椿
髪の毛が邪魔です……
誰か
結びましょうか?
椿
おや、宜しいのですか?
誰か
はい
誰か
わぁ…髪がふわふわなのに…さらさら
椿
ふふ、ありがとうございます
椿
けれど時々本当に邪魔になってしまうのです…
誰か
成程…
誰か
いっその事切ってみては?
椿
切る……
椿
(考えてもみませんでした…)
椿
(確かにこんなに邪魔なら何故今まで……)
椿
(…あ)
「椿の髪は綺麗な色だね」
「黄金色は最高の存在を表している色でもある、椿にぴったりだよ」
「…そう、ですか……」
「少し手入れをすればきっと、もっともっと美しくなるよ」
「そうだ、明日…髪飾りでも買いに行こうね」
「椿は美人さんだからね…何でも似合うよ」
そう言って優しく撫でてくれた 手袋越しの手の冷たさは今でも十分思い出せます
椿
いえ、
椿
切りません
誰か
へぇ、切っても似合いそうなのに
椿
ふふ、お褒めの言葉、感謝致します
誰か
けど確かにこんなに綺麗な髪を切るのは…少し勿体無いですね
椿
そうですか、笑
椿
…まぁ、少なくとも
椿
鳳仙花の花が咲く時期までは伸ばし続けますよ
誰か
?鳳仙花……
誰か
一体何で…
椿
ふふ、
椿
秘密です