テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
教室 の 窓 から 差し込む 朝 の 光 は 、まだ 柔らかくて 眩しさも 控えめ だった 。ざわつく 教室 。クラスメイト たち の 笑い声 や 、椅子 を 引く音 、プリント を 配る音 が 入り 混じる 。
荒北 は 、いつもの ように 一番 後ろの 席 に だらりと 腰掛けて 、椅子 を 少し 斜めにして 寄りかかって いた 。机の 上には 、昨日の 授業 プリント と ぐしゃぐしゃの ノート 。それを 片手 で 適当 に まとめ ながら 、ぼんやり と 前を 見ている。
新開隼人
その 声 に 、荒北 は 少しだけ 眉 を しかめた 。振り向かなくても 誰だか 分かる。飄々とした 口調 と 、飄々 とした 性格 。赤い 長髪 が ふわっと 視界 に 入り 込んできた 。
荒北靖友
新開隼人
新開 は 、隣の 席に 自分の バッグを 置きながら 、どこからか 取り出した 補給食 の 袋を 開け 始める 。パリッ という 音と 共に 、甘い 匂いが ふわっと 漂って きた 。荒北 は 一瞬 、眉を ピクリ と 動かして から 目線を 新開の 手元に 落と した。
荒北靖友
新開隼人
新開 は ケロッと した顔 で 補給食 を かじる 。唇に くっついた クズ を 指で 拭って 、さらに もう一口 。まるで 朝ごはん かのように 自然 な 動作 。
荒北靖友
新開隼人
新開隼人
そう 言い 、新開 は 袋を 荒北の 方に 差し 出した 。 荒北は チラッ と それを 見て 、鼻で 笑った 。
荒北靖友
新開隼人
新開は そう 言いながら 、全く 気にした 様子もなく もぐもぐと 食べ 続ける 。 教室の 入り口で 担任が 入ってくる 気配がして 、生徒たちが 一斉に 自席に 戻り 始める 。ざわざわが 少し 落ち着いていく 中 、新開が 荒北 にだけ 聞こえる ような 声で ぽつりと 言った 。
新開隼人
荒北 は 、それを 聞いた 瞬間 、反射的に 顔を しかめた 。が 、すぐに 逸らす ように 窓の 方を 見た 。
荒北靖友
新開隼人
荒北靖友
一拍 遅れて 返した 声には 、ほんの わずかに 動揺が 混じって いた 。でも それを 誤魔化す ように 、荒北は 机に 肘を 突いて あくびを かみ殺す 。
新開は にやにや と 笑って 、それ 以上 何も 言わずに 正面を 向いた 。 チャイム が 鳴り 、朝の ホームルーム が 始まる 。
それでも 荒北の 中では 、新開の “さみしい” という 一言が 、ずっと 耳の 奥に 残って いた 。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!