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救った人(かげよこ)

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救った人(かげよこ)

9 - 潜めていたもの

♥

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2024年05月19日

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影山 母

拓也、拓也!

よくわかない名前を言われて

そこはベッドだった

あれ、俺ってなんだっけ

影山拓也

多分、そうなんだよな、

横原の顔を見て

心のなかで謝った

影山拓也

横原、おかゆできたよ

横原は薄く目を開けた

横原悠毅

あ、ありがとう

そういってゆっくりと起き上がった

影山拓也

あ、俺がするよ、

あくまで熱だから

俺は横原におかゆをさまして口に運んだ

影山拓也

大丈夫、?

横原悠毅

うん

ごめん横原

考えることを放棄したから

きっとこうなったんだよ

影山拓也

寝る?

横原悠毅

影山くん、

そう言って横原は俺の膝に頭をのせた

影山拓也

えっあ、横原?

横原は何も言わず

いや、多分もう寝ていた

影山拓也

横原、

影山拓也

きっと、その時だったんだね

影山拓也

もう思い出せないよ、

きっと

幼い頃の俺は今の俺が言うであろう言葉の似たものを言ったんじゃないか

きっと、

横原にとっては大切な約束だったんだろう、

でも多分、

いや絶対に

俺も大切にしてたし、大切にすると、

守ると決めていたと思う

横原、その約束教えてよ、

影山拓也

ごめん、

俺は無意識に横原の頭に手を乗せていた

影山拓也

桜きれー

横原悠毅

すぐ散るのに

影山拓也

ねえなんでそんなこと言うの?笑笑

横原悠毅

ま、綺麗だけど

横原悠毅

桜みたいになりたい

影山拓也

桜?

横原悠毅

一時は綺麗でみんなからちやほやされるけど、

横原悠毅

すぐ枯れるし、違う形で葉をつけたり、なんも出来なかったり

横原悠毅

でも桜を咲かす為に諦めず生きてるじゃん

横原悠毅

そしてまた桜を咲かしてる頑張ってる

影山拓也

なるほど、

横原悠毅

俺もそうなりたい、諦めず生きる、みたいなね

影山拓也

すげーな横原は、

影山拓也

桜にそんなん思ってたんだ

影山拓也

俺なんてきれーってだけだよ?

横原悠毅

それもいんじゃね?笑

影山拓也

まじ?笑

影山拓也

でも俺は横原とずっと桜を咲かせていたいな

横原悠毅

え笑

横原悠毅

くさいよ

影山拓也

ねえ笑笑

影山拓也

見逃してよ笑

横原悠毅

むりむり笑笑

目を開けると俺の膝で横原が眠っていた

影山拓也

あ、寝てた!!

影山拓也

え、今何時

14時半

影山拓也

あ、よかったそんな寝てない

なんて夢を見ていたんだろう

よく分からない、でも幸せそうな夢

夢のなかでは付き合ってたんだろうな

少し経つと横原が目を覚ました

横原悠毅

えっあ、ごめん

慌てたように起き上がった

熱はましになったのだろうか

いつもの横原に近かった

影山拓也

いいよ、大丈夫

若干気まづい時間が続く

影山拓也

どう?体調

横原悠毅

さっきよりはましになったかも、

影山拓也

そっか良かった

長居しても邪魔だろう

影山拓也

飲み物とかゼリーとか冷蔵庫に入れたから良かったら食べて

横原悠毅

ありがとう、

影山拓也

じゃあ、俺帰るね、

ソファから立ち上がると

横原に腕を掴まれた

横原悠毅

あのさ

横原悠毅

なんで、

横原悠毅

そんな俺によくしてくれるの

少し火照った顔が愛おしかった

好きだからという浮ついた気持ちは少なからずあるかもしれない

でも、

俺が守ってやりたいという

底知れない感情が込み上げるからだと思う

でもそれがきっと好きという感情だ

影山拓也

よく、って

影山拓也

横原だから、

横原だからという理由が

抽象的だけど

1番合っていた

横原は黙って俯いていた

そして顔を上げて言った

横原悠毅

小2の11月終わり

横原悠毅

俺と影山くんが出逢ったの

影山拓也

小2の11月、

やっぱり、そうだ

悔しかった

横原悠毅

前、影山くんの気持ち考えずに色々言ってごめん

影山拓也

いやその話なんだけど

影山拓也

聞いてほしいことがあって

この話は誰にもしたことがなかった

怖いけど

影山拓也

俺、

影山拓也

小2の11月終わりかな、

影山拓也

多分横原と逢った少し後

影山拓也

交通事故で記憶を失ったんだ

医者

拓也くん、事故の衝撃で記憶が一時的に飛んでいます

医者

恐らくお話されたら戻るはずです

なにをなにがどうなっているのか

分からなかった

起きた直後はなにも覚えていなかったけど

家族と話してるうちに段々思い出していった

影山 母

この前、静岡行ったのは覚えてる?

影山拓也 幼少期

静岡、

うっすらと色ずくようにどんどん思い出していった

幸いにも軽いもので

だけど空白は多くて

思い出せないものもあった

でもきっといじめられてることだろうと

思い出すことを放棄していた

影山拓也

何年も経った今、

影山拓也

もう思い出そうとしても思い出せない

影山拓也

手遅れだった

どう、言えばいいのだろう

どうすることもできない

この行き場を無くした感情を

どう消化すればいい?

横原悠毅

なにも知らずに色々言ってごめん

影山拓也

いや、良いんだ

謝ることしか、俺にはできなかった

影山拓也

あの、お願いがあって

影山くんの目は切ないものだった

影山拓也

その出逢った場所に連れて行って欲しい

俺も何度も考えた

あそこに行ったら思い出すのじゃないか

思い出すと、信じて

救った人(かげよこ)

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