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とある物書きの挑戦譚【第二期】

第7話 - 隠れた才能

280

2021年08月08日

#ファンタジー

#転生

#転生モノ

#創作

#異世界転生

#一次創作

レンドール

うわぁあぁあ…これはひどい。

レンドール

しょ、

レンドール

消毒するね…。

ぴとっ

（レンが消毒液を染み込ませたガーゼでシゼの頬を濡らす。）

シゼ

…。

シゼ

（何かすごい勘違いされてる気がするんだけど…。）

シゼ

あ、

シゼ

あの…レンさん。

レンドール

あっ、ごめん！

レンドール

痛む…？

シゼ

いえ、そうではなくて。

シゼ

ひょっとして、私が怪我をしたと思ってます？

レンドール

えっ、

レンドール

違うの？

シゼ

ただの絵の具です。

シゼ

言うの遅れてすみません。

レンドール

！…。

レンドール

…もぉおお〜！

レンドール

驚かさないでよ！

シゼ

すみません。

レンドール

僕、心配したんだよっ！

レンドール

びっくりして敬語抜けちゃったじゃん〜…。

シゼ

…ふふっ。

シゼ

そのままで大丈夫ですよ。ﾆｺｯ

レンドール

はぁ…。

レンドール

シゼは誰にこんなことされたの？

シゼ

【カイト・キャザー】ぼっちゃまにです。

レンドール

えっ、

レンドール

【カイト・キャザー】？

レンドール

驚いた、僕の友達の名前だ。

シゼ

！

シゼ

お友達なのですか？

レンドール

うん、

レンドール

カイトとはほぼ毎日会うよ。

レンドール

今日だって昼から夕方まで一緒に遊んだんだ。

シゼ

へぇ〜そうなんですね。

シゼ

ん…？

シゼ

昼から夕方まで？

レンドール

？、うん。

レンドール

医務室でお菓子食べたり、お絵描きしたりしたよ。

シゼ

（てことは、あの子）

シゼ

（絵の授業抜けた後はレンと一緒に医務室にいたのか…。）

レンドール

あ、そうだ！

レンドール

よかったらカイトの絵見る？

レンドール

カイトって、絵すっごく上手なんだよ！

シゼ

！…

シゼ

（絵…？）

レンドール

よいしょと…

レンドール

ほら見て！

レンがカイトの絵を見せる。

シゼ

！…。

シゼ

わぁ…綺麗。

シゼ

（魚が宮廷を泳いでる、鱗が細かく書かれてて本物みたい。）

シゼ

（光の表現もリアルにできてる…廊下がシャンデリアを反射してるところとかどうやって描いたんだろう。）

シゼ

（この前のリンゴの絵と全然違う。）

レンドール

僕が薬の調合してる間、ずっと絵書いてて…完成してすぐ僕に見せてくれたんだ。

レンドール

色使いがすごいよね！

レンドール

しかも魚がお城の中を泳いだりするって発想が…。

シゼ

確かに

シゼ

これはすごいですね…。

レンドール

ね？

レンドール

僕もそう思う！

シゼ

…。

シゼ

（ひょっとしてあの子は、見たものをそのまま描く写実的な絵より…）

シゼ

（こういう、妄想を膨らませて描く幻想的な絵の方が得意なのかな…。）

シゼ

（それか）

シゼ

（私とマリア様に自分の才能を見せたくない理由がある…とか。）

シゼ

（うーん。）

シゼ

（どっちにしろ、これはマリア様に話さないと。）

シゼ

レンさん。

シゼ

今日だけその絵をお借りしてもいいですか？

シゼ

明日には必ず返すので。

レンドール

えっ…。

レンドール

うん、別にいいけど。

レンドール

僕にくれた一枚しかない絵だから、大切にしてね？

シゼ

もちろんです。

レンドール

じゃあ、はい。

レンドール

約束ね。

シゼ

ありがとうございます。

シゼ

では、

シゼ

私はこれで失礼しますね。

レンドール

！…

レンドール

ちょ、ちょっと待って！

がしっ、（レンがシゼの手首を掴む）

シゼ

？…。

レンドール

あ、

レンドール

あのね…

レンドール

この前も言ったけど、僕

レンドール

本当に記憶がないんだ。

レンドール

でも、

レンドール

シゼと会った時、なんかその…胸騒ぎがしたんだ。

レンドール

それに

レンドール

君のことを知りたいし、もっと話したいし…なんというか、気になるんだ。

レンドール

だから、

レンドール

僕と友達になって欲しい…。

シゼ

…。

シゼ

（えっ…）

シゼ

（ごめん、）

シゼ

（ナンパだと思ってるのは私だけかな…会った時に胸騒ぎがしたとか、気になる、とか。）

シゼ

（勘違いされやすい言葉沢山はいってるけど…。）

レンドール

…。

レンドール

と、友達になってくれなかったらカイトの絵、返してほしい…かも。

シゼ

！…

レンドール

か、

レンドール

返して…もらおっかなぁ〜…。

シゼ

………。

シゼ

（これは…。）

シゼ

わかりました。

シゼ

レンさん、友達になりましょう。

レンドール

！…。

レンドール

よかった！

レンドール

じゃあ今度、カイトと僕とシゼの3人で遊ぼ！

シゼ

はい。

シゼ

（その前にカイトとマリアのことをなんとかしなきゃだけどね…。）

ガチャッ

シゼ

ただいま戻りました。

マリア

シゼ、おかえりなさい。

マリア

カイトぼっちゃまのことをご両親に話してきたわ。

シゼ

！

シゼ

そうでしたか、

シゼ

その場にぼっちゃまはいらっしゃったのですか？

マリア

ええ。

マリア

でもベッドで寝ていたわ。

マリア

私達から逃げた後、一体どこに行ってたのかしら…。

マリア

！…

マリア

あら、シゼ

マリア

その手に持ってる物は何？

シゼ

あ、

シゼ

これはですね…。

マリア

カイトぼっちゃまの絵！？

シゼ

はい、そうなんです。

マリア

本当の本当に？

マリア

こんな鮮やかで、リアルな絵…大人でも描けないわよ！

シゼ

マリア様のレッスンの絵と全然違いますよね。

マリア

そうね。

マリア

私の知ってるカイトぼっちゃまの絵と全然違うわ。

マリア

どうして私の前ではこう描かないのかしら。

マリア

とっても素敵なのに…。

シゼ

…。

シゼ

おそらく、

マリア

？

シゼ

おそらく、何かを隠してるんだと思います…私とマリア様に。

マリア

！…。

マリア

そう、なのかしら…。

シゼ

はい。

シゼ

なので…私。

シゼ

なぜカイトぼっちゃまが絵の才能を隠すのか調べてみます。

マリア

！…。

マリア

できるの？

シゼ

ハッキリと頷くことはできませんが…親睦を深めたりするうちに分かるかと。

マリア

…。

マリア

そうね、

マリア

貴方は小説を書くのが上手いから、人並み以上に人間観察や性格分析が得意そうだし…。

マリア

私が見落としていることも、貴方になら気付けるかもしれない。

シゼ

！…。

マリア

とりあえず、私はいつも通り全力で仕事をするわ。

マリア

何かわかったら逐次私に連絡しなさい。

マリア

いいわね？

シゼ

はい…！

第7話　おわり

とある物書きの挑戦譚【第二期】

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普通に箱推しになっしまいそうです🙏✨

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