藤澤涼架side.
wki.
美由.
なんて言えばいいんだろう
元貴は若井に言ってないんだ
美由さんが僕に馴れ馴れしく話しかけて
裏で僕のことを馬鹿にしてるってこと
元貴にしか言ってないんだ
だから元貴は若井の後ろから美由さんを睨みつけているし
若井は何も知らない様子で首を傾げている
僕が何も言わないから
若井は困惑するし、美由さんは怒る
美由.
fjsw.
違う、と叫びたかった
美由さんは僕と友達なんかじゃ無い
僕にとって友達は、ありのままの僕を受け入れてくれる人
だから美由さんは、友達じゃ無いのに
『友達だ』と言ってしまう僕がいた
wki.
美由.
美由.
口に端を吊り上げて、僕を横目で見る
きっと、僕を馬鹿にしてるんだ
男の人なのに女の人の格好をしている僕のことを
誰にも見えないように唇を噛む
そうやって涙を必死に堪えていると
元貴が急に若井の手をとって歩き始めた
大学とは逆の方向に
wki.
慌てる若井をよそに元貴はずんずんと歩いていく
wki.
wki.
wki.
遠ざかる二人の背中
二人は角を曲がり、完全に見えなくなる
美由.
美由さんは若井が見えなくなった途端に
貼り付けていた愛想笑いを消し、僕を睨んで
僕の腕を振り払った
穢らわしいと言いたげに何度も腕を擦る
それを何も言わずに眺める僕
美由.
美由.
そう言い残すと美由さんはため息をついて大学に入って行った
僕だけがその場に取り残される
疲労がきて、大学とは別の方向に歩く
一時限目が始める時間になっていたけれど
大学から離れてベンチに座った
これから、若井と美由さんは仲良くなるのかな
若井と僕が喋るたびに美由さんが入ってくるのかな
そりゃそうだよね
だって若井は美由さんと僕が友達って勘違いしてるもんね
本当は違うのに
『おかま』 『気持ち悪すぎて吐きそう』 『おかま隠ししても髪型で隠せて無いよ』 『髪色センス悪すぎ、よくあれで外でれるよね』 『鼻がもうちょい高けりゃねぇ』 『マジこいつ近くで見るとさらにキモいよね』 『化粧してもブスのままなのウケる、笑』 『化粧しても顔は変わんないよぉ〜』
美由さんが心の中で言っていた言葉が急に頭の中に蘇ってくる
fjsw.
意味のなく一人で呟く
そうしないと外だというのに泣きそうだ
自分の好きな格好を 自分の容姿を 自分の全てを
あの人に否定される
なのに、今日、その人と偽りの友達になってしまった
これから、どうすればいい?
一人で青空を眺めていると
二人分の足音
その二人の足跡の正体は、若井と元貴だった
wki.
wki.
fjsw.
wki.
fjsw.
wki.
あれ、若井、
美由さんのこと、気になってる…?
『涼ちゃん、あの人と本当に友達じゃ無いんだよね?』 『あのカフェで言ってたこと、嘘じゃ無いでしょ?』 『若井、本当に涼ちゃんと友達だと思ってる』
元貴の声が聞こえてくる
その眉根はキツく寄せられていた
『若井とあの人がもし付き合ったら、僕もう若井と喋れない』 『きっとあの人が怖くて、若井に近づけない』 『僕は若井と離れたく無い』 『友達のことも嘘なんでしょ?ねえ涼ちゃん、』 『なんとかしてよぉっ…!』
元貴の悲痛な叫びが頭に響く
そりゃそうだろう
自分が喋れなくなるほど
辛い思いをさせた人と友達が付き合ったら
想像するだけで吐きそうなくらい気持ち悪い
『若井はね、僕が喋れなくなる前から仲良くしてくれたの』 『僕が喋れなくなっても若井は手話勉強して、喋ってくれた』 『若井がいなかったら僕生きてない。涼ちゃんとも会えてない』
元が泣きそうになりながら僕に訴える
そしてとうとう泣き出した
fjsw.
fjsw.
泣き崩れる元貴をベンチに座らせて僕はほっぺをペチンと叩く
wki.
wki.
fjsw.
wki.
fjsw.
若井は目を大きく見開いて
「もちろん」と微笑んだ
こんにちは
♡と💬よろしくお願いします
それではまた
コメント
12件
一気読みしてきた! いやーもう最高すぎるねこのお話😭👏✨こんなに続きが気になること初めてかも!若井さんと涼ちゃんの今後の関係に注目だなこりゃ…👀 無理しない程度に投稿頑張ってね応援してる🥰️🥰️🥰️
つづきが気になりすぎるー!
やっぱこの話すきだぁ、、、、 ❤️さんの一つ一つの言葉から純粋さとかほんとに💙さんとか周りの人たちを大切にしてて、大好きなんだろうなって伝わってきます… だからこそ美由とは付き合ってほしくないし、自分も嫌だけど💙さんにもおんなじ思いされたらどうしよって優しさもふくまれてるんじゃないかなぁ、、? 続き楽しみ!