テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

一覧ページ

青い夜明けになる前に (1)

第1話 - 青い夜明けになる前に (1)

102

2019年08月08日

#中学生

#恋愛

#病気

#結晶病

こんぶ。

耳が痛くなるアラームの音とママの大声が私の目覚まし時計。

ゆずママ

ゆずー起きなさいー！

ゆず

ふわぁ～、

ゆず

7時30分…。7時30分?!
やばいやばいやばい！！

ドタバタ足音を立てながら下へ降りる

ぴんぽーん

ゆずママ

ほらー、りょうくん来ちゃったじゃん。

りょう

あ、おはよう晴子さん

ゆずママ

おはよう、ゆず今起きたの…
ちょっと待ってね

りょう

うぃっす

ゆず

(着替えて準備して…っと。あれ。宿題がない…)

ゆず

(う、嘘でしょ。こんな時に限って…どこやったっけ。)

ゆずママ

ゆずー！早くしなさーい！

ゆず

はーーいー、

ゆず

(朝ごはんも食べてないのに)

りょうは家がとなりで幼なじみ。幼稚園から毎朝一緒に登校してる。

りょう

お前まだ？

ゆず

りょう！！いっつも私が遅くても部屋まで来るのやめてってゆってんじゃん！

りょう

いやいや遅いのそっちじゃん

ゆず

それよりねぇどうしよ。宿題なくした。

りょう

は？！

ゆず

金曜日にもらった国語のプリント！

りょう

相変わらず馬鹿だな…

ゆず

一緒に探して！お願い！

ゆずママ

遅刻するわよー！ふたりともー！

ゆず

わかってるー！

りょう

おいゆず、

ゆず

なに?!

りょう

俺たち完全に遅刻だぞ。

ゆず

えっ。あっ。ほんとだ。ごめん！

りょう

忘れましたで良くね？

ゆず

この前も忘れて怒られたから今日忘れたら多分死ぬでしょ。

りょう

お前馬鹿すぎ。

ゆず

しょうがない……ぁあった！！

りょう

よしいくぞ

ゆず

いってきまーす

りょう

お前その腕どしたの

ゆず

腕？どれ？？

走りながらでもわかる、大きな青アザが右腕に出来ていた。

ゆず

えええ、なにこれ！痛くないし全然気づかなかった！

りょう

えー、やべーよ。グロいよ。

ゆず

まぁ、痛くないし大丈夫だって！

学校では朝礼の終わりのチャイムがなっていた。

ゆず

おはようございまーす(小声)

りょう

おはようございまーす(小声)

宮崎先生(担任)

梨川ゆずさん、高瀬りょうさん仲良く遅刻ですか？

りょう

人生の壁にぶつかって遅刻しましたー。

3年2組生徒

爆笑

宮崎先生(担任)

気をつけなさいよー。梨川さんも。

ゆず

はーい

りんか

ねぇ、ゆず。ゆずって高瀬と付き合ってんの？

ゆず

え？なわけないじゃん。

りんか

でもみんな言ってるよ。高瀬まぁまぁかっこいいし。

ゆず

付き合ってないからー。

りんか

ふーん。って、ゆず右腕の青アザどしたの?!

ゆず

んー、わかんないんだよね。気づいたらこんなんになってた。痛くないから大丈夫だと思うけど。

りんか

えー。めっちゃ痛そう…。一応保健室行ってくれば？

ゆず

いいよいいよ。治るって。

3時間目までは普通に過ごしていた。

3時間目までは。

りんか

ゆずー！次体育だから行こ！

ゆず

いこー！

りんか

今日ドッチボールするらしいよ。

ゆず

おぉ！楽しそ！！

そして体操をした後、ドッチボールが始まった。

りょう

おっりゃーー！！

女子

きゃっ！高瀬くんのボール怖い！

女子

本当にやだ～！

男子

行くぞりょう!!

蒸し暑い体育館で私はめまいがしてきた。

りょう

ゆず行くぞ！！

ゆず

あ、うん！！

女子

えええ！ゆずちゃんのボールも強いじゃん！！

ゆず

(あれっ…。ボールどこ。)

急に立てなくなって、息が出来なくなって、気づいたら体育館の床が目の前だった。

ゆず

(なにこれ、苦しい。)

ゆず

(助けて…)

ゆず

はぁはぁはぁ

りょう

ゆず！！おい！！！

男子

え、嘘だろ？

女子

ゆずちゃんやばくない？

りんか

ゆず！！

りんかが私の背中をさすってくれる。

りんか

ゆず！しっかりして！

私はあの後救急車に運ばれて集中治療室。目が覚めると白い天井に薬の匂い。私の腕には点滴が刺さっていた。

ゆず

…ふわぁ～。

りょう

…

ゆず

りょう？

りょう

…っあ？

ゆず

目赤いじゃん、なに、泣いてたの？

りょう

うるせーよ。

ゆず

あははははっ！なんで泣いてたの？

りょう

心配したんだよ！お前が死んだらとか色々考えたんだっつーの。

ゆず

なにそれ。死ぬわけないじゃん。びんっびんだよ。

ゆず

今何時？

りょう

6時半。

ゆず

え？私ずっと病院いたの？

りょう

お前が倒れて救急車で運ばれて、俺は学校終わったら来た。

ゆず

ふーん。いいの？こんな時間までここにいて。

りょう

いいよ、近いし。

ゆず

ふーん。

りょう

ゆず、明日学校来る？

ゆず

んー、わかんない。お医者さんともまだなんにも話してないんだもん。

りょう

そっかー。まぁ馬鹿なお前が救急車とはな。

ゆず

いや馬鹿じゃないし、

りょう

バカだろ。笑

ゆず

もしかしたら今日倒れて頭打ったから天才になってるかもしれないよ？笑

りょう

んなことあるかよ、笑
じゃそろそろ行くわ。

ゆず

ばいばーい

りょう

おう

りょう

(ここの病院ってでかいんだな、)

ゆずママ

えぇ。はい。

病院の先生

娘さんが今日の午前中運ばれてきまして、

りょう

(あ、ゆずのかーちゃんじゃん。話しかけてこ。)

りょう

晴子さー…

ゆずママ

娘は助かるんですか。

りょう

(あ、病院の先生と話してんのか。隠れとこ。)

病院の先生

娘さんは、

病院の先生

結晶病です。

ゆずママ

結晶病…？

病院の先生

血液が異常を起こし、体が徐々に青く冷たくなり、最終的には心臓に血液が送られなくなるという病気です。また、重症化してきますと、記憶障害が発生します。

ゆずママ

助かるんですか。

病院の先生

ゆずさんの命はもって、あと半年かと…。

ゆずママ

そんなっ…。

りょう

(まじかよ。)

りょう

(ゆず『死ぬわけないじゃん。』)

りょう

死ぬわけ、ねぇよな。

次の日

ゆず

不在着信

りょう

やべ、ゆずから電話きてんじゃん。

りょう

通話
08:22

(電話での会話)

ゆず

もしもーし。りょう？

りょう

(なんだ、普通じゃん。)

りょう

あー、どした？電話してきて。

ゆず

今日学校行けないや。

りょう

あ、そうなん、だ。

ゆず

なんでそんなテンション低いの？

りょう

いや、別に。

ゆず

じゃあ行ってらっしゃい！間違えてゆずの家来ないでね！笑

りょう

あ、あぁ。

ポチッ

りょう

(あいつ、気にしてねーのか？それとも知らされてねーのか？)

学校がおわると俺はゆずのいる病院に行くことにした。担任先生はゆずは体調不良でしばらく欠席すると言っていた。

ガラガラガラっ。

ゆず

りょう？

りょう

よっ。

ゆず

来てくれたの？

りょう

あぁ。

ゆず

ねぇりょう。なんで今日の朝そんなにテンション低かったの？いつもなら元気100倍なのに。

りょう

別に。

ゆず

私さー、

りょう

お、おう

ゆず

…重い、熱中症だって。

りょう

え？

ゆず

熱中症で死んでる人もいるじゃん？私は助かってよかったって。

りょう

あ、え、そう、なのか。

ゆず

うん。でもまだ安静にしとかなきゃいけないみたいだから、しばらく退院出来ないや。

りょう

(あぁ？結晶病じゃねーの？)

りょう

(てか、なんか喋んねーと)

りょう

点滴、何本あんの？

りょう

(いや何聞いてんだよ。)

ゆず

8本。

りょう

多くね？

ゆず

いや、多くね？って言われてもねぇ

りょう

あ、俺今日塾なんだった。帰るわ！

ゆず

あ、うん。またね…

ガラガラガラ、バタン。

ゆず

(りょうって塾いってたっけ。)

ゆず

ゲホッゲホッゲホッ。

ゆず

(?!)

ゆず

(手首が、青くなってる…。)

つづく

この作品はいかがでしたか？

102

0件

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう！

こんぶ。

プロフィール

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい！がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

青い夜明けになる前に (1)

第1話 - 青い夜明けになる前に (1)

作者の他の作品すべて見る

#中学生の新着小説
一覧

関連するタグ

青い夜明けになる前に (1)

第1話 - 青い夜明けになる前に (1)

作者の他の作品すべて見る

#中学生の新着小説一覧

関連するタグ

#中学生の新着小説
一覧