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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

     リキジュシュヨ
心身静寂、力授呪与
急喼如律令

雫石

……ん

雫石

だいぶ妖力、戻ってきた感じ

ああ

封印されてた訳でもねぇからな

雪女

封印?

封印されるってことは、
能力を封じられたまま

静かに妖力を
奪われることと同じだ

白來

だから僕の妖力、
尽きかけてたの?

だろうな

その点、雫石は回復が早い

雪女

なるほどね……

んで、そっちはどうだ

雪女

うん、私もかなり

雪女

妖だから傷が残ることは
殆ど無いだろうし

雪女

雪が

傷の根源をなんとかしたから
……だろ

雪女

そうそう!

白來

あれから妙な感じとか
あった?

……いや、今のところは

でも念の為

外には出るなよ

白來

うん

んじゃ、俺は
薬売りに行ってくるから

白來

売る?

市で売るんだ

治してるのは妖 とはいえ、
頼まれればヒトも治すし

治療の為の薬は売る

雪女

わかったわ

雪女

その間、ここは任せて頂戴!

あぁ、任せた

白來

行ってらっしゃい、雪

雫石

行ってらっしゃい!

ん、妖力無駄遣いすんなよ

雫石

うん!

白來

わかってる!

念の為 白來達のいる部屋の周りに

簡易的ではあるが 結界を施してから

雪は市へ向かった

歩く雪を見下ろせる 瓦屋根の上から

じっと雪を見詰める 双眸があった

雪が見上げた時には 既にソレは姿を消し

ん…?

(今見られてた気がしたが…)

気の所為…か?

微かに、羽ばたきのような音が 聞こえた気がした

指に止まった 黒い鳥の言葉を聞きながら

1人の青年が 不敵に笑みを浮かべていた

???

まだそんな中途半端なこと
やってるんだ?

???

……今行ってもいいけど

???

たぶん警戒されてるかな…?

呟いたその人物に 黒い鳥が話し掛ける

『あの人物は?』

???

ちょっと…いや

???

かなり路を間違えてる、

???

哀れな身内

???

……もう戻りなよ

青年が気だるそうに 手を振ると

黒い鳥は1枚の形代へと 姿を変えた

雪の薬は 城下町内でも人気だ

元々数量も少なく

それにとても 丁寧に作られている為か

かなり早くに売り切れてしまう

(今日も完売、か)

少女

…あ

少女

あの…

ん?

少女

えっと、私…

少女

薬……

(1人で、買いに来たのか)

どうかしましたか?

視線を低くして 少女と目を合わせる

少女

なんとなく…身体、重くて

少女

薬…ありますか……?

あ…すみません

今日はもう

少女

あ、いいんです…!

少女

すみませんでした…!

っ、待って

走り去ろうとする少女の腕を 反射的に掴んでいた

少女

え…?

身体が重いって
言いましたよね

少女

は、はい

(原因は恐らく…コイツか)

雪の瞳が、 普通のヒトには見えない存在――

少女の肩にぶら下がる 男性の霊を捉える

目、瞑っててください

少女

っ、わかりました

(万魔調伏 急喼如律令…)

静かに札を取り出し 心の中で唱えてから霊に触れる

瞬間、ソレは四散して消えた

もう良いですよ

少女

え…

少女

……あ!

少女

軽いです…!

それは良かった

また異常がある時は
来てください

少女

ありがとうございました…!

一礼して去っていく少女を見て

雪は静かに

複雑な表情を浮かべた

白來

あれ

白來

なんか、変な感じしない…?

雫石

変な感じ?

雪女

他の妖の気配がするってこと?

白來

えっと、そうじゃなくて

白來

なんか…凄く嫌な感じ

雪女

嫌な……

白來

わかる…?

雪女

……

雪女

…!

雫石

姉さん?

雪女

奥の部屋、行こう

雫石

え?

雪女

早くっ!

白來

ま、待って!

雪女

え?!

白來

雪、ここを出る時に

白來

僕たちのいる部屋の周りに
結界を張ってた

白來

動かない方が良いよ!

雪女

で、でも…

刹那、空気の流れが変わった

雫石

え?

結界によってやや滞っていた それが

一気に流れ込んできたような そんな感覚

雪女

逃げて!

雪女の声で 我に返った白來と雫石は

慌てて奥の部屋に転がり込む

続いて雪女も飛び込んだ

???

あれ、結界が張られてたから
ここかと思ったんだけど

???

読みが外れたかな

???

なーんて

白來

(誰…?)

雪女

(コソッ)白來、動かないで…!

襖は閉じている筈なのに

まるで 見えているかのような口調で

侵入者は独り言ちる

???

気配から察するに
妖が2匹と…

???

あー…
ヒトと妖の混じりモノか

白來

(混じりモノ…?)

雫石

…!

雫石の息を呑む音に気付いて そちらを見ると

雪女

…………ッ

雪女が俯き、 蒼白な顔をしていた

???

…ああ

???

てっきり死んだと
思っていたのに

???

生きてたんだね

???

雪女の弟クン

雫石

ひッ…!

白來

雫石、落ち着いて…!

???

ま、全員祓うから

???

問題は無いんだけど――

侵入者の手が

襖に掛かった

第7話【侵入者】

続く

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