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十月の雨は、 夏より冷たかった。 僕とかやまは、 ほとんど毎日一緒にいた。 最初は偶然みたいだった。 保健室。 コンビニ。 帰り道。 でもいつの間にか、 かやまが隣にいるのが当たり前になっていた。 朝、 教室へ行けば窓際にいる。 昼休みには当然みたいに隣へ来る。 夜になると電話が来る。 それが普通になっていく。 僕は気づかないふりをしていた。
たかはし
昼休み。 たかはしがパンを齧りながら言う。
たかはし
はせがわ
たかはし
はせがわ
クラスが笑う。 僕も笑う。 でも。 教室後ろ。 かやまは笑っていなかった。 窓の外を見ている。 その横顔が妙に冷たく見えた。
放課後
僕はたかはしたちにカラオケへ誘われた。 断ろうとした。 でも、 たかはしがしつこい。
たかはし
僕は少し迷った その時。 かやまが静かに言った。
かやま
かやま
その言い方が、 少しだけ引っかかった。 でも僕は笑った
はせがわ
かやまは何も言わなかった
カラオケ。 うるさい音。 安っぽい照明。 煙草の残り匂い。 僕は笑っていた。 歌って、 騒いで、 普通の高校生みたいに。 なのに。 どこか落ち着かない。 ポケットの携帯ばかり気になる。 着信はない。 メールもない。 僕はそれに苛立っていた。 何でだよ。 別に、 連絡欲しいわけじゃないのに。
たかはし
はせがわ
たかはし
僕は笑って誤魔化した。 でも。 その瞬間。 携帯が震えた。 僕の心臓が跳ねる。 画面。 かやま。 メール本文は一行だけ。
『楽しい?』 僕の喉が妙に乾く。
夜21時
僕は結局、 途中で帰っていた。 理由は自分でも分からない。 ただ、 息苦しかった。 マンション前。 街灯の下。 かやまがいた。 僕は立ち止まる。
はせがわ
かやま
当然みたいに言う。 僕は笑いそうになった。 呆れて。 怖くて。 少し嬉しくて。 最悪だった。 かやまが袋から缶コーヒーを一本出す。 僕へ投げる。 僕は反射で受け取った。 冷たい。 かやまが小さく言う。
かやま
胸の奥が 変に温かくなる。 帰る場所みたいだった。 それが怖い。
かやま
かやまが突然言ったのは、 日曜の昼だった。 僕はゲームしていた。
はせがわ
かやま
意味が分からない。 でも僕は断れなかった。
午後。 薄暗い館内。 青い光。 家族連れの笑い声。 かやまはクラゲ水槽の前で立ち止まる。 青白い光が顔へ落ちる。 かやまはしばらく黙って、 水槽を見ていた。 僕はその横顔を見る。 綺麗だった。
かやま
はせがわ
かやま
僕は思わず苦笑いする。
はせがわ
かやまは水槽を見たまま続けた。
かやま
その声が静かすぎて、 僕は返事できなかった。 青い光の中。 クラゲがゆっくり浮かぶ。 まるで、 出口のない水槽だった。
帰り道。 夕方。 空は灰色だった。 駅前を歩いている時。
こにし
声。 知らない男子。 明るい髪。 笑った目。 人懐っこい顔。 そいつは僕に近づく。
こにし
僕は曖昧に笑った
はせがわ
こにしはかやまを見る。
こにし
かやまは答えない。 こしには気にせず笑う。
こにし
かやま
こにし
僕は苦笑した。 その時。 隣で。 かやまが、 初めてはっきり不機嫌な顔をした。