翠
彰?
翠
嫌な予感がした。
元々優しくて裏で頑張ってる子が、こんな時に言う事なんて分かる。
彰?
翠
彰?
翠
……この子は、本気だ。
本気で死ぬ気なんだ。
この子の目を見てれば分かる。
この子をずっと近くで見てきた、私には……
翠
彰?
そう言って、首元に包丁を当てる。
私の手に添えられた手は温かくて、確かに生きていて、彼は優しい表情を浮かべていて。
翠
彰?
その言葉を最後に、彼は私の目の前で……
翠
あれからどれぐらい経っただろうか。
私はあの場から蹲って動けなかった。
翠
翠
どうしてこうなったのか。
どうして彼は死ぬ羽目になったのか。
どうして、どうして、何故、何故、何故…………
翠
生き残った2人を助けるために、フラフラの足を無理矢理立たせる。
そして、亡骸になった彼に布を被せた。
翠
翠
大粒の涙を流しながら、もう冷たくなった彼にしがみつく。
静かになった部屋には、ただ私の嗚咽が響いていた。
翠
翠
翠
翠
翠
翠
翠
翠
翠
翠
そうして犬笛とホイッスルを鳴らす。
廊下の角から出てきたX達を見て、ニタァと笑った。
翠
翠
翠
彼女は壊れたように笑い続けた。
狂ったように包丁を振るい、Xを殺していく。
廊下は一瞬にしてXの血が飛び散り、Xの死体に埋め尽くされる。
その地獄絵図の中で彼女は、無邪気に笑いながらXの命を刈り取る狂人と化した。
修平
息を殺してロビーを見渡す。
マンションになだれ込んでくるXに見つからないように、慎重に進んだ。
修平
そしてエントランスを出た瞬間、一気に駆け出した。
一部のXはこちらの動きに気付いたのか、後ろを追ってくる。
修平
修平
上手く息が出来ないせいで酸素が足りないのか、意識が朦朧としてくる。
だが、それでも気にせず走り続けた。
修平
曲がり角を利用して隠れる。
修平
一気に不足していた酸素を吸い込もうと呼吸を整える。
息を殺し、周りを彷徨くXを見る。
翠が引き付けたお陰なのか、かなり減っていた。
修平
修平
避難場所に居る自衛隊の父の元へ、駆け出していった。
……後に、この選択を後悔するなんて知らずに。
翠
Xの血で全身を染め上げ、茶色の髪の毛もドス黒く染まっている。
彼から綺麗だと言われた緑色の瞳でさえも、赤く染まっていた。
そんな中で、彼女は笑っていた。
翠
狂ったように笑いながら、触手を避けていく。
そして、触手を切りつけながら宙を舞った。
翠
Xの悲鳴も、今の彼女には効かない。
狂ったように笑い続け、狂人となった彼女にも限界は訪れる。
翠
片足がXの生き残りによって食い千切られ、大量の血が流れる。
体制が崩れ、ここぞと言わんばかりにXがこちらに襲いかかってくる。
翠
最期に彼への謝罪をして、狂人は絶命した。
コメント
2件
ア゛ア゛ア゛最高ウゥゥ てことで続き待ってます
ア゙ア゙ア゙好きィィィィ(うるさくてすみません)