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👾
こにしは、 うるさい奴だった。 悪い意味じゃなく。 声が大きくて、 笑う時に肩を叩いてきて、 距離感がおかしい。 僕が一番苦手なタイプ。 なのに。 こにしは最初から、 結へ妙に懐いていた。
こにし
昼休み。 購買の焼きそばパンを齧りながら、 こにしが笑う
はせがわ
こにし
はせがわ
こにしはゲラゲラ笑う。 うるさい。 でも、 嫌じゃなかった。 かやまといる時とは違う疲れ方だった。 普通の空気。 ちゃんと高校生っぽい。 それが少し、 心地よかった。
教室後ろ。 かやまは窓際からこっちを見ていた。 何も言わない。 でも視線だけが重い。 僕はそれに気づかないふりをした。
放課後。 僕はこにしにゲームセンターへ連れていかれた。 古い音楽。 眩しい照明。 メダルゲームの音。 悠真はクレーンゲームが下手くそだった。
こにし
はせがわ
こにし
僕は少し笑った。 その時。 こしにが急に言った。
こにし
はせがわ
こにし
こにしは冗談っぽく笑う。 でも目は結構真面目だった。
こにし
僕は視線を逸らした。
こにし
少し迷ってから。
こにし
その言葉が、 妙に耳へ残った。
帰り道。 僕は一人だった。 こにしとは駅で別れた。 夜風が冷たい。 携帯を見る。 着信三件。 全部かやま。 僕の喉が詰まる。 同時に、 少し安心してしまう。 最悪だった。 僕は電話をかけ直す。 すぐ繋がる。
かやま
かやまの声。
はせがわ
沈黙。 ノイズだけが聞こえる。 僕は歩きながら言う。
はせがわ
かやま
僕の足が止まる。 かやまの声は怒っていなかった。 だから余計怖い
はせがわ
かやま
何で知ってるのか… 僕は眉をひそめる。
はせがわ
また沈黙。 遠くで車の音。 それからかやまが小さく言った。
かやま
責める声じゃない。 でも。 寂しそうだった。 僕は何も言えなくなる。
かやま
その瞬間。 胸の奥が、 ぐちゃっと嫌な音を立てた。 僕は思わず笑って誤魔化す。
はせがわ
かやま
電話が切れる。 ツーツーという音。 結はしばらく携帯を耳へ当てたまま立っていた。 心臓だけがうるさい。
翌日。 かやまは学校へ来なかった。 僕は朝から落ち着かなかった。 教室。 窓際。 屋上。 どこを見てもいない。 自分で思ってる以上に、 かやまを探していることへ気づく。 その事実が気持ち悪い。
昼休み。 こにしが僕の机に座った。
こにし
僕は適当に返す
はせがわ
こにし
はせがわ
こにし
僕は窓の外を見る。 灰色の空。 雨が降りそうだった。 こにしが笑う。
こにし
その瞬間。 教室の空気が変わった。 僕の背後。 誰かが立っている気配。 ゆっくり振り返る。 かやまだった。 濡れている。 髪も、 制服も。 雨の匂いがした。 教室が少し静まる。 かやまはこにしを見る。 何も言わない。 でも。 目だけが笑っていなかった。 こにしもそれに気づいたらしい。 笑顔が少し引きつる。 数秒。 重い沈黙。 それからかやまが、 静かに言った。
かやま
はせがわ
かやま
言い方はまるで 僕がかやまのものみたいだった。 こにしが苦笑する。
こにし
教室がまた笑う。 でも。 かやまは笑わなかった。 僕はその瞬間。 耳鳴りみたいな違和感を、 初めてはっきり感じた。
コメント
1件
歯磨きしてたら歯取れちゃったよ.