タッタッ
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤタッタッ
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤタッタッ
タッタッ
辺りは暗く染っていて
空に浮かぶ月が輝く
私
私
私は何をしに来たのかも知らずに
暗い夜道を走って行く
夜中なのだろう
車の走る音が 、
あまり聞こえない
私
記憶を頭の奥から絞り出す
何故私はここに居るの?
私はさっきまで何をしていたの?
私
ザア..ッ
ザァッ…
ザブン...ッ
ザブ_ン
波の音だろうか
そんな音が聞こえた
私
その 音が聞こえる方向に歩いて行った
ザブン...ッ
音が大きくなった
私
音が聞こえる先には青い海があった
私
ズキンッ
私
突然頭に激痛が走る
その数秒後
頭にある映像が浮かび上がった
───
私
ザブン...
私
私
私
私
私
私
パチャ
ザッ
私
私
私
目の前には大きな波があった
私
私
 ̄─── ̄ ̄ ̄────── ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
─────────────私の記憶はそこで終わっていた
私
私
その記憶の中の海は
今見ている海と全く同じだった
私
私
私
私はさっきまで何をしていたのかを思い出した
私
私
私
私
私
私
私
私
私
私
私
私はすぐ決心をした
『優雅に会いに行こう』と
少し歩いてゆくと
時計が道路に光って立っていた
私
私
私
私
私はギュッと力強く拳を握った
優雅の家は少し覚えている
私
少し行くと見覚えのある家が建っていた
私
私
ドアノブを握ろうとした
──しかし
ドアノブを握ることは出来なかった
私
触ろうとしても
...触れない
私
私
私
私
他の物を触ろうとしても
全て触れない
私
私
だが少し考えた
家には入れるんじゃないかと
私
私
私はドアを開けた
私
優雅
優雅
私
私
優雅
私
しかしその言葉は優雅に届かない
私
私
すると優雅の家の窓が開いていることに気付いた
私
私
私は窓の外を覗いた
私
朝日がもう昇ってきていた
私
私
そう思って手を見た
私
すると手が透けていた
私
私
私
私
時間が経つにつれてどんどん透明になっていく
私
やがて足が消えた
私
...
死んじゃったけれど神様にチャンスを貰って
今に至るということだよね
折角貰ったチャンスなんだから
伝えたいこと 伝えよう
私
もう胸まで消えてしまっている
ポロッ
私
私
私
私
私は大声でそう言った
優雅の胸に響くように───
私
私
私はそう消えていった
優雅
『優雅』
『私の分まで元気に生きてね』
『私は優雅のこと』
『ずーっと大好きだから』
優雅
杏の声が聞こえた気がした
優雅
優雅
優雅
〜end~
コメント
5件
【速報】 嬉しいお知らせです! なんとこの作品でタイトルコン佳作を受賞しました(✌'ω'✌) ありがとうございます(?) コメント大歓迎です(何で今)
杏は死んでも優雅の幸せを祈っているのですね…… とても切なくて面白かったです!!! 参加ありがとうございます!😏
この作品は華蓮咲く様主催のタイトルコンに参加した作品です😎✨💭 このコンテストを作ってくれた華蓮咲く様に感謝します🙇✨👍 優雅と海に来ていた杏は波に飲み込まれてしまう。 そんな杏は死後の世界で神様に「もう一度優雅に会いたい。」とお願いし、幽霊になって この世界に戻ってくることになり この話が始まります ↑作品の説明です。