脳裏都市

今日はなんとなくナギト優しかったな

いつもあんな風に 接してくれればいいのに...

なんてね

さて、今日も帰ったらお風呂はいって 全身マッサージして...

カツ、カツとなる自分のローファーの 足音とは別に

後ろから足音がすることに気づいた

あー、まずいなこれ...

付けられてる...さっきの建物から？

だとしたらやばい連中かな...

ひぇー...よりによってナギトじゃなくて 私を追いかけてくるか...

足を速めるが、後ろの足音も それに合わせて早くなる。

まずいまずい、早く帰らない...と、？

足音がすぐ背後に来た、と思った瞬間

後頭部から鈍い音がして、 地面に倒れた。

どうやら背後には2人居たようだ。

薄れていく意識の中、どうにか 顔だけでも見ようと思ったのだが

暗闇では、目視できなかった

...これ、死ぬのかなぁ

ぼんやりそんな風に考えていたのを 覚えている。

「ッ、き...！？」

「お、ー き、」

誰かの声がする...

誰だっけ、この声...

「おい！」

ハッキリ聞こえた...

あ、そうだこの声...

「おい！みさき！」

起きなきゃ...

目を覚ますと薄暗い部屋にいた。

真っ暗く、冷たい床の部屋。

...ここは？

というか、私なんでこんな...

あ、そっか

私、たしか帰り道に知らない人に 殴られて...

ってことは、誘拐？

ん〜、どうしよう...

やっぱこういう時ナギトの能力 便利だったりするよね...

透視！とかやっちゃってね。

そんなんじゃないか

うふ

と、いうか...

私どこの組織の人に誘拐されたんだ？

ナギトと仲良い組織だったらなぁ、 名前出せば出して貰えるんだけど...

桜組だったら最悪...

あそこは良くしてくれる人も居るけど、 頭おかしい人も居るから...

色々考えていると、ギギギ...と 扉が開いた。

外から光が差し込んでくる。 目がなれない為、しばしばと傷んだ

...どうしよう

扉が空いたそこには、 黒髪？の少年が立っていた。

黒雷〜ブラック・サンダー〜

最近力をつけてきている組織だが、 桜組を超える自由人の集まり

そして得意としていることは

人身売買

まずい...よりによって黒雷...

あ、でももしかしたら 売買しようって方じゃなくて、

ナギトと話をさせろー！の方かも！

最ッッッ悪...

目の前の男は自身が舌打ちした事に 強い驚きを見せたが、

普通当然だろう...

長年の経験的に忘れていたが、 どうやらこの怒りは普通ではないようだ

一瞬ナギトの名前を出そう！とも みさきは考えたが、

今名前を出せばナギトに被害が 行くかもしれない。

それだけは避けたい。

なぜなら、こんな集団よりも ナギトの方がよっぽど怖いからだ。

まずい、バレたか...？

良かった...

キーンと密室に音が響く

まずい！！！！これは...

相手の目が赤くなるのを視認した瞬間

緊張した空気が部屋に流れる

...黒雷は一般人には通じなかったようだ

男がメモを捲りながら言うと、

相手は口を噤んで俯いた

俯いてる為、表情は伺えなかったが

小さく聞こえる声から、 泣いているのがわかった。

...まぁそりゃショックかぁ、

知ったこっちゃないけどな...。

優しい人だな

けど、優しすぎるのも時に罪だ。

きっとこのままあそこと つるみ続ければ...

あの子は、

...

いや、依頼に関係ないことを 考えるのはやめよう。

人との関わりは

深くなればなるほど、 辛くなるだけだから

中途半端に終わらせてしまったことに 後悔が募るが

すぐに事務所に戻るために 歩き始めた。

昨日解散した道から、 一通りの少ない方を進むと

見覚えのあるキーホルダーが 地面に転がっていた。

拾い上げると、それはやはり みさきのものだった。

...そういえば昨日、 彼奴こっちの道を通って帰ったよな

夜中は通るのやめた方がいいって あれだけ言ったの、に....？

うさぎ型のキーホルダーの目を みつめる...

すると、ナギトの目が光り 情報が頭になだれ込んできた

...これは？