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堕ちた翼に祈りを

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堕ちた翼に祈りを

17 - 16,深く沈む祈り、呼びかける声

♥

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2025年07月23日

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16話目です!

nmmn注意⚠️ キャラ崩壊注意⚠️ 誤字脱字注意⚠️ 天使パロ

ご本人様には一切関係ございません!
苦手な方はback推奨!

では!

どうぞ!

──声にならない想いは、時に最も強く、心を揺さぶる。

誰かを救いたいと願うこと。

それは、天使であれ堕天使であれ、変わらないはずなのに──

天界・空の回廊。

いるまはひとり、星のように散る祈りの光を眺めていた。

掌に収まるほどの、小さな光。

それはある少女のものだった。

いるま_ドミニオン

また、お前が応じたのか

先日、なつが地上で受け取った“祈り”。

記録には明記されていなかったが、祈りの波長と天使たちの観測が一致した。

それは、なつがまだ“堕ちきっていない”証拠だった。

いるま_ドミニオン

……なつ

いるま_ドミニオン

まだ……

その名を口にしようとした瞬間。

視界の隅に、鮮烈な光が走る。

見ると、すちが訓練場から戻ってきたところだった。

すち_ヴァーチャー

いるまちゃん!

いるま_ドミニオン

……どうした

すち_ヴァーチャー

ねえ、最近、様子変じゃない?

すち_ヴァーチャー

急にひとりで考え込んだり、どこか行ったり……

すちはじっと、いるまの目を見た。

すち_ヴァーチャー

俺……天使って、なんでも見透せると思ってた

すち_ヴァーチャー

けど、暇ちゃんのことも、いるまちゃんのことも、俺、全然わかんないや

いるま_ドミニオン

……すち

すち_ヴァーチャー

それでも、分かりたいんだよ

すち_ヴァーチャー

いるまちゃんが何を抱えてて、暇ちゃんに何を伝えたいのか

その声音は、珍しく真剣だった。

軽くて明るい口調の奥に、確かに強い意志があった。

いるまは視線を伏せたまま、そっと口を開いた。

いるま_ドミニオン

……俺は、なつを救いたいと思ってた

いるま_ドミニオン

ずっとそうだった

すち_ヴァーチャー

じゃあ、今は違うの?

いるま_ドミニオン

……分からない

いるま_ドミニオン

あいつが戻るってことは、俺の場所が……なくなる気がして

すち_ヴァーチャー

……!

すちの瞳が揺れる。

すち_ヴァーチャー

そんなの、違うよ

すち_ヴァーチャー

いるまちゃんの場所は、誰かに奪われるものじゃない

すち_ヴァーチャー

むしろ……誰かを信じた分だけ、広がるものでしょ?

いるま_ドミニオン

……お前は、強いな

すち_ヴァーチャー

いるまちゃんが勝手に落ちてくなら、俺、ちゃんと引き止めるよ

すちはその手を伸ばして、いるまの袖をぎゅっと掴んだ。

すち_ヴァーチャー

それが俺の“力天使”としての力

すち_ヴァーチャー

誰かの心を持ち上げること、きっと……できるから

その言葉に、いるまは少しだけ口元を緩めた。

いるま_ドミニオン

……ありがとう

いるま_ドミニオン

すち

その夜、地上。

なつは、ふたたびひとりの人間の“祈り”に応じていた。

今回もまた、誰にも知られることなく── 教会跡の片隅で、少年が肩を震わせていた。

少年

……誰も、助けてくれなかった……

嗚咽混じりのその声に、なつは静かに歩み寄る。

黒と白の混ざる羽を背に、なつはただ穏やかにその背中に影を落とす。

なつ_ソロネ

……願っただけじゃ、誰も気づかねえ

なつ_ソロネ

声にしなきゃ、届かないこともある

少年

……っ、天使……?

なつ_ソロネ

違う

そう言いながら、なつはそっとその少年の肩に触れる。

なつ_ソロネ

けど、俺は……お前の“声”が聞こえた

なつ_ソロネ

だから来た

その手から放たれた光は、黒にも白にも見える不思議な色だった。

少年の目に、かすかな安らぎが戻る。

その光景に、なつは自分の胸が少しだけ熱くなるのを感じていた。

なつ_ソロネ

(……俺は、まだ)

なつ_ソロネ

(誰かの“祈り”に、応えたいと思ってる)

一方、天界。

記録の光が静かに揺れ、こさめがそれを見つめていた。

こさめ_アークエンジェル

……また、なつくんだ

救済記録が刻まれていた。

堕天の身でありながら、またひとりの魂が“安らぎ”を得た。

こさめ_アークエンジェル

……なつくん

こさめ_アークエンジェル

こさめ、信じてるから

こさめ_アークエンジェル

ちゃんと、迎えに行くからね

そして──

その祈りに応じたなつの姿を、雲の向こうから、らんも見ていた。

らん_ソロネ

……お前、まさか……

その直感が確信へと変わりつつあった。

──なつは、天使に戻ろうとしている。

それがどれほど苦しい道でも、なつは“選びはじめている”。

らん_ソロネ

……なら、戻ってこい

らん_ソロネ

お前の席は、まだ空けてある

らんの言葉は、空へと溶けた。

教会跡。

なつはふたたび空を見上げる。

その空の奥に、かつての仲間たちの気配を感じながら。

手の中には、またひとつ、“祈りの欠片”。

それはただの光ではなく、誰かの“願い”そのもの。

なつ_ソロネ

……また、届いたな

けれど、なつの背にある羽は、まだ完全に戻ったわけではない。

白と黒の、境界のまま。

それでも──

なつ_ソロネ

もう一度、手を伸ばすよ

なつ_ソロネ

何度だって

なつの声は、風に乗って、遠く天界へと響いていった。

第16話・了

おかえりなさい!

次回!

𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝♡170

では!

ばいばい!
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