来るなんて思ってなかったし...
橙
まあ、見に行くから
橙
あ、邪魔はしないから気にせんといて!
桃
当たり前だろ...
冗談で言ったはずが、本当に 橙は来る気らしい。
仕方なく、俺は先に屋上に 向かうことにした。







