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第1話 - あ

2023年10月08日

#スカッと

タナカトシキ

センナ

イズミ、アンタの旦那ってチョロいわね。

センナ

私がちょっと誘ったら、カンタンにオチたわよ。

イズミ

え？どういうこと？

イズミ

ウチの夫を知ってるの？

センナ

知ってるもなにもw

センナ

アンタの旦那と私は同僚よ。

センナ

地元が同じだからね。

イズミ

でも夫がオチたって何のこと？

イズミ

まさか…。

センナ

お察しのとおり♪

センナ

アンタの旦那は、私とそういう仲になったのよ。

イズミ

ウソ。

イズミ

真面目なあの人が浮気なんて。

センナ

ウソだと思う？

センナ

じゃあ、証拠を見せてあげる♪

センナ

（画像送信）

イズミ

やだ、これはウチの写真？

イズミ

しかも一緒にベッドに入って…私たちの寝室よ。

イズミ

なんでこんなことをするの！

センナ

決まってるじゃない。これは私の遊びよ。

センナ

昔から陰キャのアンタがうっとうしくて、キライだったの。

センナ

だからそうやって、困って傷ついてる顔を見るのが、最高に楽しいの。

イズミ

そんな。なんて人なの。

イズミ

私を傷付けるために夫を誘惑したの？

センナ

そうよwじゃなきゃ、あんな冴えない男、

センナ

誰が近づくもんですか。

イズミ

最低…。

イズミ

高校の頃から散々私をバカにして

イズミ

イジワルしてきただけじゃなく、不倫で家庭を壊そうとするなんて…。

センナ

別に壊す気はないわよ。

センナ

まあ、アンタのご主人は、妻と別れて私と一緒になるとか言っちゃってるけど。

センナ

私にはそんな気はないしね！

イズミ

遊びでここまでするなんて。

イズミ

ひど過ぎるわ…。

センナ

フン、いい気味よ。

センナ

陰キャのクセに、私より先に結婚するなんて生意気だわ。

センナ

いい？アンタは一生私の奴隷w

センナ

だから私より幸せになるなんて、絶対に許さないわよ！

イズミ

恐ろしい人ね…。

～その夜～

イズミ

ナオヤ、話があるの。

イズミ

どうしても聞きたいことが。

イズミ

ねえ、返事して。

ナオヤ

なに？いま出張中なんだけど。

ナオヤ

そんなに急ぐ話？

イズミ

大事な話よ。

イズミ

今日、センナからLINEがあったのよ。

イズミ

あなたの同僚なんでしょう？

ナオヤ

そうだけど…。

ナオヤ

なんでセンナがイズミのLINEを知ってるんだ？

イズミ

センナは私の高校時代の同級生よ。

イズミ

私、電話番号を変えていないから、友達登録されたんだと思う。

イズミ

向こうが勝手にね。

ナオヤ

そうか…。

イズミ

ねえ、ウソよね？

イズミ

あなたがまさか、センナと不倫していたなんて。

イズミ

しかも私たちの寝室で密会してたなんて。

ナオヤ

なんだって。

ナオヤ

なにか見たのか？

イズミ

写真を見たわ…。

イズミ

アナタとセンナが仲良くベッドにいるところだった。

ナオヤ

そんな写真を見たのか。

ナオヤ

センナが送って来たのか？

イズミ

そうよ。あれ、偽造じゃないの？

イズミ

ウソだって言ってよ…。

ナオヤ

ごめん。嘘じゃない。

ナオヤ

俺はセンナが好きになったんだ。

イズミ

え？そんな。

イズミ

あんな人に本気になったの？

イズミ

彼女、私のコトを高校のころイジめてたのよ。

イズミ

そんな人に、ナオヤが…。

ナオヤ

お前、なにか思い違いをしているよ。

イズミ

なにが？

ナオヤ

センナは人をイジめるような人じゃないよ。

ナオヤ

彼女は、職場でも明るくて優しい人だ。

ナオヤ

俺は彼女の笑顔で、いつも癒されているんだ…。

イズミ

ウソ。

イズミ

あなたは騙されてるわ。

イズミ

彼女はそういう人なの！外面はいいけど中身は悪魔よ。

イズミ

先生や男子の前では、天使みたいに素直でイイコだけど、

イズミ

陰で、私や下級生をイジめる最低なだったのよ！

ナオヤ

彼女をそんな風にいうな！

ナオヤ

お前は彼女と違って、なんの取り柄もないし

ナオヤ

顔も大して可愛くないから、ひがんでいるだけだろ？

イズミ

そんな。なんてことを言うの。

イズミ

私のコトは信じてくれないの？

ナオヤ

悪いけど、俺はセンナと結婚したい。

ナオヤ

子供もいないし、離婚しよう！

イズミ

ウソよ…どうして簡単に離婚だなんて言えるの。

ナオヤ

俺だってさんざん考えたよ。

ナオヤ

でもどうしても、センナと一緒になりたいんだ。

イズミ

そんな…。

ナオヤ

慰謝料はちゃんと払うよ。

ナオヤ

結婚して1年しか経ってないし、50万円でいいだろ？

イズミ

50万？たったそれだけ？

イズミ

私たちの結婚生活は、そんな程度の価値しかなかったってこと？

ナオヤ

まあ、そうだな。

ナオヤ

想像以上に退屈な毎日だったよ。

ナオヤ

でも、せめてものけじめだ。

ナオヤ

50万でカンベンしてくれ。

イズミ

酷いわ、ナオヤもセンナも…。

イズミ

大人になってまで、こんな目に遭うとは思わなかった…。

ナオヤ

ごめん。

ナオヤ

お前も幸せになってくれ…。

イズミ

ナオヤ…。

イズミ

信じたくないわ、こんな現実…。

～一か月後、SNSのDMにて～

カイト

イズミさん、はじめまして。

カイト

DMから失礼します。俺はカイトといいます。

イズミ

はじめまして…

イズミ

あの、何か用ですか？

カイト

はい。あなたとどうしても話しがしたくて。

カイト

LINEのIDを教えていただいても良いですか？

イズミ

え、いきなり？

イズミ

知らない人とLINE交換するのはちょっと…。

カイト

無関係な間柄でもないですよ。

カイト

俺はセンナの婚約者です。

イズミ

え？センナって婚約者がいたの？

カイト

そうです。半年前に婚約したんです。

カイト

年内に結婚式を挙げる予定だったんですが…。

イズミ

そうなんですか。

カイト

ここ数か月、センナの行動がどう考えても怪しいので

カイト

色々調べてるんです。

イズミ

ちょ、ちょっと待ってください。

イズミ

つまり私に何か関係があると思ってDMをくださったんですね？

カイト

はい。あなたとどうしても話しがしたくて。

イズミ

わかりました。LINE IDを教えますから、

イズミ

くわしくはそっちでお話ししましょう！

カイト

ありがとうございます。

～LINEにて～

イズミ

お手数をおかけしました。

イズミ

やっとLINEがつながりましたね。

カイト

いえ、こちらこそ助かりました。

カイト

それで早速なんですが、イズミさんはご結婚されていますよね。

カイト

ご主人の行動、なにかおかしいことがありませんか？

イズミ

実は、恥ずかしながら先日、離婚したばかりなんです。

イズミ

元夫はセンナさんと不倫していました。

カイト

え？不倫？

カイト

やっぱり…。

イズミ

うすうす感づいてらっしゃったんですね。

イズミ

そう、センナは私の夫を奪ったんです。

イズミ

私への嫌がらせのためにね！

カイト

なんだって…。

イズミ

センナは、高校の頃から私をイジめてきました。

イズミ

私のカバンを勝手に捨てたり、財布からお金を〇んだり…。

カイト

本当ですか。

イズミ

ええ。彼女はクラスのボスみたいな存在でしたから、

イズミ

誰も逆らわないし、教師も見て見ぬフリでした。

イズミ

最低の思い出です。

カイト

そんな…俺にはイイ顔しかみせてこなかったですよ。

イズミ

彼女はそういう性格なんです。

イズミ

自分にトクのある相手には、すごく愛想が良くて親切なんです。

イズミ

多分、男性や上司には人気があるんじゃないですか？

カイト

そうかもしれません。

イズミ

私は、そんな彼女に家庭を壊されました。

イズミ

しかも元夫が本気で好きだったわけではなく、

イズミ

ゲームのつもりで元夫と不倫していたんですよ！

カイト

ゲーム？つまりアイツは遊びで男と浮気していたっていうのか。

イズミ

信じたくない気持ちは分かります。

イズミ

でも、このまま結婚されるとカイトさんが苦労すると思いますよ。

カイト

それは俺も考えてます。

カイト

しかし、何か決定的な証拠が欲しい…。

イズミ

証拠ならありますよ！

イズミ

これを使って下さい。

イズミ

（画像送信）

イズミ

これ、センナが私に送りつけてきた画像です。

イズミ

偽造じゃないって本人も言ってました。

カイト

な、なんだこれは…。

カイト

この、センナの横にいる男性が、イズミさんの元旦那さんですか。

イズミ

そうです。いきなりこんなモノを見せられました。

イズミ

あとは、私とセンナがやりとりしたLINEのスクショも送りますね。

イズミ

（画像送信）

イズミ

これも立派な証拠になると思いませんか？

カイト

ああ、これは完全にクロですね…。

カイト

怪しいとは思っていたが、まさかここまでヒドイことをしていたとは…。

イズミ

心中お察しします。

イズミ

でもカイトさんは未だ婚約しているだけですから、

イズミ

私みたいにバツが付く前で良かったと思いますよ…。

カイト

イズミさんは、離婚するにあたって元旦那さんから

カイト

慰謝料はもらいましたか？

イズミ

はあ、それが…。

イズミ

結婚生活が短かったから、50万円でカンベンしてくれと。

イズミ

私もそういうことに疎いので、そんな程度なのかと思って

イズミ

お金だけ受け取って離婚しちゃいました…。

カイト

50万円？安すぎますよ。

カイト

慰謝料の相場の、半分もない金額ですよね。

イズミ

そうなんですか？

イズミ

でも今さら、どうしようもないですよね。

イズミ

私、センナとはもう関わりたくないんですけど。

イズミ

せめて彼女には、私以上の地獄を味わってもらいたいです！

カイト

それなら、俺に協力してもらえませんか。

カイト

俺は、センナ達を許すことはできない。

カイト

イズミさんもたった50万円であいつらを許しちゃいけないですよ！

イズミ

そうですか。

イズミ

でも一人じゃ、どうやって闘えばいいのかわからなくて。

イズミ

途方に暮れていたんです…。

カイト

俺が力になりますよ。

カイト

2人で協力して、あいつらを痛い目に遭わせてやりましょう。

イズミ

そうですか。私になにか出来るんでしょうか…。

カイト

必ずやり遂げられますよ。俺を信じて下さい。

カイト

良かったら今度、あらためてお会いしませんか。

カイト

それも出来るだけ近いうちに。

イズミ

はい…。

イズミ

こちらこそよろしくお願いします。

カイト

よろしくお願いします。では早速、今度の日曜日にあいましょう。

カイト

場所はS駅の中の喫茶店でいいですか。

イズミ

大丈夫です。

カイト

良かった。じゃ、12時に待ち合わせでお願いします。

イズミ

わかりました。それではまた。

～2カ月後～

ナオヤ

イズミ…助けてくれ。

ナオヤ

実は、センナに婚約者がいたんだ。

ナオヤ

俺、何にも知らなくてさ。

ナオヤ

いきなり婚約者を名乗る男から内容証明が届いて、

ナオヤ

慰謝料を100万円も請求されたんだよ。

イズミ

あっそ。

イズミ

素直に払えば？

ナオヤ

なんで俺が払わなきゃいけないんだよ！

ナオヤ

だって何も知らなかったんだぜ。

ナオヤ

センナも黙って逃げちまったし、どうしたら良いのか…。

イズミ

だから、お金を払えば解決するんでしょ？

ナオヤ

そういう問題じゃないよ！

ナオヤ

俺の人生で、誰かに訴えられるなんて…。

ナオヤ

そんな黒歴史は作りたくないんだ！

イズミ

はあ？不倫した人間がなにほざいてんの？

イズミ

私には50万円しか払わなかったくせに。

イズミ

あなたにはもっと地獄を見てもらわないとね。

ナオヤ

イズミ、お前いつからそんな冷たい女になったんだよ。

ナオヤ

昔はあんなに優しかったじゃないか。

イズミ

今のアナタには優しくする価値なんて全く無いからよ！

イズミ

どうせお金のことで助けてほしいから、

イズミ

私に泣きついてきたんでしょ？

ナオヤ

そうだよ、だって俺達家族だろ？

イズミ

は？アフォじゃないの。もう離婚したじゃん。

イズミ

追い詰められ過ぎて、アタマもイっちゃったかな？

ナオヤ

そんな言いかた、しなくても良いだろう。

ナオヤ

なあ、俺を助けてくれよ。

ナオヤ

今度はもう泣かさないからさ、やりなおそう？

イズミ

絶対にイヤ！

イズミ

２度と私に近付かないで。

ナオヤ

イズミ…戻ってきてくれよ。

ナオヤ

俺、もうお前がいないと生きていけないってわかったんだ。

ナオヤ

たのむよ…。なにか答えてくれ…。

～さらに３カ月後～

センナ

イズミ、よくもやってくれたわね。

センナ

私の結婚、とうとう破談になったわ。

センナ

アンタのせいで、不倫がバレちゃったからよ。

センナ

どう責任を取ってくれるのよ。

イズミ

え、私のせい？

イズミ

不倫したのは自分でしょう？

イズミ

どうしてバレないと思い込んでいたの？

イズミ

心臓に剛毛でも生えてるの？

センナ

ふざけないでよ！

センナ

せっかくエリートの医者と結婚できるところだったのに

センナ

あんたと、ナオヤのせいでぶち壊しだわ！

イズミ

だからそれは、自業自得でしょう。

イズミ

人のせいにしないでくれる？

センナ

いいえ、絶対にアンタのせいよ！

センナ

アンタが私に関わってきたから、こんなに大変な目にあってるんだわ。

センナ

慰謝料もたっぷり払わされたし、どうしてくれんのよ！

イズミ

本当に幼稚な人ねぇ。

イズミ

悪いコトしたのは自分なんだから、慰謝料を払うのは当たり前でしょう？

イズミ

私からは請求しなかったんだから、感謝してほしいくらいだわ。

センナ

冗談じゃないわよ！

センナ

アンタから請求されたって、絶対に払わなかったわよ。

イズミ

そういうだろうと思ったわ。

センナ

私は、絶対にカイトを取り戻してみせるわ。

センナ

医者の妻になって、リッチでセレブな生活を手に入れるんだから！

イズミ

悪いけど、やり直すのはもう、無理だと思うわよ。

イズミ

あなたの元婚約者は、もう私と付き合ってるから。

センナ

へ？

センナ

ウソでしょう…。

イズミ

ウソじゃないわよ。

イズミ

あなた達が正式に婚約破棄となった翌週から、付き合い始めたの。

イズミ

いっておくけど、交際期間はダブってないからね。

イズミ

だから私たちを訴えてもムダよ。

センナ

な、なんですって。

センナ

どうしてアンタなんかと、カイトが知り合ったのよ。

イズミ

さあね。教えてあげない。

センナ

ちょっと！教えてくれたって良いじゃないの。

センナ

ねえ、ウソでしょう？カイトは本当にアンタを選んだの？

イズミ

カイトさんが私を選んだんじゃないわ。

イズミ

神様が、正しく結ばれるべき２人を引き合わせてくれただけ。

センナ

そ、そんな。

イズミ

もう、カイトさんのご両親にもご挨拶したわ。

イズミ

これ以上私たちに近付いたりしたら…。

イズミ

ただじゃおかないからな？

センナ

ひっ…。

センナ

なんかコワイ…。

イズミ

フフフ。そういうわけで。

イズミ

あなたにはナオヤをあげたんだから、またやりなおしなさい。

イズミ

それじゃ。

センナ

信じられない…全部ウソよ…。

～その後～

イズミ

カイトさんと私が付き合っているのは、本当のコトです。

イズミ

はじめは浮気された被害者同士という立場で出会ったのですが、

イズミ

お互いに親身になって相談を聞き合っているうちに、親しくなっていきました。

イズミ

先日プロポーズされ、もうすぐ結婚する予定です。

イズミ

彼のご両親も、「前の彼女よりずっといい」といって、私を大事にしてくれます。

イズミ

一方、ナオヤとセンナは、婚約破棄時に請求された慰謝料のことで

イズミ

大モメにモメた挙句、壮絶なケンカとなり、別れたそうです。

イズミ

ダメ人間らしい末路ですね。

イズミ

あんな人達に苦しめられていたのがウソみたいに、

イズミ

今は幸せです。

イズミ

今度こそ幸せになります！

イズミ

最後まで聞いて下さってありがとうございました。

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