翌日
執務室
ツカサ
…ルイ
ルイ
…手が止まっていますよ
ツカサ
……すまん
そう注意すると、 すぐに下を向いて 仕事を再開させた。
ルイ
…はぁ
ルイ
(捨てられた子犬のような顔でこちらを見つめてきた……)
ルイ
(本当にやめて欲しい……)
休憩時間
ツカサ
ルイ
ルイ
…なんですか?
ツカサ
クッキー以外の、好きな食べ物を教えてくれないか?
ルイ
………ラムネ
ツカサ
ありがとう、
業務時間終了後
ツカサ
ルイ
ルイ
…ずっと付いてこないでください
ツカサ
…すまん
ルイ
……………
ルイ
…嫌いじゃない、…って言いましたよね
ツカサ
……ああ
ルイ
………好きになっちゃう、可能性だってあります
ルイは、ぽつりと 小さな声で言った。
ツカサ
………!?
ルイ
………だから…やめて、ください
ぷい、とそっぽを向いた。
ツカサ
(コイツは、本当に…)
ツカサ
………なぁ、ルイ
ルイ
…………
ツカサ
…本当に、綺麗だ
ルイ
………うるさいです
今度は下を向いて、 小さく吐き捨てた。
ツカサ
ルイ…、
ルイ
…部屋に戻ります
ツカサ
…そうか……
スッとソファから立ち上がり、 執務室から出ていった。
ツカサ
…好きになる可能性…
ツカサ
…ハハッ、
夕陽のせいか羞恥か、 紅く染まった 端正な顔を思い浮かべる。
ツカサ
……ああいうところも…可愛い、かもしれんな
ツカサ
…………
ツカサ
(…オレも戻るか)
ツカサの部屋
ツカサ
(…ルイを見ていると、愛おしさで潰れそうになる)
ルイの柔らかい表情を思い出し、 きゅう、と心臓が締め付けられた。
ツカサ
……
ツカサ
(これが、恋なんだな…)
ツカサ
(初恋が部下か……、)
ツカサ
…あ
ツカサ
(…そろそろ出張があったはず)
ツカサ
(…………甘いものでも、土産に買ってこよう)
ルイの部屋
ルイ
……
ルイ
(…つい、逃げ出してしまった)
ルイ
(……僕が僕じゃないみたいだ)
慈しむような彼の表情を 思い浮かべると、 首筋まで熱くなっていく。
ルイ
(…少し、悔しい、かもしれない)
赤い顔で、 そんな想いを独りごちた。