テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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ボスキと主様

第67話 - 第67話暗雲からの覚醒

2024年09月29日

#悪魔執事と黒い猫

#ボスキ・アリーナス

aimer(エメ)

診察室

ルカス

トリガーとなるのは、心的ストレスによるショックのようですね。

主

はい。そのようです。だから、私が何かショックを受けたら、また、もう1人の私さんと入れ替われるのはわかりましたが…。

ルカス

主様でも、同一化する方法までは、まだわからないと言うことですよね？

主

はい…。

テディ

俺のせいです。俺が、自分の気持ちさえ話さなければ、こうはなりませんでした。みなさんに顔向けできません。

ルカス

いや、テディくんが主様に心的ストレスを与えなくても、いずれ誰かが主様に心的ストレスを与えていたと思うよ？人は傷つかずに生きていけるほど、お互いを理解は出来ていないものだからね。

テディ

ルカスさん…。

主

そうですよ。私ですら、みなさんを傷つけてしまっています。もう1人の私さんもそれが耐えられないから、私と交代したんです。テディさんのせいじゃありません。誰も悪くないんです。

テディ

主様………。はい。ありがとうございます。

ルカス

とりあえずは、トリガーとなる心的ストレス以外にも同一化させるための方法があるとしたら、真逆のとてつもなく嬉しかったことを思い出すことかと思いますが…。

主

とてつもなく嬉しかったこと？

ルカス

はい。例えば、1番大切な人からの贈り物とか。出来事とか。色々あるけれど…。確か、主様は向こうの世界の記憶はあるけれどこちらの世界での記憶はないんでしたよね？

主

はい。そうです。

ルカス

その無い中で、もう1人の主様も共通で持ち合わせていない記憶があるのはご存知でしたか？

主

え？

テディ

どういうことですか？共通で持ち合わせていない記憶って。

ルカス

私が、どちらの主様からも問診をとった時に気づいたことなんだけれど、ボスキくんと天使の戦闘で主様が事故に巻き込まれた日のボスキくんとのデートの記憶がないんだよ。きっと、その中に記憶と人格を同一化させるヒントがあるんじゃないかと私は思っているよ。

主

それは、つまり、その日のデートを再現したら、私ともう1人の私さんは、本来の1人の私になれるということですか？

テディ

それなら、俺、ボスキさんを呼んできます!

主

テディさん………。

テディ

大丈夫です。俺に出来ることをしたいだけです。好きな人が困ってるのにほっとくような男に振り向けなんて言えないですから。だから、気にしないでください。

主

ありがとうございます。テディさん。

そして、テディは、ボスキを呼びに行き、主とルカスのところに来るとルカスから説明を受ける。

ボスキ

つまり、あの日を再現したら、〇〇は元に戻れるのか？

ルカス

あくまで、可能性ってだけの話だけれど、やらない手はないと思うよ。そのためには、全てが一致した場所でその日と同じ行動をとることが鍵になってくるのだけれど………。

ボスキ

…………。

主

どうしたんですか？

ルカス

建物の倒壊で、今、その町は工事中だし、多数の人が、主様とボスキくんを悪魔執事とその主として、認識している可能性があるから…。

主

外で同じ行動をとるのが難しいということですか？

ボスキ

あぁ。

主

そんな………。

ボスキ

ちっ。そんな顔するな。

主

ごめんなさい。約束したんです。もう1人の私さんに必ず助けに戻るからって。

ボスキ

もう1人の〇〇にか？

主

はい。だって、ボスキは私を通して、もう1人の私さんを見ているのは知っていますから。何度抱かれても…それを私は感じていましたから。

ボスキ

わりぃ。そうしてるつもりはなくても…そうなっちまってたんだな。だが、お前だって〇〇には変わりねぇし、ちゃんと愛してる。それだけは、勘違いするな。好きでもない女を抱けても、キスまでは俺はできない。

主

ボスキ…。なら、今の私でもキスは出来ますか？

ボスキ

あぁ。

ルカス

2人とも、私がいるから、やるなら他でしてね？私も〇〇さんが好きですから、抑えられなくなりますから///

主

す、すみません////

ボスキ

とりあえず、俺は〇〇を部屋に連れて行きます。失礼しました。ルカスさん。

そうすると、ボスキは主の手をとり、診療室を出る。

ルカス

本当に妬けちゃうな。私も少し強引なくらいに行かないと、〇〇さんをボスキくんに完全に奪われてしまうね。

ムー

おかえりなさい。主様。あれ？今日、テディさんとデートに行ったはずでは…。

主

ごめなさい。ムーさん。少し色々ありまして。

ムー

その話し方って…まさかまた…。

ボスキ

ムー。説明は後だ。2階の執事室に行って、俺が呼びに行くまでみんなといてくれ。

ムー

わ、わかりました!ボスキさん。

そして、ムーが退室するとボスキは主をベッドへ押し倒し、キスをする。

ちゅっちゅっレロ

主

んっ...///はぁむぅんっ…///

ボスキ

これでわかったか？俺は今の〇〇も、もう1人の〇〇と同じくらい愛してるってことが。

主

は、はい///

ボスキ

なら、このまま抱かせろ。もう一度身体に覚え込ませてやる。

主

それは……ちょっと……///

ボスキ

嫌か？

主

あ、嫌とかではなく…その、今、月のものが来ている日なので…。

そういうと、直ぐにボスキは主から離れ言う。

ボスキ

わりぃ。知らなかったとはいえ、負担をかけるとこしたな。大丈夫か？腰とか腹とか痛くねぇか？

主

少しだけ痛みますが、大丈夫です。

ボスキ

無理するな。今、痛み止めもらってきてやるから。布団入って休んでていい。

主

ありがとうございます…なんか…すみません…。

ボスキ

気にするな。だが、終わったら覚悟しろよ。今日の分まで抱くからな。

主

はい////

そういい、再びボスキは、ルカスに薬を貰いに行く。

主

はぁ……。危なかったです。ボスキには悪いですが、やはり私は、本心のあなたが求める人に嫉妬してしまいます。確かに、私も愛しているのでしょうが、もし、私がこの姿でなければどうでしたか？愛してくれましたか？たぶん、無理でしょうね。結局、ボスキ、あなたは私ではなく、もう1人の私さんを愛しているのです。私も愛されたい……1番愛するあなたに愛されたいです……うっ…ぐすっ…うぅ……。

屋敷廊下

アモン

ボスキさんは本当にわかってないっす!
俺たちも〇〇さんが好きだって何度言ったらわかるんすか!みんなで主様は共有することになったじゃないっすか？！
俺は、今日こそ物申すっすよ!

2階の執事室のムーから話を聞き、主の部屋へ向かうアモンは主の部屋の前まで来る。

主

ぐす……うぅ………。

アモン

(〇〇さん泣いてる？)

扉を勢い良く開け入りアモンがいう。

アモン

ボスキさん!何してるんすか？！〇〇さんに!ってあれ？〇〇さんだけっすか？

主

ぐすっ、ごめんなさい。なんでもないです。気にしないでください。

アモン

なんでもなくはないっすよね？ボスキさんになんかされたんすか？

主

本当に違います。ただ、振り向いて貰えなくて泣いていただけです。情けないですが……。

アモン

…………。

アモン

俺じゃダメっすか？

そういうとアモンは、主がうつ伏せで泣いていた傍らに来て主の頭を撫でながらいう。

アモン

俺なら、今の〇〇さんを本気で愛するっすよ。

主

ボスキも同じことを言って、私の中のもう1人の私を愛していました。

アモン

なら、試してみるっすか？

主

え？

アモン

俺とこれから、デートしに行かないっすか？

主

夜なのにいいのですか？

アモン

〇〇さんのためなら、俺は何だってするっすよ。

主

(真剣に私を見てくれてる…。私の中のもう1人に向けられたものとは違うような…試すだけならいいですよね？)

主

なら、私をここから連れ出してください。今は、ボスキに会いたくありません。

アモン

はいっす。なら、俺のこともアモンって呼んでくれないっすか？さんなんて他人行儀はもうされたくないっす。

主

はい。アモン。

そして、主は置き手紙だけを残し、アモンと夜の街に出る。

主

ここは…？

アモン

ハウレスさんが、よく来るところっすが、今日は、2人きりで飲みましょうっす。帰りの心配は不要っす！嫌なことはパァーっと飲んで忘れるに限るっす！

主

アモン………。

主

(私のために？本当に私を考えてくださったんですね。嬉しいです。)

主

はい。飲みたいです。

BARの女店主

あら？主様じゃないの～？この間ぶりね～。あれ？ハウレスちゃんは一緒じゃないの？なに～？今日は、この子とデート？モテる女はいいわね～。嫉妬しちゃうわ～。

アモン

そうっすけど、今日、個室いいっすか？

BARの女店主

いいわよ～。ヤルのは禁止だからね！汚されたら商売ならないから。

アモン

や、やんないっすよ！///

BARの女店主

あら～照れちゃって可愛いわね～。ボク～。

アモン

一応、大人の男っす!

BARの女店主

わかってるわよ～。冗談が通じないわね～。ところで、主様。さっきから黙っちゃってどうしたの～？

アモン

あ、彼女は今…

BARの女店主

ん？

主

すみません。私、あなたを覚えていないんです。

BARの女店主

はははっ。そう来たか～!主様も冗談上手いね～!

アモン

冗談じゃないっす。

BARの女店主

え？ガチの方？

主

はい。すみません。

BARの女店主

あ、いや、ごめん。ノリかと思っちゃって。

主

いえ、でも、あなたは私を知っているんですね。

BARの女店主

まぁ。ハウレスちゃんと飲みに来てたからね。あとは、他の執事と大勢で来た時もあったし。

アモン

とにかく、話はそのくらいで、俺たち飲みに来ただけなんでいいっすよね？

BARの女店主

あ、うん。2階の手前の個室使って～。
何飲むか決めたら、ベル鳴らせば行くから～。

アモン

ありがとうございますっす。
行きましょうっす。〇〇さん。

主

え？ここ外なのに…。

アモン

大丈夫っす。ここの店主も理解ある方っすから。

主

そうなんですね。

アモン

じゃぁ、行くっすよ。
〇〇さん。

主

はい。アモン。

そして、アモンが主の手を引き、2階の個室へ入るのを見て、店主は思う。

BARの女店主

(記憶がないなんて…可哀想に…。泣きはらしたような顔してたし、きっと辛いことを誰かに言われたのね。それで、あの子が元気づけるために、主様をここに連れてきたと…。どうせ、女心がわからないハウレスちゃんあたりが傷つけるようなことを言ったに違いないわ！今度来たらどついてやる。あたしのお気にの主様を傷つけるなんて許せないわ!あのバカ!)

2階の執事室

ハウレス

はっくしゅん!ずびっ。

フェネス

ちょっとハウレス大丈夫？風邪？

ハウレス

いや、なんか違う。妙に背中に悪寒が走った。

ムー

大丈夫ですか？ハウレスさん。

フェネス

やっぱり、風邪じゃないの？

ハウレス

う〜ん。とりあえず、薬飲んでおくか。
ところで、ボスキとアモンはまだ戻ってこないのか？

フェネス

みたいだね。アモン、カンカンに怒ってたから、主様の前でケンカしなきゃいいけど…。

ハウレス

はぁ………。ムー。俺たちは主様の所に行って2人を連れてくるから。ムーは、待っててくれ。

ムー

はい。わかりました!

フェネス

俺がボスキと話すよ。

ハウレス

あぁ。俺はアモンと話す。

そして、2人はボスキとアモンの仲介役として、執事室を後にした。

コンコン

ボスキ

〇〇入るぞ。わりぃ。遅くなっちまって。腰や腹が痛いと言ってたから、湯たんぽ準備してたら遅くなっちまった。大丈夫か？

シーン

ボスキ

〇〇？ん？何だこれ。

『ボスキへアモンとお出かけしてきます。ちゃんと帰りますので、探さないでください。〇〇より』

ボスキ

ちっ。

ボスキは、馬鹿らしくなったように湯たんぽを片付け、薬だけテーブルに置くと主の部屋を後にする。

BARの2階個室

主

ふふっ。

アモン

楽しいっすか？

主

はい。アモンの話、面白いし、お酒も美味しくて幸せです。

アモン

それは、よかったっす。

主

今夜はありがとうございます。あそこから連れ出してくれて…。

アモン

いいんすよ。〇〇さんが笑ってくれるなら、それだけで俺も幸せっす。

主

アモンは、私が好きなんですか？それとも…。

アモン

〇〇さんが好きっす。

主

それはどっちの？

アモン

どっちもっす。だから、どっちの〇〇さんだろうと泣かせるやつは許さないっす。

主

(あぁ。アモンは、ボスキとは違って、本当の意味で私を見てくれているのですね。)

主

ありがとうございます。

アモン

不安っすか？

主

え？

アモン

さっき、言ってたっすよね？ボスキさんは自分を見てくれないって。

主

はい……。

アモン

俺は、今、目の前にいる〇〇さんを見てるっす。だって、同じ〇〇さんじゃないっすか。話し方が違うから人が違うんすか？考え方が違うから人が違うんすか？そうじゃないっす。どちらも〇〇さんなんす。同じなんすよ。だから、俺は今、目の前にいる〇〇さんをまっすぐ見て言えるっす。

主

何を？

アモン

愛してるっすよ。
〇〇さん。

主

(あぁ。私が求めていたのは…これだったんですね。比べられることのない愛。アモンは、私にそれをくれるんですね。)

主

私もアモンを愛しています。すみません。おかしく聞こえるかもしれませんが…聞いてください。

アモン

はいっす。

主

私、もう、比べられる愛に疲れてしまいました。アモンがいいのなら、これからずっとあなたの彼女で居させてくれませんか？

アモン

俺でいいならいいっすよ。むしろ、大歓迎っす。

アモン

(ボスキさん、比べたりしてたんすか？なんでわからないんすか？目の前の〇〇さんだって〇〇さんなんだって、これだけのことが。)

主

あの…////

アモン

なんすか？

主

私を愛してるって信じていいんですよね？本当に…。

アモン

はははっ。これだけ言っても、まだ不安っすか？本当に〇〇さんはしょうがない人っすね。俺のとこ来るっす。

そういうと、アモンは自分の上に乗るように指示する。主もそんなアモンの元に来て向かい合うように、アモンの上に座る。

アモン

俺は、本気で〇〇さんを愛してるっす。
どちらとか、そんな次元の愛じゃないっす。〇〇さんの全てを愛してるんすよ。

そういい、主の右頬に手を当てる。

アモン

俺を見てくださいっす。〇〇さんが俺を見てくれるんなら、俺はどこまでも〇〇さんを見続けるっす。

主

アモン………。はい///
ずっと見ます。

その言葉で救われたような気持ちの主は、温かな温もりに目を閉じた。

そして、アモンもそれが合図かのように主へキスをする。

ちゅっちゅっちゅっレロレロ

主

んっはぁ…///んっん…/////

アモン

はぁ…///可愛い声っすね。今すぐにでも〇〇さんを食べたいっすけど、ここの店主に怒られるといけないんで、今度、俺とデートの時にいいっすか？

主

はい///アモンになら、私を食べてもらいたいです///

アモン

はいっす///

ぐりっ

主

んっ...///

アモン

すいませんっす///当たっちゃったっすね。そのまま降りてくれたら、抑えるんで大丈夫っすから///降りてくださいっす。

ぐりぐり

アモン

うっ…///ちょっ、擦り付けないでくださいっす。はぁ…はぁ…///我慢出来なくなるっすから////

主

はぁはぁ...///

アモン

〇〇さん欲しいんすか？///俺の。

主

何故かわかりませんが、体が言うこときいてくれません///んっ...///

アモン

(〇〇さんの体が俺のを覚えてるんすね…。なら、飲みは終わりにして。次に行くっすか…///)

アモン

〇〇さん。飲み終わりにして、俺と別なとこ行きましょうっす///はぁ…///

主

どこに？///はぁ…////

アモン

そういうことが出来るところっす///はぁ…///

主

はい…////はぁ…///

2人は、飲み屋を後にする。そして、主とアモンは恋人繋ぎで歩く愛を確かめ会える場所へ…。

次回へつづく

ボスキと主様

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