テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

水元とのLINEは、 会う前と変わらず続いていた。

紗良

今度の休み、久々に部活の友達と買い物行くことになったんだ

水元

いいね、女バレ?

紗良

うん

水元

男バレはいないの?

紗良

うん

水元

そうなんだ

紗良

水元くんは、部活の人と遊びに行ったりするの?

水元くんは吹奏楽部だと 前に聞いたことがある。

……。

既読は付いたが返事が来なくなった。

紗良

(……?)

画面つけたまま携帯放置してるのかな?

そう思い、 紗良も画面を閉じようとしたその時。

水元

あのさ

水元

クリスマスって、空いてる?

ドクン。

心臓が高鳴った。

紗良

(しまった。既読付けちゃったから返さなきゃ)

紗良

空いてます

紗良

部活も、その日は無いです

何となく敬語で返してしまった。

水元

もし良ければ会わない?

紗良

はい、ぜひ

まさか本当にクリスマスに誘われるとは……

紗良

(セブンティーン借りなきゃ)

紗良

(デート服買わなきゃ)

水元

行きたいところある?

紗良

行きたいところ…うーん…

紗良

特に思いつかないなぁ…水元くんはないの?

会うのが2回目の相手と どこに行ったらいいか分からなかった。

紗良

(映画は緊張するしなぁ…)

紗良

(イルミネーションはカップル多そうで気まずいし)

紗良

(買い物…も彼氏でもないのに連れ回すのはなぁ)

水元

俺は、紗良ちゃんに会えれば何でもいいかなぁ

おっと。

急に直球が飛んできた。

紗良

どこかでお茶しますか?

紗良

私もとりあえず喋れればいいので

水元

そうしようか

水元

◇◇駅に、12時待ち合わせで良い?

紗良

うん

場所と時間を指定してくれるのは 面倒くさがりの紗良にとって有難かった。

クリスマス当日。

女バレのみんなに 選んでもらったデート服と セブンティーンに載っていた 流行りのメイクで 待ち合わせ場所に向かった。

待ち合わせの15分前に着いたが、 水元くんは先に来ていた。

紗良

お待たせ、早いね?

水元

おー

水元

何か前回と雰囲気違う?

紗良

えっ

紗良

えっと…メイクかな?頑張ってみた

水元

そうなんだ。可愛い

おっと。

また直球が来たぞ。

紗良

ありがとう………

褒められ慣れていないので 反応に困った。

紗良

い、行こっか!

水元

うん

駅構内のカフェに行くことにした。

紗良

そういえば前回も待ち合わせ来るの私より早かったよね?
何分前に着いてたの?

水元

30分前かな?

紗良

30分前!?早すぎない!?

水元

俺から誘っておいて遅刻したら嫌じゃん

紗良

まぁ…そうだけど…

水元くんって、 悪いところ…ないのかな。

時間ちゃんと守るし

素直に褒めてくれるし

紳士だなって思う時もたくさんあるし

顔は…イケメンではないけど イノシシでもないし

紗良

(付き合う相手としては、アリ……なんだろうな)

その後カフェで3時間くらい喋った。

紗良

(話してて合わないところも、今のところない)

紗良

(学校も部活も趣味も全然違うけど、不思議と話題が尽きない)

紗良

(ただ、まだ恋愛感情はないなぁ…)

水元

あ、そうだ

水元

俺、今日の夜から海外行くんだよね

紗良

ん?

紗良

え?この後?

水元

うん

水元

お土産買ってくるね

紗良

え、時間大丈夫?てか誰と?

水元

時間はまだ全然大丈夫。親と空港で合流する

紗良

そうなんだ、旅行いいなぁ

紗良

家族と仲良いんだね

水元

まぁね

水元

来年の今頃は受験勉強あるし、高校卒業したら家出るつもりだから、今年が最後のチャンスだってことで家族みんなで行くことになったんだ

紗良

卒業したら家出るの?

水元

うん……広島の、全寮制の大学に行くつもり

紗良

……そうなんだ

紗良

広島って東京からどれくらいかかるの?

水元

飛行機で1時間半くらいかな

紗良

飛行機…

関東にしか住んだことのない紗良にとって 未知の世界だった。

水元

そもそも、大学受かったらの話なんだけどね

紗良

………

何も言えなかった。

水元のことは 何とも思っていないはずなのに、 友達としてのコメントすら出来なかった。

水元

いきなりこんな話してごめんね。
そろそろ空港向かおうかな

紗良

あ、ううん、こちらこそ黙ってごめん…

水元

出会ったばっかりの奴にこんな話されても困るよな

紗良

ううん…

前回同様、さらっと奢ってくれた。

紗良

(水元くんは、私とどうなりたいんだろう)

紗良

(高校卒業まで遊べればいい?)

紗良

(でもそれならこんな話出さないよね)

紗良

(卒業して遠距離になることは承知の上で、私と付き合いたいと思ってくれてる?)

カフェから駅の改札まで、 一言も話さず悶々と考えていた。

水元

じゃあここで…今日もありがとう

紗良

うん。こちらこそご馳走様でした

水元

旅行から帰ってきたら、連絡する

紗良

分かった。気を付けて行ってらっしゃい

付き合ってもいないのに カップルのようなやり取りをして 解散した。

帰り道、 カップルや家族連れがわいわい 楽しそうに過ごしている中を 歩いて帰った。

紗良

(そういえば、今日はクリスマスなんだった)

紗良

(そんなことすっかり忘れてたよ)

家に着いて、 何となくFacebookを開いたら 水元が空港までの切符を載せていた。

水元

『海外行ってきます!!』

それしか書いていなかったのに

切符に書いてある出発時間を見て

空港に行く直前まで、数時間でも 会いに来てくれたんだと思ったら

嬉しくなっている自分がいた。

この作品はいかがでしたか?

10

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚